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ろうそく守りのトム/文:波 香月 絵:きょうたの

ほめられた時

ひとりで出来た時

ろうそくの部屋をのぞいてごらん

そこにはたくさんの温かな火が……



「キミはどんなことができたんだい?ひとりでボタンをとめられたの?それはすごいや」

赤い炎のような頭の子が

ろうそくを優しくなでると

緑色のろうそくは

嬉しそうに炎を揺らした


この子はろうそくりのトム

わたしの 心の部屋にいる

ろうそく守りなの

トムの仕事は

ろうそくたちの

嬉しい気持ちを聞いたり

すす・・で汚れた所を

キレイにすること


トムが話しかけていた

緑色のろうそくは

「一人でボタンを留められた」って

嬉しい気持ちから

生まれたろうそくなの

「よし、このろうそくは〔はじめてシャツのそでをとおせたとき〕のよこにならんでようね」


ろうそくたちは

私たちが“自信”って呼んでいるものなの

トムは私たちの“自信”を

大切に守ってくれているのよ


トムが毎日見守っていると

突然 ろうそくの火が

消えてしまうこともあるわ

そんな時 トムは優しく近づいて

ろうそくの話を聞くの


「あらあらきえちゃったね。ああ、〔おもちゃをかたづけたとき〕のろうそくか。だいじょうぶ、そのうちまたがつくよ」


前は出来たことが 今は出来なくて

気持ちがモヤモヤしたり

本当は出来るけれど めんどくさいなって

そんな気持ちになることがあるでしょう?

そういう時はね

ろうそくの火が消えちゃうの


そんな風にして

火が消えちゃったろうそくでも

トムは大切に 丁寧に お手入れしてくれる

欠けたり 折れたりしたら

埋めたり つなげたりして

すす・・で汚れていれば

拭いてあげて


そうしてトムがお手入れをしてくれると

また いつか火がついた時に

綺麗な炎になるのよ

トムはね

ろうそくを守るだけで

ろうそくに 火をつけることはしないの

ろうそくの火は

自信が生まれた時に

自然に灯るものだからよ


わたしたちが大きくなると

この部屋に強い風が吹く日も出てくるわ

例えば

お母さんやお父さんに怒られたり

友達とけんかしたりした時

そんな時は

風がびゅうびゅうと

ろうそく達の横を通っていく

この風で

ろうそくの火が消えてしまう時もあるから

トムは慌てて

ろうそく達を風よけで囲って守るの


お母さんや お父さんも

あなたのろうそくの火を

消そうとして風を起こしているんじゃないわ

友達とケンカをすることだって

悪いことだけじゃないのよ

わたしとあなた

お互いのろうそくの火が消えないために

言葉にしたり動くことは 大切なことよ

でもそのせいで

風が吹いて消えちゃうのは

私たちは 一人で生きているわけじゃないんだよ

って 教えているのかもしれないわね


「あ、あれ?」

部屋を見回っていると

トムは火が小さくなっているろうそくを見つけたわ

ろうそくの火は

ゆっくりと ゆっくりと小さくなって

静かに消えていく


「ああ、〔はじめててをふったとき〕のろうそくだね。そうだね、キミはもう、はついていなくていいのかもしれないね」

このろうそくは

見よう見まねで手を振ったら

お母さんが喜んでくれた時の記憶

大きくなったら

“バイバイ”の意味がわかってくるでしょう?


「それじゃあ、こっちでおやすみしていようね」

自然に火が消えたろうそくたちは

部屋の隅にそっと移動させるの

このろうそくがたくさん集まると

新しいろうそくの部屋ができるのよ


さて

私のろうそく守りの紹介はここまで

あなたのろうそく守りは

なんていうお名前の

どんな子かな?



自信を失くした時

もう嫌だと思った時

ろうそくの部屋をのぞいてごらん



ろうそく守りに守られた 温かな火は

今日のキミを

明日のあなたを

きっと包んでくれるから




本作は

文:波 香月 -なみ かづき-
絵:きょうたの|kyotano

による、共同制作の絵本記事です。
#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門
への応募作品となっております。


波 香月はこの記事の投稿人で、他にもTALESにて創作大賞に応募しております。


きょうたのさんは私がお声をかけて絵を描いて頂きました。私の人物イラストも彼女の制作です。
(きょうたのさんの脳内会議をいつもニコニコ見ています☺️)


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