ギリギリのしつこさが絶妙な、鬼才・福田雄一の歴史コメディー映画「新解釈・幕末伝」
某日、楽屋にて。
師匠
「いやー、『新解釈・幕末伝』、面白かった」
弟子
「観に行ったんですね」
師匠
「幕末好きですからね、当然初日に行きました」
弟子
「どうでした?」
師匠
「ハードルを下げて観たせいか良かったですな」
弟子
「酷いこと言いますね(笑)」
師匠
「いや、さすがに福田監督も有名におなりになったのでみなさん、それを承知で観に行かれるとは思うんですけど、中には真面目な歴史物だと思って観に行って、『なんだこのふざけた映画は!』とお怒りなる方もいらっしゃるんじゃないかと思いましてね。だから、もっとこれはおふざけ映画ですよ、とちゃんとアピールしたほうがいいと思いますね」
弟子
「確かにタイトルだけだとちょっとわかりにくいですね」
師匠
「最低でも『新解釈・三国志』を先にご覧になって、そういう心構えで観に行かれた方が良いと思います」
弟子
「今回も三国志みたいなコント集みたいな映画なんですか」
師匠
「まあ基本そうですね。ただ思い入れの差かもしれませんが、『三国志』よりちょっとだけ真面目度は高いかなと思いました。ちょっとだけですけど。あと、『三国志』は三陣営あって、しかも割と長い年月の物語だったんで正直、とっちらかった印象でしたが、『幕末伝』は短い期間のお話だし、坂本龍馬と西郷隆盛に話を絞っているせいで、結構、シュッとしてましたね。今回の『幕末伝』を観て、福田さんって本当は案外真面目な人なんじゃないかと思いましたよ」
弟子
「福田さんが真面目? それはまたかなりの新解釈ですね(笑)」
師匠
「ふざけているシーンでも、『あっ、このやり取り、現実でも見たことがある』というのが結構あるんですよ。割と人間の心の機微というか、人間のダメなところの肯定感みたいなのは、なるほどこの人の作風が好きな人もいるだろうなと思いました」
弟子
「なるほど」
師匠
「ちょっと演劇に近いなと思いましたね。なんならこの噺、舞台で見たいと思いましたもん」
弟子
「くどさ加減は確かに舞台向きかもしれませんね」
師匠
「そのくどさも結構、絶妙というか、計算なのか感覚なのかわからないですが、ちょうどいいんですよね。ああいうのは長すぎてもいけないですが、短すぎても面白くないと思うんです。今回、薩長同盟の場面にかなりじっくりたっぷり時間を割いているんですが、うわっ長いなーと思いつつ、耐えられるか耐えられないかギリギリのところで終わるんですよ。でも、あのくらいの長さがないと面白さが活きてこない」
弟子
「落語の寿限無みたいなものですね」
師匠
「『なげーよ』と突っ込ませるところまでが芸というか。でも、役者が下手だとあそこまで引っ張れない。だからムロツヨシさんも佐藤二朗さんも山田孝之さんもすごい役者さんですね」
弟子
「師匠のお好きな新選組はどうでした?」
師匠
「出番はかなり少ないんですが、近藤役の小手伸也さん、土方役の松山ケンイチさん、沖田役の倉悠貴さん、全員ハマり役でした。特に松山さんはよかったですね。このまま大河ドラマをやってほしいくらいでした」
弟子
「渡部篤郎さんはいかがでしたか?」
師匠
「『爆弾』とはまた違う、軽妙な渡部さんがよかったですね。同じく、『爆弾』に出演されていた染谷将太さんも三吉慎蔵役で出演されていて、彼も良かったです。あと、後藤象二朗役の賀来賢人さんはすごかったですね。短いシーンながらしっかり爪痕を残してました。大久保利通役の矢本悠馬さんはちょっとおとなしめでしたね。あ、竜馬の妻、おりょう役の広瀬アリスさんも良かったです」
弟子
「大河ドラマ『龍馬伝』では真木よう子さんが演じてらっしゃいましたね」
師匠
「大河ドラマといえば、エンディングテーマ曲が福山雅治さんで、ハジけた歌が良かったですね。ちょっと福山さんの龍馬役でこの新解釈を観てみたいとも思いました(笑)」
弟子
「龍馬役というのは織田信長と並んで、役者さんがやりたい歴史上の人物トップクラスじゃないですかね。僕は三谷幸喜さんが書かれた大河ドラマ『新選組!』の江口洋介さんがベスト・オブ・龍馬です」
師匠
「ムロさんも良かったですよ。龍馬のかわいらしい部分が出ていて。劇中では描かれなかったですが、千葉さな子との絡みも見てみたかった」
弟子
「さな子は『もしも徳川家康が総理大臣になったら』で、浜辺美波さんが演じてましたね」
師匠
「ムロさんと浜辺さんのやり取りとか想像できちゃいますよね。あと、ムロさんって結構、家康も向いてるんじゃないかと思いました」
弟子
「じゃあ、次は『新解釈・戦国時代』で(笑)」
関連記事
