シャープ元社長・町田勝彦さんとの出会い/teamS代表 高嶋晃
私が新卒でシャープに入社して最初に配属されたのが、映像関連商品を企画、開発、生産する矢板工場(電子機器事業本部)でした。
4,000人くらいの組織の中で、なんと私は町田さんの目の前の席になったのです。それが私と町田さんの最初の出会いです。1984年のことでした。
当時町田さんはテレビの事業部長で、のちに私はビデオの商品企画担当になりました。
直接仕事で関わることはなかったのですが、ちょっと顔を上げれば町田さんの目が見える距離で、”ものづくりの哲学”を沢山教えていただきました。
一番印象に残っているのが、「景色を変える商品を作れ」という言葉です。
この言葉の通り、後に町田さんは、大きなブラウン管に代わり薄い液晶を採用した初めての液晶テレビ、AQUOSを生み出し大ヒット商品となり、世の中の景色を一変させます。
私自身はその後、シャープではずっと企画畑を歩みましたが、常にこの言葉を胸に仕事をしていました。そして、1998年に私が本社の経営企画室へ配属になった時、社長に就任されていた町田さんが「2画面のザウルスを考えろ」と言ったのです。
ザウルスとは、シャープが開発して一世を風靡した液晶パネルを使った携帯情報端末で、液晶パネルが2倍になれば売価もあがる、要するに「シャープの柱になるような新たな事業を考えろ」という意味でした。
この課題がきっかけとなり、以前の記事で詳しく記しましたが、小学館の週刊ポスト編集長だった鈴木雄介さんと、当時通産省の官僚だった村上世彰さんと一緒に電子書籍のプロジェクトに取り組むことになりました。
これがeBookJapanの立ち上げのきっかけになり、現在のteamSでの事業、DisplayUIの基盤技術となるソフトウェア”SSE”の開発に繋がっています。
AQUOSやiPhoneが世の中の景色を変えたように、今後は、スマートグラスやシート状のディスプレイといったデバイスが世の中を変えてゆくことになると思っています。
そのどちらにも”SSE”が搭載されていて、スマートグラスをかけたり、ポケットに入れたシートディスプレイで全てが完結する。そんな景色が私には見えています。
「2画面のザウルスを考えろ」というミッションがなければ、今の私はありません。
「景色が変わる商品を作りなさい」
町田さんから受け継いだ商品開発の哲学が、今も私を動かしています。
