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【中国ドラマ】ジャン・リンホー(张凌赫)の待望の最新作ドラマ『这一秒过火』で「AIの濁流」を実感した件

この数カ月、中国の動画プラットフォームでは、AIで生成されたドラマを目にする機会がグーンと増えた。
 
興味本位で、いくつかのドラマをざっと開いてみた。
 
人気俳優のパーツをモンタージュしたようなAI俳優が、AIで生成した景色の中で、怒ったり泣いたり、殴り合ったり、下着姿になったり、風呂に入って半裸になったりしている。表情は不自然だけど、アニメや3D映像になじみがあれば、ヒトはすぐに慣れるのかもしれない。

【7月に配信されたAIショートドラマのAI俳優】

ドラマの内容は、愛憎度マックス
トレンドメイクを施したAI女優

こうしたドラマは、低コストでそれなりの集客効果があり、視聴が短時間で刺激が得られるものとなっており、しばしば中毒性が指摘されている。
 
AIの活用によってコストカットと撮影の効率化ができれば、今まで膨大な手間と時間と人件費をかけてきた「長尺ドラマ」にも影響が波及するのではないかと、長らく中国ドラマを見てきた者として案じていた。
 
実際、この春に『逐玉』で日本でも知名度をあげたジャン・リンホー主演の最新ドラマ『这一秒过火/英題:Overdo』(7月19日にiQIYI WeTVなどで配信スタート)を見て、AIの濁流を実感した。
 
まず、始まって早々、オープニングの映像が生成AI全開でビビる。
(注: 批判が殺到して、8話からオープニングは差し替えられた)

【这一秒过火 1話】

そして、内容は「ショートドラマに引っ張られてすぎてない!?」といった風情。
 
1人1人の人物像に深みはなく、喜怒哀楽が激しく、いつも恨みや激情が交錯し、常に何かしらの騒動が起こっていて、編集は雑で、BGMまでショートドラマっぽい。
 
民国時代設定のドラマには、動乱に翻弄された愛憎ドラマが多いイメージがあるけれど、例にもれず、ムダに愛憎が激しめ。
 
男主のジャン・リンホーは、女主に裏切られてからの3年間、どん底の時間を過ごした設定なのだが、そんなことをみじんも感じさせない清潔感あふれるフレッシュな容貌で、3年ぶりに現れた女主に執着している。
 
女主は、何かの恨みを抱えて、男主の一族に入り込もうとしているのだが、冷酷を装いながらも、情に流されそうな、ブレやすさが悪目立ちしている。

ジャン・リンホーを眺めるためだけに『这一秒过火』を6話まで我慢して視聴したけど、8話の予告を見て、絶望した。

【2人で戦闘機に乗って墜落する8話の予告編】

2人乗りのジェット機に乗って、痴話げんかをしているではないか。操縦者はリンホー。

元医者で、腕の神経を損傷している設定の男主は、いつそんな操縦技術を身に着けたのだろう。そして、轟音のなかで脇見運転をして、愛とか憎いとか安全と関係ない話してて、予告なのに興ざめしてしまう。
 
全部で33話あるけど、まだ8話なのに戦闘機墜落シーンまで出しちゃって、これから繰り出すドーパミンのネタが途切れそうになったら、次は何を出すのだろう。もう、ドラマごと爆死の予感しかない。
 
というわけで、私はこのドラマから離脱すると思う。
 
疲れた日の5分10分を気楽に過ごしたいときに、AI俳優のドラマや、AIを使用して製作費を抑えたショートドラマは、ちょうどいいかもしれない。3分でできるインスタント食品だって、おいしいし。

でも、人の手で丁寧に作られた季節の料理だって必要なのだ。人間主演の長尺ドラマの制作現場は、AIのドラマに引っ張られず、キャストや丁寧な仕事をするドラマ制作者が正当に評価され、しかるべき報酬が支払われる現場であってほしい。

AIドラマの制作現場は、非常に過酷で、ヒトの労働力が簡単に切り捨てられる現場だと聞く。その波が従来のドラマに侵食しないでほしい。

ただ、ナチュラルなメイクでもまばゆく輝くワンチューランだが、今回は不自然に涙袋が強調された2020年代メイクが似合っていないので、AIで修正してあげてほしい。

残念ながら、ジャン・リンホーとワン・チューランは、このドラマのせいで、酷評にさらされる可能性がある。巡り合ったドラマがたまたま不運だったと割り切って、どうか自分を責めないでほしい。

ワンチューランは、先月配信されていた前作品で、重要な役柄を務めていた共演俳優がAIで顔交換され、ひどく不評だったので、ちょっと気の毒。

2人の次回作に心から期待。


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