AIに選ばれる店舗は、クチコミ件数が多い店なのか?パーソナルジムを50問で調査して見えたこと
生成AIに「初心者でも通いやすいパーソナルジムは?」「食事指導を受けられるジムは?」「駅から近い店舗は?」と質問し、店舗を探す行動が広がりつつあります。
これまでの店舗集客では、検索結果やGoogleマップで上位に表示されることが重要でした。
しかし、生成AIの普及によって、ユーザーの店舗選びは変化し始めています。AIが複数の情報を読み取り、条件に合う店舗を選び、理由を添えておすすめするようになっているためです。
では、AIは店舗を推薦するとき、何を情報源としているのでしょうか。
また、Googleビジネスプロフィールのクチコミ件数が多ければ、AIからもおすすめされやすくなるのでしょうか。
今回、都内のある主要駅周辺にあるパーソナルジムを対象に、AIによる店舗推奨とGoogle上の店舗情報の引用状況を調査しました。
AIとクチコミの関係についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
50の質問でAIの店舗推奨を調査
調査では、パーソナルジムを探しているユーザーが実際に入力しそうな50の質問を用意しました。
質問には、次のような条件を含めています。
初心者でも通いやすい
お腹周りを引き締めたい
食事について相談できる
駅から徒歩5分以内
夜遅くまで営業している
身体が硬い人でも通いやすい
筋力をつけながら健康的に痩せたい
それぞれのAI回答について、紹介された店舗、回答内容、引用元を確認し、Google上の店舗情報がどの程度使われているかを集計しました。
68%の回答でGoogleの店舗情報が引用された

50問のうち、Google上の店舗情報が引用されていたのは34問でした。
引用率は68%です。
特に、駅の出口や周辺施設など、立地・アクセスに関する質問では、7問中6問、85.7%の回答でGoogleの情報が引用されていました。
この結果から、AIが地域の店舗を推薦・説明する際、Google上の店舗情報が主要な情報源の一つになっていると考えられます。

ただし、Googleの情報だけで推薦結果が決まっているわけではありません。
AI回答では、公式サイト、比較記事、予約サイトなどもあわせて引用されていました。今回確認できたのは、AIによる店舗推奨の多くで、Google上の店舗情報が実際に回答材料として使われているということです。
引用される店舗には大きな偏りがあった
Google由来の引用は、合計79件確認されました。
引用先は33のGoogle店舗に分かれていましたが、すべての店舗が均等に引用されていたわけではありません。
引用上位3店舗の結果は次のとおりです。

また、上位3店舗だけで、Google由来の引用全体の40%弱を占めています。
つまりAIは、質問ごとに異なる店舗を均等に参照しているのではなく、一部の店舗情報を、複数の質問への回答根拠として繰り返し利用していることが分かりました。

クチコミ数が最も多い店舗が、最も引用されたわけではなかった
次に、引用回数が多かった上位3店舗について、Googleビジネスプロフィールのクチコミを比較しました。

クチコミ総数が最も多かったのは店舗Cでした。
しかし、AI回答で最も多く引用されていたのは店舗Aです。
また、3店舗の平均評価はいずれも4.9点台であり、大きな差はありませんでした。
少なくとも今回の3店舗では、クチコミ件数や星評価の高さだけでは、AI回答での引用回数の差を説明できませんでした。
引用回数と同じ順番だったのは、クチコミ本文の情報量
クチコミ本文を詳しく確認すると、別の違いが見えてきました。
引用回数が最も多かった店舗Aは、クチコミ本文の総文字数が最も多く、1件あたりの記述量も多い傾向がありました。
クチコミには、次のような幅広い情報が含まれていました。
トレーナーの指導や接客
初心者への対応
個人に合わせたトレーニング
筋力アップやボディメイク
姿勢や身体の不調
食事や栄養
予約や通いやすさ
トレーナーの専門性や知識
単に「良かった」「おすすめです」と評価するだけではなく、どのような目的で通い、どのような指導を受け、何が変わったのかが具体的に記載されていました。
こうしたクチコミは、AIにとって店舗の特徴を理解するための情報になります。
たとえば、「初心者でも通いやすい店舗」という質問に対しては、初心者の体験が記載されたクチコミが回答材料になり得ます。
「身体の状態に合わせて指導してくれる店舗」という質問では、姿勢や身体の悩みに合わせた対応について書かれたクチコミが、店舗との意味的な接点になります。
クチコミに含まれるテーマが多いほど、さまざまな質問と店舗を結びつけやすくなる可能性があります。
クチコミの量よりも、「AIが読み取れる情報」が重要なのか
今回の調査だけで、クチコミの内容がAIからの引用を直接増やしたと断定することはできません。
店舗の知名度、立地、公式サイトの情報量、外部メディアへの掲載状況など、クチコミ以外の要因も影響している可能性があるためです。
また、クチコミ比較の対象は引用上位3店舗に限られています。
一方で、今回の調査では次のことが確認できました。
AI回答の68%でGoogle上の店舗情報が引用された
引用される店舗には大きな偏りがあった
クチコミ件数が最も多い店舗が、最も引用されたわけではなかった
引用回数が多い店舗ほど、クチコミ本文の情報量やテーマが豊富だった
クチコミ本文の総文字数とAI引用回数の順位が一致した
この結果から、AI時代のクチコミ施策では、単に件数を増やすだけでなく、AIが店舗の特徴を理解できる具体的で多様な顧客体験を蓄積することが重要になる可能性が示唆されます。
すでにクチコミ数が多い店舗の次の改善余地
今回比較した店舗の中には、クチコミ件数と評価の両面ですでに高い水準にある店舗もありました。
こうした店舗にとって、次の改善余地は、件数をさらに増やすことだけではありません。
なぜその店舗を選んだのか
利用前にどのような悩みがあったのか
どのような指導を受けたのか
スタッフの何が良かったのか
利用後に何が変わったのか
どのような人におすすめできるのか
といった体験がクチコミとして蓄積されることで、AIが店舗の特徴や選ばれる理由を理解しやすくなります。
これは、AI対策のために特定の言葉を不自然に書いてもらうということではありません。
利用者が実際に感じた価値を、具体的な言葉で残してもらうことが重要です。
クチコミは「評価データ」から「店舗理解のデータ」へ

これまでクチコミは、星評価や件数によって店舗の信頼性を示すものとして捉えられてきました。
生成AIが店舗選びに介在するようになることで、その役割は変わり始めています。クチコミは評判を示すだけでなく、
どのような人に向いているのか
どのような悩みを解決できるのか
どのようなサービスを受けられるのか
ほかの店舗と何が違うのか
をAIに伝える情報資産になります。
AI時代のクチコミ施策では、件数を追いかけるだけでなく、顧客が感じた具体的な価値を蓄積する設計が求められるのではないでしょうか。
まとめ
今回の調査では、AIによる店舗推奨において、Google上の店舗情報が高い頻度で引用されていることが確認されました。
また、引用は一部の店舗に集中しており、クチコミ数が多い店舗ほど引用回数が多いという単純な関係ではありませんでした。
引用回数が多い店舗では、本文のあるクチコミが多く、利用目的、指導内容、スタッフの専門性、身体の変化など、具体的な情報が豊富に記載されていました。
今回の結果は因果関係を証明するものではありませんが、
AI時代のクチコミは、件数を競うだけの評価指標ではなく、AIが店舗を理解し、ユーザーに推薦するための情報資産になる
という可能性を示す結果になりました。
今回の調査から、AI時代のクチコミでは、件数だけでなく、スタッフの接客や専門性、顧客が感じた具体的な価値を言語化して蓄積することが重要だと考えられます。
「スタッフバリュー」では、現場スタッフの魅力や貢献を可視化し、質の高いクチコミや店舗コンテンツとして資産化することで、AIにも選ばれやすい店舗づくりを支援します。

