宇宙叙事詩の科学ノート 第4回 宇宙はどのように始まったのか ー ビッグバン
4月15日公開『宇宙誕生の叙事詩 第2章 宇宙誕生 第3節・第4節』に寄せて
現在の宇宙論では、宇宙は約138億年前には、極めて高温で高密度の状態にあったと考えられている。
ビッグバン理論とは、この初期の高温・高密度状態から現在に至る宇宙の進化を説明する理論である。
ビッグバンという名称は、宇宙のどこかで起きた爆発を意味するものではない。
それは、宇宙のある一点での出来事ではなく、空間そのものが時間とともに変化し続けている状態を指す。
しかし一般には、「宇宙が一点から爆発的に膨張した」という理解が広く見られる。
この誤解は主に次の要因によって生じている。
・名称(Big Bang)が爆発を連想させる
・人間が出来事を「場所」と「中心」で理解する傾向を持つ
・日常的な爆発現象(花火や爆発)との類推
・図解において中心から広がる模式図が用いられること
・説明の簡略化による表現の省略
これらにより、ビッグバンは「空間の中で起きた爆発」と誤解されやすい。
実際には、宇宙には特定の中心は存在せず、すべての場所が同時に膨張している。
現在観測される宇宙では、遠方の銀河ほど速い速度で遠ざかっていることが確認されている。
これは空間そのものが膨張していることを示している。
この膨張を時間的にさかのぼると、宇宙は過去においてより高温・高密度の状態にあったと推定される。
ビッグバン理論は、このような初期状態からの宇宙の進化を記述する枠組みである。
ビッグバン理論を支持する観測証拠は主に三つある。
第一に宇宙膨張である。
遠方の銀河ほど速く遠ざかるという観測結果は、空間の膨張と整合する。
第二に宇宙背景放射である。
これは宇宙誕生から約38万年後に、宇宙が冷却して光が自由に伝播できるようになった時点の放射であり、現在も全方向から観測されている。
第三に軽元素の存在比である。
水素およびヘリウムなどの軽元素の割合は、高温状態の初期宇宙における核反応(ビッグバン元素合成)によって説明される。
これらの観測結果は、宇宙が高温・高密度状態から進化してきたというモデルと一致している。
ただし、この理論は宇宙の最初の瞬間そのものを説明するものではない。
特に、プランク時間(約10⁻⁴³秒)以前の状態については、現在の理論では記述できない。
また、宇宙がなぜそのような状態にあったのかについても確定した理論は存在していない。
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