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#325 育成指導とは、感覚を育てること

前回の記事では、ドリブル練習の意味について書きました。

ドリブル練習の価値は、単にドリブルが上手くなることではありません。
ボールを手で扱う力、つまりハンドリング能力を高めることにあります。

そしてそのハンドリングとは、最終的には
“感覚のレベルまで昇華されていること“
が大切だという話をしました。

頭で理解しているだけではなく、
考えなくても自然に扱える。

そこまで磨き上げて初めて、本当のスキルになるということです。

そしてその話の中で、もう一つ触れたことがあります。

それは
“育成指導者の仕事は、子どもたちのスキルを感覚のレベルまで昇華させること“
ではないか、ということです。

しかしここで、育成世代ならではの問題が出てきます。

それは、
“感覚のレベルが人それぞれ違う“
ということです。

子どもたちはそれぞれ違う環境で育ち、違う経験をしています。

これまでどれくらいボールに触れてきたのか。
どんな練習をしてきたのか。
どんな身体の使い方をしてきたのか。

それによって、今の感覚のレベルは当然変わってきます。

さらに言えば、学び方も人それぞれ違います。

見て覚える子もいれば、やってみて理解する子もいます。

言葉で説明されると理解しやすい子もいれば、
体を動かしながらの方が理解できる子もいます。

そう考えると、

現在地も違う。
学び方も違う。

その結果として、習得のスピードや理解の深さも変わってくる

というのは自然なことです。

だからこそ、育成の現場では一つの問いが生まれます。

それは
“「自分が学んできた方法」をそのまま伝えるだけで、本当に良いのか“
という問いです。

指導者にもそれぞれ経験があります。

「自分はこうやって学んできた」
「この練習で上手くなった」

そうした経験はとても大切です。

しかし、それがすべての子どもにとって同じように機能するとは限りません。

ある子にとっては分かりやすい方法でも、
別の子にとっては理解しにくい場合もあります。

もし指導が一つの方法だけになってしまうと、その方法が合う子は伸びるかもしれません。
しかし合わない子は、なかなか理解できないかもしれません。

すると結果として、感覚まで落とし込める子と、そうでない子の差が広がってしまう可能性もあります。

ここで大切になってくるのが、
“指導の再現性“
という視点です。

指導とは、ただ経験を語ることではありません。

子どもたちが理解し、
実際にできるようになり、
最終的には感覚として扱えるようになる。

そこまで導いていくことができて初めて、指導として意味を持つのではないかと僕は思っています。

つまり、
“感覚まで落とし込むお手伝いをすること“
これが育成指導者の大切な役割の一つなのではないでしょうか。

そのためには、細かな修正や調整が必要になります。

大きな方向性は同じでも、一人ひとりの状態に合わせて伝え方や練習を調整していく。

その積み重ねによって、少しずつ感覚が磨かれていきます。

だからこそSTEPでは少人数での指導を大切にしています。

多くの人数を一度に指導する場合、どうしても全体への指示が中心になります。

しかしそれだけでは、今その子がどの段階にいるのか。
何ができていて、何がまだできていないのか。

そこまで細かく見ることは難しくなります。

STEPでは、個人スキルに特化した少人数指導を行っています。

一人ひとりの動きを見ながら、
今どこに課題があるのか。
どこを修正すればよいのか。

そうした部分を細かく確認していきます。

知識として理解している段階なのか。
実際にできる段階なのか。
それとも、感覚として扱える段階なのか。

その段階を見ながら、少しずつ修正していきます。

そしてその中で、感覚として扱えるスキルを磨いていきます。

このようにして身につけた個人スキルは、チーム練習の中で大きな力になります。

チーム練習では、

戦術
連携
判断

といった、また違った学びがあります。

しかし、そこに参加するための土台として個人スキルが感覚として扱える状態になっていることは、とても大きな意味を持ちます。

ボールを扱うことに意識を取られず、
プレーの判断に集中できるようになるからです。

そうなることで、チーム練習の中でもより多くのことを吸収できるようになります。

そして結果として、また一段違ったバスケットボールを習得できるようになるはずです。

育成の現場では、どうしても
「何を教えるか」
という部分に目が向きがちです。

しかしそれと同じくらい大切なのは、
“それが本当に感覚として身についているのか“
という視点ではないでしょうか。

知識として知っているだけなのか。
実際にできるのか。
それとも、無意識でもできるのか。

この段階を見ながら子どもたちと向き合うこと。

そして、感覚として扱えるスキルを育てていくこと。

それが子どもの感覚を養うということであり、
育成指導者の大切な仕事の一つだと僕は考えています。

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