未来の処方箋は、都市の畑から。-Food is Medicineが変える日常
こんにちは。Square Roots Japanの松本です。
今回のテーマは「健康」です。
日本は超高齢化を迎え、健康の捉え方が変わりつつあります。
医療費は増え、現場の担い手は不足し、薬の原材料を安定して確保することさえ簡単ではなくなっていく。
寿命が延びる一方で、介護や治療の負担は本人にも家族にも重くのしかかる。
だからこそいま本当に問われているのは、「どれだけ長く生きるか」ではなく「どれだけ健やかに生きられるか」。
健康寿命をどう延ばすかは、個人の問題ではなく社会全体の課題です。
同時に健康のつくり方も変わり始めています。
自分の体の状態をデータで知り、いまの自分に必要な栄養を自分で選ぶ。そんな環境がテクノロジーによって現実のものになりつつあります。
では、その「必要な栄養」をどうすれば無理なく毎日の食事としてどう届けられるのか。私たちはその問いに生産の現場から答えようとしています。
1. 失われた栄養を、暮らしの中で取り戻す
私たちが目指しているのは、新しい健康習慣を増やすことではありません。
各地の暮らしの中で自然に育まれてきた「本来の栄養」をもう一度日常に戻すことです。
かつて長寿で知られた沖縄は、現在男性45位女性46位まで順位を落としています(厚生労働省「都道府県別生命表」)。
沖縄の健康を支えてきたのは、特別な食事ではなく土地に根ざした食文化が続いていたことでした。
しかし、食生活の変化や食材へのアクセスの偏り(フードデザート化)によって必要な栄養が日常から少しずつ離れていった。
だからこそ私たちは、その食のあり方をいまの暮らしに合う形でつなぎ直すことにしました。
SQRのプラットフォームでは、沖縄の気候や環境を精密に再現し水菜やフーチバー(よもぎ)などの栽培レシピを開発しています。
環境を再現することで作物が本来持つ力をもう一度引き出す。
かつての豊かな栄養を現代の生活に自然に溶け込ませていきます。

2. 栄養をデザインし、日常に届ける
忙しい現代の生活では、どうしても野菜は不足しがちです。
だから私たちは努力しなくても自然に選べる栄養を増やしたいと考えています。
SQRの強みは、栽培環境を細かく整え特定の栄養成分をコントロールできること。そうして育てているのがSQRの機能性野菜です。
USDA(米国農務省)と協力して得られたデータでは、一部の品目においてがんリスク軽減の研究で注目される「グルコシノレート」の含有量が一般的な同種野菜の2倍以上となる例も確認されています。
データは結論を決めるためのものではありません。
よりよい選択肢を増やすための補助線です。
ライフスタイルや身体の状態に合わせて、日常の中で無理なく選べる栄養を増やしていく。
それが、私たちの考える健康のつくり方です。

3. 医療と食は、もう分かれていない
治療やケアの視点が食事に入り、食事そのものがケアの一部になっていく。医療と食の境界はすでに溶け始めています。
SQRは米国で、高齢者向けケア施設を展開するStory Point Groupと連携し、医学的な視点を毎日のおいしさの中に溶け込ませたメニュー開発を行っています。
苦味をやわらげ、噛みやすく仕上げたケール。
彩りと酸味で食欲を引き出す、ソレルのデザート。
これらは認知症予防や身体機能を支えるケアプログラムの一部として機能しています。
そして、健康に欠かせないのは栄養だけではありません。
安心感や生きがいも同じくらい重要です。
施設のそばにはSQRの農場があり、入居者は野菜が育っていく様子を、自分の目で確かめることができます。
「誰が、どこで、どう育てたか」を知ること。
その透明性が食への信頼につながっていきます。

4. 「おいしい」と「すこやか」を、毎日のインフラに
日本には「おいしい」と「すこやか」を日々の中で自然に両立させてきた食の文化があります。
私たちはその感覚を大切にしながら、食という日常の入口から無理なく続く予防の選択肢を社会に実装していきたい。
本来の栄養を、育て方から取り戻す。
データを手がかりに、さらに整えていく。
日常の食事として、自然に選べる形にする。
「必要な栄養」を特別なものではなく毎日の食事として続けられる選択肢にする。
それが、私たちの考える「Food Is Medicine」です。
毎日の「おいしい」を未来の自分への処方箋に変えていく。
私たちは、そのための仕組みを着実につくっています。

【次回予告】
次回の『SQUARE ROOTS magazine』は、2月27日(金)更新予定。
テーマは、SQRJが未来へつなぎたい「匠の技」。
埼玉で注目を集めるいちご「あまりん」の作り手である久米原農園さんを訪ね、極上の一粒に込められた情熱と職人技に迫ります。どうぞ、お楽しみに。
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