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光と闇の使い方が絶妙。劇薬ミステリー【映画「爆弾」】

某日、楽屋にて。

弟子
「師匠、映画の基本ってやっぱり光と影なんですね」

師匠
「なんだい、藪から棒に」

弟子
「いや、この前、『爆弾』っていう日本映画を観に行ったんですが、そのライティングがめちゃめちゃカッコよくてシビれたんですよ」

師匠
呉勝浩さんがお書きになった小説を原作にした映画だね。結構、ヒットしていると聞きますよ」

弟子
佐藤二朗さん演じる謎の男が自動販売機を壊して警察に捕まり、その後、彼が取調室で予告したとおりに次々と都内で爆破事件が起こるというミステリーなんですけど、日本映画って割と照明バンバン焚いて何でもハッキリ見せるじゃないですか。でも、この映画、序盤の警察署のシーンがもう刑事さんたち全員目が悪くなっちゃうんじゃないかってくらい照明が暗いんです」

師匠
「監督は菅田将暉さん主演のミステリー『キャラクター』の永井聡さんですか。『キャラクター』は私も観ましたが、確かに独特のライティングでしたね。韓国の映画やドラマは割とライティングに拘った作品が多くて、日本もだんだんその影響を受け始めているのかもしれません」

弟子
「で、あれ? なんかこの感じ、観たことあるなあと思ったら、『セブン』なんですよ」

師匠
「『エイリアン3』や『ファイト・クラブ』などをお撮りになったデヴィッド・フィンチャー監督の代表作ですね。主演はブラッド・ピットで、猟奇殺人を扱った刑事ドラマでした」

弟子
「フィンチャー監督って、あんまりストーリーとか興味ないって感じ出てるじゃないですか。で、『爆弾』もストーリーより映像を見せる作品になっている印象で、そこも似てるなあと」

師匠
「確かに『キャラクター』でもあまりストーリーテリングは得意じゃなさそうでしたね」

弟子
「ただ、後半、急に普通の映画になっちゃうんですよ。それならいっそ、謎は謎のままで『なんだったんだろう』という感じで終わらせてもよかったんじゃないかと思いましたね」

師匠
「たまにそういう映画ありますね。でも、やっぱり観客としてはちゃんと謎解きはしてもらいたいんじゃないですか」

弟子
「どうですかね。『サイレントヒルf』とか『新世紀エヴァンゲリオン』くらい謎めいていたほうが僕は好きですけど。ただ、意外と佐藤さん以外の役者さんもメチャメチャよくて、そこは見ごたえがありました」

師匠
「どんな方が出てるんですか?」

弟子
「まず、正名僕蔵さん。これがもういかにも正名さんが演じそうな刑事部長でかなり正名ってます」

師匠
「そういうの、既視感って言いません?」

弟子
「それから、渡部篤郎さん。警察官僚を演じられてるんですが、これがもう、カッコいいんだかカッコ悪いんだかわからないという独特の渡部感でしたね」

師匠
「失礼すぎるでしょう。まあ、渡部さん、何気に刑事役多いですからね。『ケイゾク』から『外事警察』、『ビターブラッド』、いろいろやられてきた渡部さんがついに警察官僚まで出世したかと思うと感慨深いです」

弟子
「あと、伊藤沙莉さんもよかったですね。他にも染谷将太さん、夏川結衣さん、加藤雅也さんなど、個性的な役者さんが大勢参加されています。そんな多彩なみなさんが顔芸でぶつかり合うという、さしづめ『爆弾』ならぬ『爆顔(ばくがん)』と言ってもいい映画でしたね」

師匠
「予告を見るとかなり派手な爆破シーンもあるみたいですが」

弟子
「そのあたりはほどほどですね。確かに今までの日本映画に比べると頑張ってるなあと思いますが、今はCGでなんでもできちゃいますから。韓国映画とかに比べたらだいぶ控えめです」

師匠
「最近はネトフリとかで派手なのをバンバンやられちゃってますからね。さぞやりにくいでしょうな」

弟子
「でも、まあ全体としては楽しめました。少なくとも唯一無二の作品にはなっていると思います。ただ、エンドクレジットにフジテレビの文字を見た時は思わず笑っちゃいましたね。犯人に1番爆破されそうな会社じゃんって」

師匠
「映画はやっぱり光と影ですね」


「爆弾」

2025年公開
日本映画
監督: 永井聡
出演: 佐藤二朗、山田裕貴、染谷将太、伊藤沙莉、渡部篤郎、加藤雅也


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