AIがお店をすすめる時代に、なぜクチコミが重要になるのか
お店の探し方が、少しずつ変わっています。
これまでは、Googleでキーワードを検索し、検索結果やGoogleマップに表示された店舗を見比べながら、Webサイトや写真、クチコミを確認して来店先を決めるのが一般的でした。
もちろん、こうした探し方が急になくなるわけではありません。
ただ、生成AIの普及によって、「キーワードを入れて自分で探す」だけでなく、AIに相談しながら候補を絞り込むという選択肢が増え始めています。
たとえば、こんな聞き方です。
子連れで行きやすい飲食店は?
初めてでも相談しやすい美容室は?
スタッフの対応が丁寧な車検のお店は?
クチコミで接客が評価されているお店は?
ギフト選びを手伝ってくれる店舗は?
従来の「地域名+業種」という検索よりも、ずいぶん相談に近い聞き方ですよね。
こうした質問に対し、AIはWeb上の情報やGoogleマップ上の情報を参照しながら、条件に合いそうな店舗を整理して提示します。
この変化を考えたとき、改めて重要になるのが、Googleビジネスプロフィールとクチコミです。
クチコミはこれまで、主にユーザーが来店前に読む「評価情報」として扱われてきました。
これからも、その役割は変わりません。
一方で、AIが店舗について理解し、特徴を整理するための情報ソースとしても、クチコミの存在感は増していくと考えられます。
これはかなり大きな変化だと思っています。
1. Google上の情報が、AIの参照元として存在感を増している
AI検索の変化を考えるうえで、興味深い調査があります。
Profoundが公開したGoogle AI Modeの分析によると、2026年4月15日から6月30日の間に、google.comの引用シェアは8.4倍に増え、AI Modeにおける引用ドメインランキングで2位になったとされています。
その増加をけん引したのが、Googleビジネスプロフィールなど、Google自身が保有・表示する情報領域でした。

参考:
Google AI Mode's shift to citing itself
店舗ビジネスにとって、これは見過ごせない変化です。
これまでは、検索結果から自社サイトへ来てもらい、そこで店舗の魅力やサービス内容を伝えることが重視されてきました。自社サイトが重要であることは、これからも変わりません。
ただ、AI検索では、ユーザーが公式サイトを訪れる前に、Google上の情報やAIによる要約を見て、ある程度の比較や判断を済ませるケースが増える可能性があります。
私たちも実際に、ある美容院を対象にAIOの引用元を調べてみました。

「地域名+おすすめの美容院」といった、店舗選びに関する複数の質問をAIに行い、回答で引用されたドメインを集計したものです。
その結果、今回確認できた引用元の中で最も多かったのは、google.comでした。引用先を確認すると、Googleビジネスプロフィールの店舗情報が参照されており、引用数は36件。次いで、Hot Pepper Beautyが18件、自社サイトの引用は相対的に低く、Google引用が圧倒的という結果でした。
もちろん、これは特定の美容院と設問を対象にした一例です。すべての業種や地域で同じ結果になるとは限りません。
それでも、実際に調べてみると、想像以上にGoogleビジネスプロフィールが引用されていました。ここは、私自身もかなり印象に残ったポイントです。
AIは、公式サイトだけを見て店舗を紹介しているわけではありません。Googleビジネスプロフィールや美容系ポータル、自社サイトなど、複数の情報源を横断しながら回答を組み立てています。
だからこそ、店舗側にとっては、自社サイトだけでなく、Googleビジネスプロフィール上の情報やクチコミを整えておくことが重要になります。
少し言い切るなら、「Webサイトに来てもらってから魅力を伝える」だけでは、遅い場面が増えてくるということです。
店舗側から見ると、「自社サイトに何を書くか」だけでなく、「Google上にどのような情報が存在し、それがどう読み取られるか」も無視できなくなってきました。
AIが店舗について理解し、他店と比較し、ユーザーに紹介する際の情報基盤としても、役割を強めていくでしょう。
2. Googleマップは「店舗一覧」から「相談・質問・要約の接点」へ
Googleマップの役割も変わり始めています。
これまでのGoogleマップは、「近くの飲食店」「地域名+美容室」「駅名+クリニック」などと検索し、表示された一覧からユーザー自身が店舗を比較する場所でした。
現在はそこに、AIが店舗情報を整理し、判断を手助けする機能が加わっています。
この流れは、大きく3つに分けて見ることができます。
Ask Maps:場所探しをAIに相談する
Googleは公式ブログで、Googleマップの新しい機能として「Ask Maps」を紹介しています。
Ask Mapsは、ユーザーが場所やルートについて質問すると、AIが複数の情報を組み合わせて回答する機能です。
2026年3月の発表時点では、米国とインドのAndroid・iOSから提供が始まっています。現時点での日本国内の提供状況とは分けて考える必要がありますが、Googleマップが今後どのような体験を目指しているのかが、よく分かる機能です。
Googleは、Googleマップが3億以上の場所に関する情報や、5億人以上の投稿者によるクチコミなどを分析すると説明しています。

参考:
Google公式:Ask Maps / Immersive navigation
地図を開いて候補を眺めるだけでなく、「自分の条件に合う場所はどこ?」と相談する。
Googleマップは、そんな使われ方へと広がろうとしています。
個人的には、お店探しの体験が大きく変わるのは、この部分だと思います。
場所について質問する:店舗ページ上で疑問を解消する
Ask Mapsのような海外先行の機能だけでなく、日本国内でも、Googleマップ上で場所について質問する体験が広がっています。

たとえば、ユーザーが気になるのは次のようなことです。
駐車場はあるか
子ども連れでも入りやすいか
予約は必要か
混雑しやすい時間帯はいつか
テイクアウトに対応しているか
スタッフに相談しながら商品を選べるか
以前であれば、公式サイトやクチコミを自分で探し、該当する情報を読み取る必要がありました。
今後は、店舗ページを見ながらその場で質問し、疑問を解消する場面が増えていきそうです。
これは便利ですよね。
一方で店舗側からすると、ユーザーが知りたい情報がGoogle上に存在しなければ、AIも答えようがありません。情報を登録しておくことの意味が、これまで以上に大きくなります。
Googleによる要約:クチコミを読む前に特徴が見える
Googleは、店舗に関する情報を要約して表示する機能も強化しています。
日本向けの公式ブログでは、Geminiによるクチコミ要約や、クチコミとオンライン上の情報を分析して表示する「この場所のヒント」が紹介されています。
ユーザーがすべてのクチコミを読む前に、Googleが整理した店舗の特徴や注意点が先に表示されるわけです。
これまでは、ユーザー自身が複数のクチコミを読み比べ、
「接客が良さそうだ」
「子連れでも利用できそうだ」
「待ち時間が長いかもしれない」
と判断していました。
これからは、その整理の一部をGoogleやAIが担う場面が増えていきます。
Ask Maps、場所について質問する機能、クチコミの要約。
それぞれ別の機能ではありますが、向かっている方向は共通しています。
Googleマップは、単に店舗を探す場所から、店舗について相談し、理解し、比較する場所へ変わり始めているのです。
そして、その体験を支える情報源の一つが、Googleビジネスプロフィールに蓄積されたクチコミです。
3. クチコミは「実際の顧客体験」を知る手がかりになる
では、なぜクチコミが重要なのでしょうか。
理由はシンプルです。
クチコミには、店舗側の説明だけでは分からない、実際の利用者の体験が含まれているからです。
店舗はGoogleビジネスプロフィールや自社サイトで、
接客が丁寧です
初めての方にも安心です
子連れでも利用しやすいです
商品選びをサポートします
と伝えることができます。
ただ、少し厳しい言い方をすれば、これはあくまで店舗側からの自己紹介です。
一方、クチコミに、
スタッフが親切に説明してくれた
子ども連れでも安心して利用できた
初めてでも相談しやすかった
商品の違いを分かりやすく教えてくれた
待ち時間が少なく、手続きもスムーズだった
といった内容があれば、その店舗で実際にどのような体験が生まれているのかを知る材料になります。
これは人が読んでも有益ですし、AIが店舗の特徴を整理するときにも役立ちます。
誤解のないように触れておくと、Googleが「具体的なクチコミほど高く評価する」と公式に明言しているわけではありません。
ここで言いたいのは、AIがクチコミやWeb上の情報を分析し、場所に関するヒントや回答、要約を作るようになるほど、クチコミに含まれる情報自体が店舗理解の材料になっていく、ということです。
「よかったです」という一言から分かることは、どうしても限られます。
一方で、「初めての利用だったが、商品の違いを一つずつ説明してもらえた」と書かれていれば、その店舗の接客や提案の特徴が見えてきます。
クチコミは、星評価を補足するコメントというだけではありません。
そこには、店舗で起きている顧客体験そのものが表れています。
4. 「評価されているか」だけでなく「何が評価されているか」

クチコミを見るとき、多くの人が最初に確認するのは、星の数と投稿件数だと思います。
私も、まず見ます(笑)。
星評価や件数が重要であることは、これからも変わりません。
評価が低い店舗や、クチコミが極端に少ない店舗は、ユーザーが比較するときの不安材料になる可能性があります。
ただ、AIがお店を紹介する場面では、評価の高さだけでなく、「その店舗の何が評価されているのか」が、より重要になっていきます。
同じ星4.3の店舗でも、クチコミに書かれている内容はさまざまです。
接客が評価されている店舗
価格の分かりやすさが評価されている店舗
子連れへの対応が評価されている店舗
専門的な提案力が評価されている店舗
アクセスの良さが評価されている店舗
商品の品ぞろえが評価されている店舗
ユーザーが求めているのは、必ずしも「一番評価が高いお店」ではありません。
多くの場合は、「自分の状況や目的に合うお店」です。
たとえば、「初めてでも相談しやすいお店」を探している人にとっては、星の高さだけでなく、「説明が丁寧だった」「相談しやすかった」「親切に対応してもらえた」といった体験の方が、判断材料になります。
AIが店舗を紹介する場合も、こうした違いを説明できる情報がなければ、ユーザーの細かな希望に応えることはできません。
クチコミは、店舗が良いか悪いかを示すだけのものではなく、その店舗がどのような価値を提供しているかを、顧客の言葉で表す情報でもあるのです。
5. GBPクチコミを「店舗の情報資産」として見る
Googleクチコミは、厳密には自社が保有するファーストパーティーデータではありません。
Googleという第三者のプラットフォーム上に蓄積される、ユーザー投稿コンテンツです。
一方で、そこに書かれているのは、実際の顧客体験に基づく情報です。
店舗側が気づいていなかった強みや、顧客が評価している接客、利用時の不安、選ばれた理由が表れることもあります。
その意味で、クチコミを単なる「評判管理」や「星評価の改善」だけで捉えるのは、少しもったいないと思っています。
AI検索が広がるほど、顧客の言葉で書かれた店舗の特徴は、AIがその店舗について理解するための材料にもなっていきます。
クチコミは、AI時代の店舗情報資産の一つとして考えるべきでしょう。
ただし、クチコミを集める際には注意も必要です。
Googleクチコミでは、特定の評価や内容を指定せず、実際の体験に基づく率直な投稿を依頼することが前提になります。
好意的な顧客だけに依頼したり、「接客について書いてください」など、投稿内容を指定したりすることは避けなければなりません。
ここは大事なので、あえてはっきり書いておきます。
クチコミの内容を店舗側の都合で誘導することが、目的ではありません。
目指すべきなのは、顧客が自分の体験を無理なく振り返り、自分の言葉で伝えられる導線を整えることです。
そのうえで、現在の顧客体験が継続的に蓄積されていく状態をつくる。
これが、AI時代のGBP運用における重要なテーマになっていくと思います。
まとめ:クチコミは「人が読む評価情報」であり、「AIが読む情報ソース」にもなる

AI検索の広がりによって、店舗とユーザーの接点は変わり始めています。
ユーザーが検索結果を一つずつ確認する前に、AIが整理した情報をもとに店舗を比較する。そんなお店探しも、今後は珍しくなくなるかもしれません。
そのとき、Googleビジネスプロフィールやクチコミは、単なる補助情報ではありません。
Googleビジネスプロフィールは、AIが店舗を理解するための情報基盤。
クチコミは、その店舗で実際にどのような顧客体験が生まれているのかを知るための情報ソースです。
クチコミが人に読まれる評価情報であることは、これからも変わりません。
そこに、AIも読む店舗情報という役割が加わっていきます。
だからこそ、クチコミを件数や星評価だけで見るのではなく、店舗の魅力や顧客体験が表れる情報資産として捉えることが大切です。
AIがお店をすすめる時代には、「高く評価されているか」だけでなく、「なぜ選ばれ、何を評価されているのか」を伝えられる店舗が、より理解されやすくなるはずです。
これまでクチコミをたくさん見てきましたが、店舗の本当の魅力は、星の数よりも、その下に書かれた具体的な体験の中に表れていることが多いです。
AI時代だからこそ、改めて人の声が重要になる。
少し不思議ですが、面白い変化だと思いませんか?
宣伝:スタッフバリューのご紹介
ここまで、クチコミが「人が読む評価情報」であるだけでなく、AIが店舗を理解するための情報ソースにもなっていく、という話をしてきました。
ただ、実際の現場では、クチコミをお願いしても継続しなかったり、「よかったです」だけで終わってしまったりと、店舗の魅力が伝わる具体的な声を集めるのは簡単ではありません。
ソウルドアウトでは、来店したお客様が自身の体験を振り返り、スタッフや店舗へのメッセージとして自然に言葉にできる仕組み「スタッフバリュー」を提供しています。
集まった声は、スタッフへの称賛として届けるだけでなく、GoogleクチコミやWebサイト、SNS、店頭掲示など、店舗の魅力を伝える情報資産として活用できます。
「クチコミを増やす」だけでなく、なぜ選ばれ、何が評価されているのかを顧客の言葉で残したいと考えている方は、ぜひこちらの記事もご覧ください!
