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NISAの資産が急増!もしもの時に慌てない「相続手続き」と「3つの盲点」

こんにちは。広島市安佐南区で相続と事業承継を専門にしている税理士のスエナガです。

ここ数年、税制改正による投資枠の拡大や世界的な株高の影響もあり、「気づけばNISA(少額投資非課税制度)の口座残高が想像以上に膨らんでいた」という方が多いのではないでしょうか。

資産運用が順調なのは素晴らしいことです。
ですが、もしその口座の名義人が亡くなってしまったら、その遺されたNISA資産はどうなるのでしょうか?

「NISAは非課税だから、相続税もかからないし手続きも簡単でしょ?」

実は、これが一番危険な勘違いです。

NISA口座の資産が大きくなっていればいるほど、相続発生時の税金面での落とし穴も大きくなります。

今回は、NISA口座を持つ方が亡くなった際のアクションプランと、絶対に知っておくべき注意点を徹底解説します。


NISA口座の相続手続き「4つのステップ」

NISA口座の資産は、名義人が亡くなったからといって自動的に家族の口座へ移るわけではありません。

まずは、大まかな手続きの流れを押さえましょう。

ステップ①:金融機関への連絡と口座凍結

名義人が亡くなったことを、NISA口座がある証券会社や銀行に連絡します。連絡を入れた時点で口座は「凍結」され、新たな売買や出金は一切できなくなります。

同時に、相続手続きに必要な書類(案内書)と、死亡日の残高証明書の請求を行います。

ステップ②:必要書類の収集

金融機関から指定された書類を揃えます。一般的には以下のものが必要です。

亡くなった人の戸籍謄本(出生から死亡までの一連のもの)
相続人全員の戸籍謄本および印鑑証明書
遺産分割協議書(または遺言書)
金融機関指定の「相続手続依頼書」

ステップ③:相続人の「特定口座」等の開設

ここが最大のポイントです。 亡くなった人のNISA資産をそのままの状態で引き継ぐことはできません。引き継ぐ側の相続人は、「同じ証券会社(金融機関)」に口座(一般口座または特定口座)を持っている必要があります。 もし持っていない場合は、新たにその証券会社で口座を開設しなければなりません。

ステップ④:移管(名義変更)の実行

書類が受理されると、亡くなった人のNISA口座内にある株や投資信託が、相続人の口座へと「移管(スライド)」されます。これで手続きは完了です。


金額が大きくなったからこそ注意すべき「3つの盲点」

NISAの残高が数百万円、あるいは一千万円を超えているような場合、以下の注意点を怠ると、後から思わぬ税負担やトラブルに見舞われることになります。

盲点①:「非課税」なのは所得税だけ!相続税はガッツリかかる

「NISA=非課税」というイメージが強すぎるあまり、「相続税もかからない」と思い込んでいる方が非常に多いです。

しかし、NISAの非課税メリットは、あくまで「生前の運用益や配当金に対する所得税・住民税」に限られます。

あくまでも、NISA口座を開設し、投資した人が生きている間だけ配当金や売却益を非課税とする制度です。


よって、亡くなった時にNISA口座に残高があれば、相続税はかかります!!


名義人が亡くなった時点でのNISA口座の残高(時価評価額)は、すべて相続税の課税対象になります。
預貯金や不動産など、他の財産と合算して基礎控除(3,000万万円 + 600万円 ×法定相続人の数)を超える金額は、相続税の申告と納税が必要です。

金額が大きく膨らんでいる人ほど、相続税の試算を早めにしておく必要があります。


盲点②:亡くなった時点で「非課税枠」は消滅する

相続人がNISA口座の資産を引き継ぐ際、「自分のNISA口座」に直接移すことはできません。

【重要】
亡くなった人が保有していた株や投資信託は、亡くなった日の時価で、相続人の「課税口座(特定口座または一般口座)」に移されます。

要するに「非課税枠」は、その人限りという事です。


よって、引き継いだ後の値上がり益や分配金には、通常通り約20%の税金がかかるようになります。

「親のNISAをそのまま引き継いで非課税で運用を続けよう」ということは不可能なのです。


盲点③:引き継いだ後の「取得価額」のトラップ

金額が大きく上がった(含み益が出ている)状態で相続すると、相続人が引き継ぐ際の「元本(取得価額)」は「死亡日の時価」に洗い替えられます。

一見、高く引き継げるので得に見えますが、問題は「大暴落して大損しているケース」です。

資産規模が大きいほど、死亡時の株価のブレが相続人のその後の税負担に直撃します。

国税庁 Q24非課税口座開設者が亡くなった場合


トラブルを防ぐための生前対策とアドバイス

もし、ご自身やご家族のNISA金額が大きくなっているなら、今からできる対策があります。

家族に「どの証券会社を使っているか」を共有しておく

ネット証券(SBI証券や楽天証券など)の場合、実店舗がないため、通帳や郵送物がなく家族が口座の存在自体に気づかないリスクがあります。

スマホのアプリやログイン情報は教えなくても構いませんので、「〇〇証券にNISAがある」ということだけはエンディングノート等に書き残しておきましょう。

そして、IDとパスワードも「生きている間に」公表するのは気が引けるでしょうが、万が一の際に「ここにある」ということだけは引き継いでおきましょう。

ログインできなければ、何の手続きも先に進まないこともあり得ます。


相続人になる人も、同じ証券会社に口座を作っておく

万が一の際、スムーズに移管を完了させるために、配偶者や子供も同じ証券会社に口座を開設しておくと、手続きの時間を大幅に短縮できます。


我が家においても、夫婦それぞれが別の証券会社にNISA口座を開設しているので、どちらかが亡くなった場合には、相手の証券会社へ証券口座を開く必要があり、非常に面倒だなと思っています。

我が家においても、終活の一環で、事前に整理しておくことが重要となりそうです。


遺言書で「誰にNISAを譲るか」を決めておく

投資信託や株式は日々の値動きがあるため、遺産分割協議が長引いている間に価値が下がってしまうことがあります。

遺言で引き継ぐ人を指定しておけば、迅速に移管手続きを進めることが可能です。


まとめ:資産が大きいなら、生前の整理が不可欠


NISAは素晴らしい資産形成の武器ですが、その出口(相続)においては、通常の預貯金よりもはるかに多くのステップと税知識が必要になります。

特に、新NISAになってから投資額が増え、世界的な株高も相まって、資産が大きく膨らんだ方は、残された家族がパニックにならないよう、あらかじめ仕組みを理解し、情報を共有しておくことが最大の優しさです。

「我が家の場合は、相続税がかかるの?」
「ネット証券の手続きが不安…」
という方は、資産が大きくなる前に、一度相続に強い税理士などの専門家へ相談してみることをおすすめします。


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