この作品でしか得られない栄養がある|創作大賞感想
波 香月さんときょうたのさんの共作絵本『ろうそく守りのトム』を読んだ。心温まるお話だけど、ただの物語じゃない。想像以上に心癒されるお話である。
これが書籍化されたら、絶対買う。疲れた大人の心にも優しく染み渡るし、子どもにも感じることがきっとある。この作品でしか得られない栄養がある。どうにか書籍化できないかな。いや、ほんとに。物語もイラストも、どちらも素敵なのよ。
私が感想を語ると、陳腐な言葉の羅列になりそうなぐらい、心にグッと来る物語だった。そこに優しい色合いとタッチのイラストがぴったり合って、ポカポカした心をさらにホカホカにしてくれる。
大人だって自信をなくしてしまうことがある。私の自信なんて、家出したまま戻ってきていない。そんな人には、この物語が響くはずだ。いろんな形の「できた」が、実は心の中にあることを思い出させてくれる。「できた」が積み重なって、その人を作っているのだ。
自信の形が「ろうそく」なのも、ポイント高い。自信ってずっと持ち続けられるものじゃない。あるとき消えてしまうのが、ろうそくの火と重なる。自信が戻ってくるとまた火がともるのも、唸ってしまう。それに、燃え尽きるろうそくをとっておくところが優しい。
私のろうそく守りは、どんな子なんだろう。
心がポッキリ折れたときに読み返したいから、やっぱり紙の本で手元に置きたい。何よりも、子どもに読ませてみたいと思った。うちの子どもたちは私に似て自信を持つことができない。素晴らしいことができたから褒めても、「僕だけの力じゃないから」と謙遜する。
そこで、わが家の中2長男に白羽の矢を当てた。
スマホを渡し、早速読んでもらう。
お、目頭押さえているじゃん。
子どもでもうるうる来るんだな。
なんか、頷いているぞ。
読み終わった長男が、スマホを返しながら優しい笑顔で言った。
「とても良いお話だった。これを書いた人は、心が広いんだろうな」
ですってよ。波さんときょうたのさん。
大人の心だけでなく、子どもの心にも響く作品である。だから、お子さんがいる方には、ぜひ読ませてあげてほしい。もちろん、傷ついた大人たちにも読んでもらいたい作品だ。きっと、心に灯火がともるはずだから。
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