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『Ca7riel & Paco Amoroso』の「近未来パロディドラマ」風刺効きすぎ

アメリカのNPR Music Tiny Desk ConcertsのYouTubeチャンネルで2024年に公開された動画の再生回数ランキングは、以下の通り。

【Tiny Desk Concerts 2024年公開動画再生回数(3月10日現在)】

1位:Ca7riel & Paco Amoroso(アルゼンチン)
2位:ジャスティン・ティンバーレイク(アメリカ)
3位:ビリー・アイリッシュ(アメリカ)
4位:藤井風(日本)
5位:チャペル・ローン(アメリカ)

 
2024年の再生回数トップは、アルゼンチン発のデュオ「Ca7riel & Paco Amoroso(カトリエル&パコ・アモロソ)」。

2024年の10月に公開された後、瞬く間に再生回数トップに躍り出て、素晴らしいパフォーマンスが大きな話題を呼んだ。

そんな彼らが3月6日に公開した新曲「IMPOSTER」(詐欺師)のMV。

 Tiny deskの動画が世界中に拡散され、絶賛を集めた「その後」の心境が描かれる。
 
急激にネットで有名になり、世間からの眼差しが激変したものの、自分たちの実力が過剰に評価されているような心情に陥る「インポスター(詐欺師)症候群」になり、大きなストレスや不安を抱えている様子をあぶりだす。
 
MVの中で、バスに乗り合わせた乗客たちはみなTiny deskの動画を見ている。

『IMPOSTER』より バスの乗客が全員Tiny deskの動画を視聴している

乗客は、そこに居合わせた素の本人たちを見ようとしない。そして、気づくと、乗客は誰もいなくなっている。Tiny deskの「乗客」をにわかファンになぞらえる皮肉に見えなくもない。

さらに、同時期に『IMPOSTER』を含めて、4本のMVが公開されているが、つなぎあわせると物語になっている。

【TETAS】

Tiny deskのブレイクを活用して、グローバルなスターになるための最適解を模索する2人。怪しげなプロデューサーが保有するAI(chad GPT)のお告げ通り、マッチョな体と顔に改造して、英語を学び、これまでやってきた音楽を捨ててラテングラミー受賞を目指す。

【RE FORRO】

成功者となり、チヤホヤされる2人。仲たがいして解散し、お互いにスーパーリッチでマッチョなセレブになった近未来。夢を実現しても、全然幸せじゃないのはなぜだろうと逡巡する。

【EL DÍA DEL AMIGO】

自分にとって一番大切な存在について考え、もう一度原点回帰する

劇中、Tiny deskの成功をきっかけに、グローバルスターになるべく英語を学び、セレブらしく高価なものを身に着け、見映えよく筋肉を鍛え、ボトックスを注入し、周囲からチヤホヤされても、虚無感に襲われている。結局、好きな相手と演奏する好きな音楽に戻る……という近未来パロディを演じている。

この4曲を含む新アルバム紹介のショートムービーが、傑作。
おめーらTinydesk Tindeskうっせーんだよ!アメリカのスカウトうっせー!だまれ!」みたいな反骨心も感じられるし、現代の音楽カルチャーに冷や水をぶっかける気概がすごい。

ウマい話を持ち掛けるプロデューサーよりも、目の前の相手やファンを大切にしたいというメッセージも読み取れる。

Tiny deskのブレイクからさほど時間が経ってないのに、ここまでいろいろ仕込んでくるの、すごくないか? 

そんな彼らは、来月開催のアメリカのコーチェラや日本のフジロックなど、アルゼンチン国内外の音楽フェスやライブに多数出演予定。
 
藤井風はこの夏、欧米のフェスを巡るが、いくつか出演フェスがかぶっている。いずれ、顔見知りになったりして。

アルゼンチンのライブ映像を見ると「歌う」「弾く」にとどまらず、刺激強めなパフォーマンスで、その場の観客をトランス状態にさせていた。何本か動画を見たら、健康的で「陽」な雰囲気のTiny deskのパフォーマンスとは異なり、アンダーグラウンドな空気もまとう。 

Tiny deskのイメージを期待してやってきた観客の前で『IMPOSTER(詐欺師)』を歌うのかと思うと、ちょっとドキドキするし、アイディアあふれる風刺的な彼らがどんなパフォーマンスをするのか、楽しみでもある。


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