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【閑古鳥雑貨店のプク】母の日の箱を、まだ渡せずにいる朝|ロクシタンのハンドクリームギフト


五月が近づくと、店の前を歩く人の手元に、
花の紙袋が増えてきます。

カーネーション。
焼き菓子の箱。
小さな包み。

母の日が近いのだな、と
毎年それで気づきます。



うちの店は、相変わらずです。

棚の上には、絵本と、小さな器と、木のトレー。
昨日とほとんど同じ顔ぶれが、
今日もきちんと並んでいます。

売れていないのに、整っている。

それはそれで、
店としてどうなのだろうと思います。


プクは窓ぎわの椅子にいました。

前足をそろえて、
外を見ています。

猫はいいです。

母の日の贈りものに、
悩まなくていいので。



今年の母の日は、
どうしようかなと思っていました。

花はきれいです。
お菓子もいい。
お茶もいい。

でも今年は、
使うたびに少しだけ思い出してもらえるものが
いいなと思いました。

カウンターの上に、
小さな箱を置きました。

ロクシタンの母の日ギフトです。

ローズと、ラヴァンドブランシュ。
二つの香りのハンドクリームが入っています。

春らしいポーチと、
渡すときに使える紙袋も付いています。



ローズは、
朝摘みの花のような香りだそうです。

もうひとつは、
洗い立てのリネンのような、
清潔感のある香り。

南仏。
プロヴァンス。
庭園。
風。
ローズ。

うちの店の現実とは、
だいぶ距離があります。

こちらは、レジの小銭を数えて、
プクの毛を棚からそっと払っているくらいです。

けれど、贈りものを選ぶときくらい、
少し遠い景色を借りてもいい気がします。



箱の横に置いた紙袋の持ち手に、
プクが鼻を近づけました。

ひげが、少しだけ揺れます。

「それは、プクのじゃないよ」

そう言うと、
プクは何も聞いていない顔で、
箱のとなりに腰を下ろしました。

箱よりも、
ずいぶん堂々としています。



母の手を思い出しました。

台所に立つ手。
買い物袋を持つ手。
洗濯物をたたむ手。

母の日に何を贈るかと聞かれると、
毎年、正解がわからなくなります。

でも、手をいたわるものなら、
それほど外していない気がしました。



ハンドクリームは、
大きな贈りものではありません。

でも、そのくらいの軽さが、
母の日にはちょうどいい気もしました。

「いつもありがとう」

そう言うのは、
まだ少し照れます。

言えばいいのに、と思います。

けれど言えないまま、
箱を選んでいる。

人間は、なかなか面倒です。




同じ箱が気になる方のために、
そっと置いておきます。

ロクシタンの
「ローズ&ラヴァンドブランシュ ハンドクリームギフト」は、
母の日にも選びやすいセットだと思います。

ローズとラヴァンドブランシュのハンドクリーム。
春らしいポーチと、渡すときの紙袋付き。

ありがとうと言うのが少し照れくさい日に、
こういう箱があると助かります。




夕方、プクは椅子を下りてきて、
レジのそばで一度だけ鳴きました。

たぶん、ごはんです。



母の日より、
まず晩ごはん。

それもまた、
うちの店らしい一日でした。




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