AI時代の新しい購買行動「AICAS」とは?レビューが“二度”重要になる理由
「自分に合うお店を探したい。でも、どこを選べばよいか分からない」
そんなとき、Googleで検索結果を一つずつ比較するのではなく、ChatGPTやGeminiなどの生成AIに相談する人が増えています。
たとえば、こんな質問をすると、
「初めてでも安心して相談できるリフォーム会社を教えて」
「子ども連れで利用しやすく、スタッフの評判がよい美容室は?」
「説明が丁寧で、無理な営業をしない自動車販売店を探して」
生成AIは、ユーザーの曖昧な希望を整理し、条件に合いそうな商品や店舗を提案してくれます。
こうしたAI時代の購買行動を表すモデルとして、日経クロストレンドが2026年4月に提唱したのが「AICAS(アイカス)」です。
AIへの相談から始まる「AICAS」
AICASは、次の5つの行動で構成されます。

(出典:日経BP「日経クロストレンド、AI時代の新たな消費者購買行動モデル『AICAS』を提唱」、2026年4月15日)
Ask:生成AIに相談・質問する
Interest:提案された商品や店舗に興味を持つ
Confirm/Check:他の媒体を見て、本当に良いか確認する
Action:購入・予約・来店する
Share:体験をレビューやクチコミとして共有する
従来のAIDMAやAISASでは、広告や情報への「Attention=注目」が購買行動の起点とされていました。
一方、AICASでは、何を買うか、どの店舗を利用するかが決まっていない状態で、生成AIに「おすすめを教えて」と相談する「Ask」が起点になります。
日経クロストレンドが商品・サービス選びに生成AIを利用する515人を対象に行った調査では、生成AIの提案を受けた後、約9割が他の媒体でも情報を調べていました。確認先には検索エンジン、比較・クチコミサイト、SNSなどが挙げられています。
つまり、生活者はAIの推奨をそのまま受け入れるのではなく、別の情報で確認・納得したうえで購買へ進んでいるのです。
このAICASを店舗選びに当てはめると、レビューや顧客の声が、これまで以上に重要になることが分かります。
レビューは、AIが店舗を提案する「Ask」と、ユーザーがその提案を確認する「Confirm/Check」の両方で使われるからです。
Ask:レビューがAIの提案材料になる
従来の検索では、ユーザー自身が「地域名+業種」「駅名+クチコミ」といったキーワードを考え、検索結果に表示された店舗を比較していました。
一方、生成AIには、希望する条件や抱えている悩みを自然な文章で伝えられます。
「横浜駅周辺で、髪型が決まっていなくても親身に相談に乗ってくれて、スタッフ対応の評判がよい美容室を教えて」
このような質問に対して、AIはウェブ上で確認できる店舗情報、公式サイト、地域メディア、レビューなどを参照しながら、条件に合いそうな候補を整理します。

すべてのAIサービスが推薦の仕組みを公開しているわけではありません。が、Googleマップでは、AIがクチコミを店舗理解の材料として利用していることが公式に示されています。
Google マップは Gemini を活用し、ユーザーの皆さんの代わりにリサーチを行います。クチコミやオンライン上の有益な情報を分析し、最適な予約方法や隠れメニュー、駐車のコツといった重要なインサイトをお伝えします。
たとえば、複数のクチコミに、
「専門用語を使わずに説明してくれた」
「こちらの話を丁寧に聞いてくれた」
「子どもにも優しく対応してくれた」
「無理に契約を勧められなかった」
と書かれていれば、「説明が丁寧」「相談しやすい」「安心して利用できる」といった店舗の特徴を理解する材料になります。
レビューは星の数を示す評価データだけではありません。
店舗がどのような体験を提供し、どのような人に向いているのかを伝える、顧客による店舗の説明文でもあるのです。
Confirm/Check:AIにすすめられた後、クチコミで確かめる
AIが店舗を提案したからといって、ユーザーがそのまま予約や来店に進むとは限りません。
AIの回答には、情報が古い、推薦理由が十分に分からない、個別の体験や感情が要約によって失われる、といった可能性があります。
そのためユーザーは、AIが提案した店舗について、公式サイト、SNS、Googleマップ、レビューサイトなどを確認し、「本当に自分に合うのか」を裏取りします。
さらに現在は、このConfirm/Checkの行動そのものにもAIが入り始めています。
2026年2月から、日本国内のGoogleマップでは、店舗ページを開くとGeminiによるクチコミの要約を確認できるようになりました。

また、店舗について、
「大人数で利用しやすいですか?」
「無料駐車場はありますか?」
「テラス席はありますか?」
といった具体的な質問をAIに行い、店舗の詳細を確認することもできます。
Googleは、Geminiがクチコミやオンライン上の情報を分析し、予約方法、駐車場、店内設備などの情報を整理して回答すると説明しています。
つまり、Googleビジネスプロフィールは、住所や営業時間を見るための店舗情報ページから、AIの要約や回答を通じて、その店舗が自分に合うかを確認する場所へ変わり始めています。
一方で、AIによる要約だけで、ユーザーの確認が完了するとは限りません。
ローカルマーケティング支援会社BrightLocalが、米国の成人1,002人を対象に実施した2026年の調査では、過去1年間にAIを使って地域ビジネスの推薦を受けた455人のうち、97%がAIの推薦を実際のレビューと照らし合わせることがあり、42%はレビューが投稿された元のプラットフォームを常に確認すると回答しました。
これは米国の調査であり、日本の消費者全体にそのまま当てはめられるものではありません。
それでも、AIが店舗調査の最終判断者というより、候補を絞り込み、情報を整理する役割を担っていることが分かります。
AIによるクチコミ要約を確認した後、さらに元のレビューを開き、
「どのような人が利用したのか」
「スタッフは実際にどう対応したのか」
「どのような不安が解消されたのか」
「本当に自分と似た人が満足しているのか」
を確かめる。
こうした具体的な顧客体験が、AIの推奨を「この店舗なら大丈夫そうだ」という確信に変えます。
AIがレビューを要約し、店舗について回答する時代になっても、その回答の根拠になるのは、実際の顧客が投稿した一件一件のクチコミです。
だからこそ、評価や件数だけでなく、店舗で生まれた体験が具体的に伝わるクチコミを増やすことが、AIにも人にも選ばれるために重要になるのです。
AIは機能で絞り込み、最後は人が感情で選ぶ

AIが得意なのは、ユーザーが求める条件を整理し、候補を比較することです。
「駅から近い」
「駐車場がある」
「子ども連れに対応している」
「希望するサービスを受けられる」
「予算に合っている」
こうした機能的な価値は情報として整理しやすく、AIも比較しやすい領域です。
しかし、同じような条件を満たす店舗が複数あったとき、最後にどこを選ぶかを決めるのはユーザー自身です。
そこで大切になるのが、
「ここなら安心して相談できそう」
「このスタッフなら自分の話を聞いてくれそう」
「自分と同じ悩みを持つ人が満足している」
「この店なら大切に扱ってもらえそう」
といった、機能だけでは説明できない情緒的な価値です。
評価が4.5で、レビューが500件ある。
それは店舗を選ぶうえで強い安心材料になります。しかし、評価や件数が近い店舗が並んだとき、最後に人の気持ちを動かすのは、レビューに書かれた具体的な体験ではないでしょうか。
「対応が良かったです」という一言よりも、
「初めての利用で不安でしたが、担当の方が希望を一つずつ確認し、料金についても事前に分かりやすく説明してくれました」
という声の方が、その店舗で得られる体験を想像できます。
何に困っていたのか。
スタッフがどのように向き合ったのか。
利用した後、どのような気持ちになったのか。
その文脈と感情が伝わる熱量のあるクチコミが、AIの提案を「ここにしよう」という確信に変えます。
AIが機能的な条件から候補を絞り込み、最後は人が情緒的な価値によって選ぶ。
AI時代だからこそ、人の心を動かす顧客の声の価値が高まっているのです。
クチコミ要約では、直近1年間の声が重視される
これまでのレビュー施策では、過去に獲得した評価や件数が大きな実績として扱われてきました。
しかし、AIによるクチコミ要約では、古いレビューを含むすべての投稿が同じように扱われるとは限りません。
Googleは、Google検索やGoogleマップなどのローカルリスティングに表示するクチコミ要約について、過去1年間のレビューをもとに作成し、最近の意見を反映するため定期的に更新すると説明しています。
なお、これはGoogleのローカルリスティング上のクチコミ要約に関する仕様です。すべてのAIサービスの推薦が直近1年間のレビューだけで決まる、という意味ではありません。
(出典:Googleローカルリスティング ヘルプ「How Google sources and uses information in local listings」)
つまり、数年前に多くの高評価レビューを獲得していても、それだけで現在の店舗の魅力がAIの要約に反映され続けるとは限りません。
以前は「説明が丁寧」という声が多かったとしても、最近のレビューにその体験が書かれていなければ、現在の特徴として十分に伝わらない可能性があります。
反対に、日々の店舗で生まれている良い体験を継続的に集められれば、
「スタッフが親身に相談に乗ってくれる」
「初めてでも安心できる」
「利用者に合わせた提案をしてくれる」
「説明が分かりやすい」
といった現在の価値を、AIにもユーザーにも伝え続けられます。
レビューは、一度集めて終わる資産ではありません。
今の店舗体験を示す、更新され続ける情報なのです。
まとめ

AICASにおいて、レビューは購買行動の最後に確認される情報であるだけではありません。
ユーザーが生成AIに相談する「Ask」の段階では、レビューに書かれた具体的な体験が、AIが店舗の特徴を理解し、提案するための材料になります。
さらに、AIから提案を受けた後の「Confirm/Check」では、Googleビジネスプロフィール上のクチコミ要約やAIへの質問、元のクチコミなどを通じて、「本当に自分に合う店舗なのか」を確かめます。
つまりレビューは、AICASの入口と、購入・予約・来店を決める直前の両方で重要な役割を担っています。
AIは、立地や価格、営業時間、設備、サービス内容などの機能的な条件から、候補を効率よく絞り込むことを得意としています。
しかし、同じような条件を満たす店舗が並んだとき、最後にどこを選ぶかを決めるのはユーザー自身です。
「ここなら安心して相談できそう」
「このスタッフなら、自分の話を丁寧に聞いてくれそう」
「自分と同じ悩みを持つ人が満足している」
こうした機能だけでは表せない情緒的な価値を伝えるのが、実際の顧客による具体的で熱量のあるクチコミです。
また、Googleのクチコミ要約では直近1年間のレビューが参照されるため、過去に多くの高評価を獲得しただけでは十分ではありません。
現在の店舗で生まれている良い体験を、継続的に顧客の声として蓄積していく必要があります。
これから強くなるのは、評価や件数を増やすだけの企業ではありません。
スタッフの対応、説明の丁寧さ、安心感、利用後の感動といった、店舗が選ばれる理由を具体的に伝えるクチコミを、増やし続けられる企業です。
レビューは、AIに店舗を見つけてもらうための材料であり、ユーザーが最後に信頼を確かめるための材料でもあります。
AIが候補を選び、最後は人が心で選ぶ。
AI時代だからこそ、顧客のリアルな体験が込められたレビューの価値は、これまで以上に高まっていくのです。
私たちが提供する「スタッフバリュー」は、店舗で生まれた良い接客体験やスタッフへの感謝を、お客様の具体的な言葉として集め、活用するためのサービスです。
単にクチコミの件数を増やすのではなく、
「なぜ安心して利用できたのか」
「どのスタッフの、どのような行動が印象に残ったのか」
といった、店舗が選ばれる理由が伝わる声を集めることを大切にしています。
集まった声は、スタッフ本人への称賛として届けるだけでなく、Googleクチコミへの投稿や、店舗サイト、販促物などでの活用にもつなげられます。
AIが店舗を理解し、ユーザーが最後の信頼を確かめる材料となるのは、企業がつくった広告表現だけではありません。実際のお客様が語る、具体的で熱量のある体験です。
スタッフバリューは、店舗で日々生まれている接客の価値を顧客の声として可視化し、AIにも人にも選ばれる理由へ変えていくことを支援します。
スタッフバリューの詳細はこちらの記事をご覧ください。
参考資料
日経BP「日経クロストレンド、AI時代の新たな消費者購買行動モデル『AICAS』を提唱」2026年4月15日。AICASの定義、生成AI利用者515人を対象とした購買行動調査を掲載。
Google Japan Blog「Google マップの新機能で、お出かけをもっとスムーズに」2026年2月13日。Geminiがクチコミやオンライン情報を分析する日本国内向け機能を紹介。
Googleローカルリスティング ヘルプ「How Google sources and uses information in local listings」。AIによるクチコミ要約は過去1年間のレビューをもとに作成され、定期的に更新されると説明。
BrightLocal「Nearly Half of Consumers are Asking AI for Business Recommendations」2026年3月10日。米国成人1,002人を対象としたLocal Consumer Review Survey 2026の追加分析。
