文車妖妃のアルエさん⑥ #AI生成#AIアート#AIイラスト#AI動画
【文車妖妃(ふぐるまようひ)】
古い恋文にこもった想いから変化した妖怪。
美しい女性の姿をしているが、その体は恋文や巻物によって形づくられている。でも、恋文にすらならない想いはどこに行くのだろう。塵が積もって、いつか何かを形づくる日がくるのだろうか。

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池袋デートだ!
待ち合わせをしたのは、池袋東口。
つまり西武池袋線がある方面だ。ややこしいよね、西に東武百貨店があるし。まずアルエさんが抱えている大荷物をコインロッカーに入れに行った。

アルエさんの荷物を抱えて歩くぼくを、不思議そうな表情でまじまじと見つめてくるアルエさん。落ち着かない……。
「どうかした?」
「いや、別に……」
まずはアルエさんの希望でジュンク堂書店へ。
当時は池袋駅東口には「リブロ池袋本店」っていう大きめの書店があったので、そこにも寄ってみる。アルエさんは書店にいると表情がコロコロ変わるので、見てて楽しい。

ちょっと立ち寄るつもりがそこそこ時間が経ってしまったので、次はジュンク堂へ。こっちがメインなのだ。
アルエさんと一緒に本を見ているだけでもなんか楽しい。
結局アルエさんは5冊くらい本を抱えてレジに向かった。何kgあるんだろ。ぼくも何か買って一緒にレジに並んだ記憶があるんだけど、何を買ったのかは覚えていない。

アルエさんが買った本も一緒に持って歩くぼくを、アルエさんがまた不思議そうに見てくる。なんなんだろう……。時計を見るともう昼を過ぎていたので、アルエさんおすすめの小さな喫茶店に入った。
喫茶店は、アルエさんが大学時代によく通っていたお店らしい。こんなオシャレな店入ったことないや…。確かに周りには女子大生っぽい女の子がちらほらいる感じ。

食事をしながらアルエさんがぼくに言った。
「ナマコさんって、そんなに気が利く人だった?無理してない?」
「!!!!」
ナマコの女性遍歴
ナマコはナマコなので普通に考えたら恋愛対象外なのだけど、特殊性癖をお持ちの方には刺さるらしい。学生時代から、なぜか告白されるパターンが多かった。でも、生物学的に違うせいか、ぼくが誰かを好きになることはない。
結果、「付き合って」と言われれば断らずに付き合い、「別れて」と言われれば引き留めもしない、何かが欠落したマシーンになり果てていた。そして、そのせいで散々えらい目にあって、半分女性不信に陥っていた。

「それ事実ですけどォ!!!」
ライターになってからは、めっちゃ怖い年上の女性とお付き合いして、
・女性の荷物は小さなバッグ以外は持つ
・女性に車道の横は絶対に歩かせない
・ドアの開け閉めを女性にやらせない
・髪、服、靴をしっかり見て必ず褒める
などをはじめとした、フェミニスト的な思想が強化されたトリセツみたいな行動を暴力込みで叩き込まれていた。最終的に土下座して別れてもらった。刺されるかと思った。そんなことを思い出しながら、笑って答えた。

アルエさんの叫び
最初は軽く会って話をするだけの予定だったけど、あまりにも会話が楽しくて、アルエさんがホテルにチェックインしてから再度待ち合わせて夕食も一緒に行くことになった。
夕食も池袋のちょっとオシャレなレストランだ。池袋は休日にはよく来るけど、ジュンク堂かビックカメラか東急ハンズくらいしか行かないぼくには新鮮だった。

アルエさんは親の意向で二度ほどお見合いをしていた。
なんかドキッとした。
そのうち一人は、本が好きだというアルエさんに「俺も本が好きで」と言って延々とワンピースの話をしてきたらしい。
「私は漫画も好きだよ?でもね……」
「なんで漫画の話しかできない男と結婚しなきゃいけないのよ!!」
アルエさんがキレてるとこ初めて見た。
そっか、付き合うのと違って結婚って一緒に生活するんだもんなあ。アルエさんみたいな超人でも相手を探すのって大変なんだなあ……。
そんなことを考えながらボーっとするぼくに、アルエさんは言った。
「ナマコさんはどうなの?」
「あ、そういうのぼくはいいんで」

その後もしばらく話し込んで、ちょっと酔ってるアルエさんをホテルまで送り、その日は解散した。ただ、それから毎月会ってデートするのが習慣になっていった。
(つづく)
