【スペイン生活】井の中の蛙、大海を知りひっくりカエル〜大金と財布をスられた話〜
島国日本ですくすく育った29歳。
海を渡り、スペインに住んで早一年。
日本の常識が世界の常識ではないことを日々実感して、時に
「日本人ってなんて親切だったんだ。」
「スペイン人の乗りの良さ最高〜!」
なんて都合良く、どっちつかずで生きています。
そんな中でも、特に
「私、世界を知らなさ過ぎた。」
という、こっ恥ずかしいエピソードを一つ。
文字に起こせないほど色々な感情が蘇るので、何度も書くことを放棄していて、一年も前の話です。
スペインでの生活に慣れてきた今年初めこと。
初めて、お友達とランチに行き、お家にお招きしてもらって楽しいひと時を過ごした帰り。
多分、ちょっと浮かれていたんだと思います。
ちょっと油断していたんだと思います。
海外での生活が日常になってきて。
「財布がない。」
まだ、エントランスを出て歩道を一本しか渡っていないのに。
50mも歩いていないのに。
確かに、バッグの中に入っていたはずの財布がない。
肩からトートバッグと財布が入った革のバッグの2種類を下げていて、ちょっと持ち方が危ないと思って、お腹側に寄せようと思った時には遅し。
革のバッグには、チャックが付いていないのは分かっていたし、注意しないといけないのも分かっていたのに。
まさか、自分がスラレルナンテ。
呼吸が速くなって、頭が混乱して
夫に電話をしたものの、何から言えば良いのか分からない。
「何かされたりはしていないの?なら、大丈夫だよ。」
スられた財布の中には、クレジットカードだけならまだしも、前日に預かった生活費の大半を持ってきてしまっていて。
そもそも、現金を抜いて持ち歩かないといけないのに。もっと言うなら、大事な財布なんて持ち歩いてはいけないのに。前日、「盗られないように気をつけてね。」と言われていたのに。自分でも、なぜそんな馬鹿なことをしたのか分からず、ただただ後悔する。
お友達が、たった数秒でなくなった財布が落ちていないか、長いこと探してくれたり、クレジットカードを止めるのを手伝ってくれたり。
ほんの数分前まで楽しくおしゃべりしていたのが嘘みたいに思えた。
帰宅後の大号泣
記憶も定かではないままフラフラと帰宅して
現実的にどうすれば良いか考える。
「警察に届け出なくちゃ」
「クレジットカードの再発行は?」
「自分の稼ぎじゃない。夫にどう詫びたらいいの?」
自分で働いて得たお金なら、自業自得だと考えるしかない。
財布がなくなったのは自分の過失。
けれど、朝から晩までくたくたになるまで働いている夫が預けてくれた生活費を自分のどうしようもない行動で失った。
後悔しても、謝っても、この罪悪感は拭いきれないと考えていた時。
夫が帰ってきた。
「落ち込んでるんだろうなと思って帰ってきた!!」
私を責めるどころか諭すどころか
心配だからと、帰ってきてくれた優しさに
さらに申し訳なさと、混乱状態からの安心感で
子どもみたいに号泣した。声を上げて泣いたのはいつぶりか。
中学生の社会の定期試験の日、朝勉強しようと思ってたが起きられなかった時ぶりか。(これは今でも家族で思い出話して大笑いするくらい。母に「あんなに『えーーんえんえん』って中1が声出して泣くんだから何事かと思ったよ。と。)
今回はその比ではないことをしでかした。
そのあと、結局財布も現金も何も戻ってこなかった。
届け出た時に警察官が
「来たばかりなのに嫌な思いをさせてごめんね」
と言ってくれたことがせめてもの救いだ。
本当にピンチの時に
本当に困った時、ピンチの時に優しく接してくれた人の心の温かさを、
人は忘れない。
「自分だったら夫に同じ優しさを与えられていたかな。」
「諭すようなことの一言でも言ってしまっていたんじゃないかな。」
そう自分を省みて、夫の懐の深さに感謝する。
同時に、日本人の感覚のまま世界へ出ていくことは危険だと再認識する。
世界がどんな状況下で、その日の食に在りつくことがどれだけ困難か。
(それは現代の日本でも同じかもしれないが。ここでは手段を選ばない。)
戒めのために、以降新しい財布は買っていない。
首から下げたスマホケースに、一枚のクレジットカードと5€札を入れて肌身離さず、ずっと大事に握りしめながら生活している。
同じ過ちを繰り返すものか。
そんな一年前の自分を思い出しながら、
今朝気づいた
夫が旅先で無くした服の行方を追って、
ホテルにメールを送る。
大事な人の大事なものが見つかりますように。
¡Adios!
明日、10/29はスペイン・バレンシアで歴史的大災害(通称DANA)となった洪水が起きた日です。死者223人、行方不明者93人に上ります。
私たちはその「悲劇の震源地」と呼ばれる町に住んでいました。
忘れたくないその出来事を綴っています。
知っていただけたら幸いです。
