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【映画「不夜城」】歌舞伎町の猥雑な空気感を活写した、狂おしいほど切ないラブストーリー

どうも、まろん亭奏字と申します。

ご存知の通り、東京の新宿区に歌舞伎町と呼ばれる繁華街がございます。
いろんな映画の舞台になっているのでご存じの方も多いかと思います。

そういう作品には、たいていホストやヤクザ、風俗関係の方が登場するので、いかがわしくて怖い街と思われがちですが、それほどではない気がします。
最近だと外国の観光客の方が多いですね。

私が初めて歌舞伎町を訪れたのはいつのことだったか。
たぶん、今のTOHOシネマズに建て変わる前、コマ劇場があった頃だったと思います。
当時、近くにあった映画館によく通っていました。
30年近く前のことですね。

歌舞伎町を舞台にした映画で、「不夜城」という作品があります。
1998年の公開だったらしいですね。
私は当時、友人の紹介で出会った女性と観に行きました。

この映画、とにかく登場人物が多く、状況も複雑なんです。
原作を読んでいなかった私は話の筋がまるでわからず、ただB'zの主題歌がかっこよかったことと、靖国通りを再現したセットで繰り広げられる銃撃戦の迫力だけが強烈に印象に残りました。

その後、馳星周さんがお書きになった原作小説を読み、もう一度、映画館に足を運んだ記憶があります。
同じ映画を二度観るくらいですから、相当、気に入ったんでしょうな。
DVDも購入し、小説の続編、「鎮魂歌 不夜城II」、「長恨歌 不夜城完結編」も読みました。

先日、「鎮魂歌」と「長恨歌」を読み直し、その流れで1作目も読み直したんですが、馳先生の文章も主人公の劉健一も初々しかったですね。

今回は映画「不夜城」についてお話します。


概要

歌舞伎町を根城に故物屋を営む健一という男が、かつて一緒に仕事をしていた呉富春が東京に戻ってきたことをきっかけに、台湾、上海、北京のマフィアたちの抗争に巻き込まれるという噺です。

健一は、夏美という女性に出会い、彼女の中に自分と似たものを感じて惹かれていくというラブストーリーでもあります。

キャスト

映画では健一を金城武さん、夏美を山本未來さんが演じてらっしゃいました。

呉富春は椎名桔平さん。
「アウトレイジ」ではクールなヤクザを演じていますが、この映画では荒々しいイカれた男の役でインパクトがありましたね。

何年か前にDVDで見返した時、元成貴という上海マフィアのボスを「インファナル・アフェア」でサムを演じていたエリック・ツァンだったことに驚きました。

健一の知り合いの遠沢というジャーナリストとして田口トモロヲさん、健一の弟的な存在である周天文を谷原章介さんが演じてます。

あと、上海の殺し屋、孫淳さんは、池上遼一先生の「サンクチュアリ」という漫画を原作にした映画で北条という若いヤクザの主人公を演じている永澤俊矢さんが演じられています。

そういえば、アナーキーなおじいちゃん映画監督、鈴木清順さんも葉暁丹役で出演されていましたね。
お忙しくて中国語を身につける時間がなかったんでしょうな。
喋る時は側近の女性に耳打ちして、その女性が代弁するという手法を使っていました。
それでも、清順さんの存在感は素晴らしかったですね。

監督・スタッフ

監督は香港出身の李志穀(リー・チーガイ)という方ですね。

「眠れる森」などで有名な脚本家の野沢尚さんも関わられた脚本は、原作の複雑な設定や状況をうまく整理してあって、かなりよくまとまっていると思います。

見どころ

あと、やっぱり金城武さんがいいですね。
劉健一はハマり役だったと思います。
ともすれば嫌な奴になってしまう健一を、甘いマスクがいい毒消しになっていて、チャーミングなところもありつつ、それでいてズル賢さとか一筋縄でいかない感じもしっかり出ていました。

ヒロインの山本さんもよかったです。
スレたところと純粋なところが同居した難しいキャラで、おそらくまだ俳優としても駆け出しの頃だったと思いますが、上手く演じてらっしゃいました。
お父様はファッションデザイナーの山本寛斎さんだそうです。
最近では、映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」やドラマ「テミスの不確かな法廷」などに出演されているそうですね。

小説の三作目「長恨歌」の重要キャラ、徐鋭という男が映画ではまだ小学生くらいで健一の使い走りとして出ていて、「ああ、この子が将来、健一の敵になるのか」と思うとちょっと感慨深いものがあります。(小説ではもうちょっと年齢が上で、チンピラ的なヤクザでしたが)

小説の続編、「鎮魂歌」「長恨歌」は共にかなり過激な描写が多く、派手なアクションもあるので実写化は難しそうですが、もう一度、金城さんの劉健一は観たいですね。

なんなら、80年代の歌舞伎町の片隅でケチな故物商を営む健一のもとに毎回誰かが訪ねてきて、ちょっとした事件が起こるという「笑ゥせぇるすまん」みたいな短編ドラマ集でもいいです。

そして、最後に「世の中にはカモる奴とカモられる奴しかいないんだ」と健一がキメ台詞を言って終わるという、第一作の前日譚的なやつ。

リメイクは正直、してほしくないですね。
渥美清さんのフーテン寅さんと同じで、金城さん以外に健一を演じて欲しくない。

というわけで、今回は映画「不夜城」についてお話しました。

それでは、また。



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