【子どものお金教育|第1回】子どもに100万円を贈る。老後のためではなく、今を自由に生きてもらうために
私は、3人の子どもが18歳になったとき、それぞれに100万円を贈ろうと思っています。
ただし、自由に使っていい100万円ではありません。
この100万円には、一つだけ大きな役割を与えます。
全世界の株式に投資するインデックスファンドに入れて、長い間、そのまま持ち続けてもらうことです。
なぜ、そんな贈り方をするのか。
それは、100万円を贈ることで、子どもたちの老後の不安を、今のうちにほとんど消してあげられると考えているからです。
「たった100万円で老後の不安が消えるわけないでしょ!?」
➡ そう思うかもしれませんが、実はその効果は絶大です。
そして、本当に贈りたいものは老後のお金ではありません。
若いうちに、好きなことや本当にやりたい仕事に挑戦できる自由です。
17年間、3,000世帯以上のお金の相談をしてきて考えたこと
私はファイナンシャルプランナーとして、17年以上にわたり、3,000世帯以上のお金の相談を受けてきました。
教育費、住宅購入、保険、資産運用、相続、老後資金。
たくさんの家族の人生とお金を見てきて、ずっと考えてきたことがあります。
「親は、子どもに何を残してあげればいいのだろう?」
もちろん、多くのお金を残せれば、それも一つの助けになります。
でも、ただお金を渡すだけでは、本当の意味で子どものためになるとは限りません。
お金について何も知らないまま100万円を受け取ったら、すぐに使ってしまうかもしれません。値上がりしそうなものに飛びついて、失ってしまうかもしれません。
それ以上に心配なのは、「お金は簡単にもらえるものだ」という感覚を持たせてしまうことです。
お金は、使い方を知っていれば、人生の自由を増やしてくれます。
けれど、使い方を知らなければ、かえってその人の成長や自由を奪ってしまうこともあります。
だから私は、100万円だけを渡すのではなく、100万円と一緒に、お金と付き合う力を渡したいと思っています。
現在、子どもたちは15歳、13歳、8歳です。
一番上の子にこの教育を実際に始めるのは、今から3年後になると思います。
この連載は、そのときに何を、どんな順番で伝えるかを考えるための、私自身のメモでもあります。
でも、もし「子どもにお金のことを教えたいけれど、何を教えたらいいのか分からない」と考えている親御さんがいたら、きっと参考になる部分があると思います。
ここで、最初の4択クイズです
20歳のときに100万円を投資したとします。
その100万円が年7.2%で増えるとしたら、70歳のときにはいくらになっているでしょうか。
1. 200万円
2. 800万円
3. 1,600万円
4. 3,200万円
少し考えてみてください。
・・・・
・・・・
・・・・
正解は、4番の3,200万円です。
年7.2%なら、10年ごとに2倍になっていきます。
· 20歳 100万円
· 30歳 200万円
· 40歳 400万円
· 50歳 800万円
· 60歳 1,600万円
· 70歳 3,200万円
100万円が200万円になり、200万円が400万円になり、400万円が800万円になる。
最初に生まれた利益が、次の利益を生み、その利益がさらに次の利益を生んでいきます。
これが、複利の力です。
投資したお金が約何年で2倍になるかを簡単に計算する方法に、「72の法則」があります。
72を運用利率で割ると、お金が約2倍になるまでの年数が分かります。
72÷7.2=10。
つまり、年7.2%で運用できれば、約10年で2倍になるということです。

もちろん、必ずこうなるわけではありません
実際の投資では、毎年きれいに7.2%ずつ増えるわけではありません。
大きく上がる年もあれば、30%、40%と下がることもあります。70歳のときに必ず3,200万円になると約束されているわけでもありません。税金や手数料、物価上昇の影響もあります。
それでも、世界中の企業に分散して投資し、非常に長い時間をかけて持ち続けることで、世界経済と企業の成長を取り込める可能性があります。
ここで本当に大切なのは、「必ず3,200万円になる」ということではありません。20歳の時点で、未来に向けた100万円の種がすでに植えられていることです。
もし老後を迎えたとき、3200万円程度のお金があると分かっていたら?
少なくとも、「老後のお金をゼロから準備しなければならない」という不安は、大きく減らせるでしょう。
未来のための100万円が、今の自由をつくる
ここまで読むと、「結局、老後のためにお金を貯めておこうという話なのか」と思うかもしれません。
でも、私が子どもたちに本当に伝えたいのは、むしろ逆です。
未来に向けた100万円は、親から先に用意しておく。
だから20代、30代のうちは、老後を心配してお金を貯め込むことよりも、今の自分を育てるために、時間と労力とお金を使ってほしいのです。
本を読んでもいい。
興味のあることを勉強してもいい。
会いたい人に会いに行ってもいい。
知らない世界を見るために旅をしてもいい。
会社員として働きながら、仕事の基本や専門的なスキルを身につけてもいい。
その後、フリーランスや経営者の道に挑戦するのもいいでしょう。
もちろん、会社員として、自分らしく働き続けるのもいい。
そしてたくさんの失敗をしてほしい。失敗しても将来は大丈夫という経済的な安心があれば、チャレンジができます。

20代のうちに大切なのは、自分が何を好きなのか、何が得意なのか、何を大事にして生きたいのかを知ることです。
そして、情熱を注げる分野を見つけたら、そこに全力で取り組んでみる。
若いときの自己投資は、金融投資以上のリターンを生むことがあります。
身につけたスキルや経験は、その後何十年にもわたって、収入や仕事の選択肢を増やしてくれるからです。
それだけではありません。
好きなことに挑戦した経験や、人との出会い、旅先で見た景色は、その後いくらお金を払っても買い戻せないことがあります。
20代という時間そのものが、一度しか手に入らない貴重な資産なのです。
「未来の君には、老後の心配をなくす種となる100万円を贈る。
だから若い君は、今しかできないことをやってほしい。」
これが、この贈り物に込めたい一番大きなメッセージです。
100万円を渡す前に、一緒に学びたいこと
ただし、100万円は何も考えずに渡すつもりはありません。
渡す前に、お金と人生について、子どもたちと一緒に学ぶ時間をつくります。
複利とは何か。
なぜ全世界の株式に投資するのか。
値下がりしても、なぜ慌てて売らないのか。
金融投資と自己投資を、どう考えるのか。
消費、浪費、投資は、何が違うのか。
自分の好きなこと、得意なこと、大事にしたいことは何か。
どんな仕事を選び、どんな人生を生きたいのか。
借金や詐欺から、どうやって自分の自由を守るのか。
そうしたことを学んだうえで、最後に「自分は、お金を使ってどんな人生を生きたいのか」を、自分の言葉で話してもらおうと思っています。
私と同じ考えになる必要はありません。
知識をすべて暗記する必要もありません。
大切なのは、親に言われたとおりにすることではなく、自分で考え、自分で人生を選べるようになることです。
その課題を終えたとき、100万円を贈ります。
お金だけではなく、未来の安心と、今を自由に生きるための知恵を一緒に渡す。
それが、17年以上お金の相談をしてきた私が、わが子にしてあげたいと思っている金融教育です。

では100万円を渡す前に、具体的にはどんな感じで
子供たちにお金のことを教えていくのか?
どんな課題を与えるのか?
それを連載で、次回以降の記事で紹介していきます。
これは、私にとっての子供たちに教えるときのための大切な極秘メモでもあります。
次回は、金融投資よりも大きなリターンを生むかもしれない、「若いうちの自己投資」について考えてみます。
20代は、金融投資より自分に投資しろ。
なぜそう考えるのか、次回はそこを掘り下げます。
【子どものお金教育|第2回】10万円の自己投資が2,600万円に? 20代は、金融投資より自分に投資しろ
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