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座席運の弟と、交通トラブル運の私

弟は、電車に乗っている人がいつ降りるか、わかるらしい。

電車の中で

「あの人が早く降りるから、その前に立とう」ということをよく言う。

だいたい、当たる。

次の駅や数駅先でその人は降りたりする。

そして私のその席を譲ってくれる。

やさしい弟だ。

「なんでわかるの?!」

と聞いてみた。

「なんでわからないの、もう〜!」

と、怒られた。

返事はやさしくなかった。

それで私は素直に思った。

そうか、普通の人は、誰が降りそうか、わかるものなんだな、と。


それ以来、電車では乗客を一生懸命観察することにした。

腕を組んで眠っている人。

この人は、しばらくは降りないな。

大きな荷物を持ってキョロキョロしている人。

この人は観光客だから、割と長く乗っているかも。

イヤフォンを外そうとしている人。

あ、次あたりで降りるかも?

などなど。

たまに当たることもあったけれど、ほとんどははずれた。

どうやら私は、観察眼が足りないようだ。


ある日また弟と出かけた。

ホームに電車が入ってきたとき、弟が「あっちの入り口から入ろう」と言って、移動した。

「あの車両の人が、早く降りる気がするから」と。

まだ電車の中の人が見えない段階で、そんなことまで察知できるのか。

そしてやはり、弟が目星をつけた人は、次の駅で降りて行った。

「どうしてわかるの?!」

前より強めに聞いてみた。

「なんとなくわかるんだよね」

と言う返事だった。

観察眼は、関係なかったらしい。

理屈がわからないので、訓練したところで真似できない。

怒られて損をした。


ちなみに、弟はくじ引きも得意だ。

当たりの棒は、大きく見えたり、光って見えたりするそうだ。

私はくじは当たらないが、よく当たるものがある。

交通トラブルだ。

飛行機の欠航には本当によく当たる。

冬は2〜3回に1回は遅延か欠航する。

すっかり慣れてしまって、予定日の前日に移動している。

あるとき弟と、遠方のテーマパークに出かけた。

楽しんでいる最中に、航空会社から、欠航のお知らせが届いた。

仕方がないので弟の家に泊めてもらうことにして、高速バスで家に向かった。

すると今度はトンネルの事故ということで、数時間バスに閉じ込められた。


弟は静かに怒っていた。

たぶん、私のせいだと思っている。

その日は泊めてもらえた。


でも。

その後数年間、遠方で会うのはお断りされた。


#エッセイ #日常エッセイ #電車 #くすっと笑える #スーの記録


弟と一緒に向かった大学受験で飛行機が欠航になった話はこちら。

「小さな理由で進学先の大学を決めた話」

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