哲学対話書簡 「かわいいってなんでしょう④」
シェア型書店の棚オーナー仲間・おはぎさんと「哲学対話って面白そうですよね?」「いいですね!」と気軽に始まった往復書簡。
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「かわいい」を考えていたら、「可愛げ」という言葉を思い出した。
以前、アドラー心理学の岸見一郎さんにお会いしたとき、本に書かれていたご長男のお話が、我が家の長男と重なると伝えたことがある。
線路のおもちゃで夢中になって遊んでいたご長男に、お客様が「上手だね」と声を掛けた。すると、彼は遊ぶのをやめてしまった。誰かに褒められるためではなく、自分が楽しくて遊んでいたのに、その一言で遊びの意味が変わってしまったのだろう、と書かれていた。
その話をすると、岸見さんは笑いながら、
「それは、可愛いけど、可愛げはないでしょう!」
とおっしゃった。
そして、
「これからが楽しみですね!」
とも。
そのときは笑って終わったけれど、「かわいい」と「可愛げ」は違う言葉なのだと、あとからじわじわ思った。
「かわいい」は私の中に生まれる感情だけれど、「可愛げ」は人と人との間に生まれる言葉なのかもしれない。
私は「かわいい」という言葉が好きだ。
「かわいい」は世界を救うと、本気で思っている。
でも、好きだからこそ、誰に向かって、どんな気持ちで使っているのかを、ときどき立ち止まって考えたくなる。
人に向かって「かわいい」と言うときだけは、少し言葉を選ぶ。
「かわいい」には、どこか相手を見守りたい、大切に思う気持ちが含まれているように思うからだ。
その気持ちは温かいものだけれど、いつも対等な立場から生まれる言葉ではないような気もしている。
だから、人に向かって言うときだけは、ちょっとだけ選ぶ。
それでも、私は、私の思う「かわいい」を全力で守りたいとも思っている。
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