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『続巷説百物語』京極夏彦 聴了

普通に裏世界ピクニックの3巻読むつもりだったけど、京極夏彦作品がaudibleに入ったのなら、それは何よりも優先されなければいけない。
圧巻の再生時間25時間超。

タイトルの通り『続巷説百物語』は『巷説百物語』の続編なんだけど、短編集としての側面が強かった前作からシリーズ作品としてのフォーマットが整えられたのはここからだと感じる。

世の中に起きるどうしようもない出来事を人ではなく妖怪の仕業に見せかけて世間を煙に巻く御行の又市一味、その狂言芝居に巻き込まれる江戸の大店の若隠居山岡百助という前作のスタイルから、今作はより積極的に又一達に近付こうとする百助の姿が描かれている。

百物語本を開版するために諸国を巡り様々な妖怪譚を蒐集していた筈が、世間で妖怪の仕業とされているものの裏側は結局人の業であったと知ってしまう。
妖怪の仕業だったなら、まだ救いがあったのに。

武士でも商人でもない半端者の百助が、自分の住む明るい世界と又市達の住む闇の世界と狭間で葛藤する。

話が独立していた『巷説百物語』の隙間を埋めるようなタイミングでそれぞれの事件が起きており、時系列で見るとわかりやすい。

noteは文字の色が変えられないからビジュアルでの説明が難しい。
🔴:巷説百物語
🔵:続巷説百物語


🔴『小豆洗い』
🔵『野鉄炮』
🔴『白蔵主』
🔵『狐者異』
🔴『舞首』
🔵『飛縁魔』
🔴『芝右衛門狸』
🔵『船幽霊』
🔴『塩の長司』
🔵『死神 或は七人みさき』
🔴『柳女』
🔴『帷子辻』

🔵『老人火』(死神から6年後)

改めて見るとこんな綺麗に入り組んでいたんだな。
この時系列を踏まえて読むとまた新しい発見があるから京極夏彦作品を何周もしてしまう理由のひとつ。

『続巷説百物語』は全ての話が『死神 或は七人みさき』そしてその後の『老人火』に向けて収束していくので物語としての完成度が高い。

特に『老人火』は圧巻。
妖怪の仕掛けは終わり、仕掛け人達が去ってもその土地や人々には語られた怪異の影が残り続ける。
その影から抜け出せなくなってしまった者がどう始末をつけるかというアフターマスの話。
この話の存在がこの先のシリーズ全体に影を落とすような影響力を持っている。

オーディオブックとしては初めての体験なのだが、全編にわたり百助の視点になったせいで、『巷説百物語』の話芸とか落語みたいな朗読の雰囲気は薄くなってしまった。
前作には聴き手である自分に向けて直接語りかけてくるような雰囲気の話もあったけど、今作は全て百助というフィルターを通して世界を眺めるようななったので物語世界への没入感は若干減ったかもしれない。

御行奉仕

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