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【作曲脳解剖】Pink Rain(soundws版)の曲のカケラ全部入り#1

普段、自作曲のライナーノーツやあとがき的なものは「#曲のカケラ」で、参考にさせて頂いた曲と共に残しているsoundwsです。

cofumiさん、mohanmollerさんとコラボさせて頂いたPinku Rainを振り返って、大変学びが多くこれほど頭を使った作編曲もなかったと思います。これまでも必ず考えてはいますが感覚80%思考20%くらいの割合。それがこの度に限っては50/50くらいのイメージです。頭を使ったと言ってもロジックを組むように理論立てて作ったわけではなく、この思いを乗せる音はコレで良いのか?もっと良いものが他にあるのではないか?と、常に自分に問い続け、脳みそフル回転!って感じでした。

何を言っているのかさっぱりわからないって?すみませんこちらのコラボ企画で作らせて頂いた曲の話です。

自分のことながらこの時考えていたことが面白かったので、この度は、いつものカケラ!ではなくカケラ全部入りにしてみようと思いたった次第。創作中「何に対して、何を思い、どうしたのか」を要素ごとにまとめてみました。
書き始めるとあれもこれもと書きたいことが膨らんできたので2部構成にしました。

#1は、元となったAI楽曲歌詞について。
 主に制作に入る前に考えたことになります。

#2は、声を掛けてくださったmohanmollerさんとのやり取りと、作編曲で工夫したことを、参考にさせて頂いた楽曲とともにお送りする予定です。

2026-07-01 追記
【作曲脳解剖】Pink Rain(soundws版)の曲のカケラ全部入り #2

Pink Rainのメイキングとも、個人的な備忘録とも取れる内容ですが、作曲中何をを考えているかなど他の作曲家さんに聞く機会もないので、その点かなり希少かと思います。これから作曲をやってみよう!と思っている方には参考になる?かもしれません。何にしても相当マニアックな話となりますが、最後までどうぞお付き合いください。



AI楽曲に感じたこと


先に申し上げておくと、私はAI楽曲肯定派です。

ゴールデンウィークを目前にひかえた4月のある日。mohanmollerさんから、一緒に作って頂きたい曲がある!というメッセージと共にAI楽曲が届きました。これがコラボの始まりです。

送られてきたAI楽曲は、私が参加する以前にmohanmollerさん主導の元、cofumiさんが作ってくださったもの。AI楽曲を人がどう再解釈し、どう再構築するか?という実験的な試みで作られたのでした。

このAI楽曲の第一印象は「カッコいい!」でした。

特にの歌い出し部分が良い!メロディの譜割りが今時でボーカルの歌唱と相まって、すーっと歌に引き込まれます。リズミカルなギターのカッティングも良いし、アクセントにもなっていて、飽きさせない曲構成に役立っている。サビも耳に残るし。これは一般受けしそう。さすがAI!無駄も隙もない!

これが私がAI楽曲に感じたこと。
勿論、今ひとつだなと思うところもありました。

1.音から雨が感じられない


これはAI楽曲から歌詞を文字起こししていて思ったこと。サウンドだけに耳を傾けた時、雨が感じられませんでした。別の言い方をすると、この曲は晴れの日の歌詞にも合ってしまうよね!ということです。
歌詞の世界観と逆方向のサウンドを合わせるというアプローチも手法としてアリですが、この度はチグハグな気がします。

Pink Rainの歌詞はほぼ、主人公の心境を情景で物語る情景描写で出来ているので、音だけ聴いても情景が浮かぶくらいが良いのです。

そしてこの企画にはAI楽曲をどう再構築するか?というテーマがあるので、これはチャンス!だと思いました。

よし!エレキ・ギターで雨を降らせよう!

これは、作っている最中ずっと念頭に置き繰り返し自分に問う、この創作で最も重要な指針となりました。ここから派生して、シンバルも雨担当、ベースは風担当という具合に、雨のシーンを演出するバンドが脳内で結成されました。

2.明るい


普段私は音8割/詞2割くらいの重心で音楽を聴きます。私のような音重視のリスナーなら、おそらくカッコいい印象を持つのではないかと思います。過去に主人公と似た体験をされ乗り越えた方なら、苦悩も笑い飛ばせ!という前向きなメッセージソングと受け取ってもらえそうです。

ただ、現在進行で主人公と同じような気持ちを抱えた方にひとつでも言葉が直撃したとしたら湧いてくる気持ちは、うるさい!お前に言われんでもわかっとるわ!と、AI楽曲がもつ明るさが前向きな気持ちを逆撫でしそうな気がします。頑張っている人に頑張れと声を掛けるのに似た感じです。

cofumiさんの歌詞は、主人公と同じ目線に立ち寄り添っている様に感じたので曲調は明るいメジャーより、暗く聴こえるマイナー調で行くことにしました。

3.終止感が多い


終止感が多いというのも初期段階で感じた印象です。

終止感(しゅうしかん)というのは、曲の中で、音が落ち着いた、安定した、ひと区切り着いたように感じれれる部分のこと。着地する!ともよく言います。メジャー(長調)の場合は明るく、マイナー(短調)の場合は暗い終止感になります。
歌の最後にくることが多いのですが、終止感はどこにあっても良いし、無くても良い。演出のひとつとして作曲家が足したり引いたりするものです。

soundws音楽用語辞典

AI版Pink Rainで初めに終止感を感じるのは、
「ガレージの隅 埃が踊る」の部分。ひと区切り着いた感じ、伝わるといいのですが・・・。
この一区切り着く感じが曲中で度々登場します。

この終止感過多は生成AIの宿命だと思っています。終止感のある箇所は聞き手の感情が緊張から緩和へと変わります。そこに歌詞がハマれば良い曲と判断される可能性が高くなります。その結果生成AIは終止感のあるコードやメロディや伴奏を良いものだと学習し、次も終止感のある曲を出力してくるわけです。
生成AIはユーザーから良い評価を得るために入れているだけであって、作曲家のように演出で入れているわけではありません。
(生成AI君よついてこれるかな?フフッ)

soundws音楽用語辞典

曲調をマイナーに変えたことに繋がりますが、終止感が訪れる度に気持ちを逆撫ですることになる。マイナー調の終止感は沈んだ気持ちをより沈める方向へ働くのでこれも避けたい。

そもそも、歌詞に描かれているのは白黒ハッキリとした感情ではなく、不安や迷いや空虚感や憤りなどが複雑に入り混じった、一言では表し難い感情です。歌詞の一節をお借りするなら「名前のない感情」。
こうしたことから、極力終止感のないコードやメロディを選ぼう!と考えました。

4.シンコペーションはカッコいいけれど

シンコペーションというのは、アクセントの位置をずらしてリズムに変化を与える演出手法です。私も良くやりますが、小節の頭から始まる音を半拍早く発音して、曲にスピード感や躍動感を加えたりします。
サカナクションさんはこれを良く使っていらっしゃいます。「怪獣」のサビとか。太字部分がシンコペーションしている所です。
「このせいは うつうに かんい」
やりすぎると全てが走って入れる前と変わらない状態になるので、緩急をつけるために使う!くらいが丁度良いと思っています。

soundws音楽用語辞典

Pink Rainの冒頭にもあります。
「こんくりーとが しめりけをおび
シンコペーションも含めてこの歌い出しの譜割りがカッコいいと思ったのでした。

ただ、この作品にスピード感や躍動感が必要か?と考えたら答えはNOでした。どちらかと言えば、淡々とリズムを刻んだ方が雨の情景を表していると思いました。
よって、シンコペーションも出来るだけ抑える!と決めました。

歌詞に感じたこと


主人公めっちゃ苦悩してる!というのが第一印象。創作物とはいえ、cofumiさん病んでる?って心配になるくらい(笑)

先に、Pink Rainの歌詞は情景描写で描かれていると書きましたが、情景描写というのは、作家が見た光景を語るように描くことをさす表現手法のひとつです。リスナーは映画のワンシーンを見ているかのように歌を聴くことになり、歌詞の解釈はリスナーに委ねる形になります。

私の勝手な印象ですが、cofumiさんは心理描写の作詞家さんだと思ってました。心理描写も表現手法のひとつで、主人公の心情を主人公自身が吐露するように描くことをさします。主人公の心情を描くこともありますし、作詞家さんご自身の心情がそのまま描かれることもあります。基本的に心情をそのまま言葉にしますが、比喩や印象的な言葉がひとつ加わるだけで深い心情を描く事が出来ます。(という知識は持ってますがこれが書けない;汗)

cofumiさんはこれが上手い!(上から目線ですみません)私は心理描写がさっぱり出来ないので、いつも羨望の眼差しで拝見させてもらっていました。

そのうえでこの度の Pink Rain、情景描写の歌詞です!
普通なら一旦情景を解釈する思考が入るところをすっ飛ばして、いきなり第一印象で主人公めっちゃ苦悩してる!と感じたのですから、描かれている情景がどれほど主人公の心情に寄り添ったものかおわかり頂けるかと思います。寄り添い方が半端ないので、cofumiさん病んでる?って心配になった次第です(笑)

これで第一印象の話が済みました(笑)
ここからが歌詞に感じた事の本編です!

変えさせてもらったところ ***

考え抜いて選んだ言葉に色々言われるのはけして気分の良いものではありません。少なからず歌詞を書く身として自分がそう思うので、曲をつけさせて頂く時の緊張感は半端ありません(汗)

どの作品にしても、出来上がった時「これは最高だ!」と少なくとも自分は思っています。コラボの際も、相棒が最高だと思えなければ、何度でも変える心づもりもあります。作品が世に出る前の意見は批判ではありません。より良い作品にするために磨いているところ。
その結果2人が最高だと思えたら、その作品は少なくとも2人のファンから始められます。こんな心強いことはありません。これがコラボの魅力です。

cofumiさんには、事前にmohanmollerさんを通して歌詞を改変する場合があることをお伝えし快諾いただきました。
cofumiさんもアーティストとして経験を重ねて来られているので、メロディに乗せるうえで歌いまわしや語感を整えるための変更は当然として、それ以上の変更も想定していらっしゃいました。

歌詞に幾つか手を加えました。これらの変更は100%私の意訳からくるもので、当初cofumiさんが意図したものと違う場合があることを理解ください。

【元詞】意味を失くしたカレンダー 剥がす勇気今日はないな

【変更】先月のカレンダー めくる勇気今日はないな

古いままのカレンダーが目に止まったけれども
先が見えない未来を直視するのが怖くて剥がせない
勇気を出せば良いとわかってはいるが
今の私にはその気力すらない

soundws意訳

剥がす → めくる

今日は」が希望を捨て切ってはいない主人公の気持ちを表しているので、それを受けるカレンダーは絶対に希望が感じられる物であって欲しい!という私の願いによる変更です。
「意味を失くした」に相当する情景を想像し、「めくる」ならば、次が控えているイメージを持ってもらえそうだと思い「先月の」に変えました。元詞が持つ意味は失われていないと思います。(そうであってくれ!)

【元詞】どこまでも飛べ 未来を超えろ

【変更】どこまでも飛べ 時代を超えろ

この歌の中で最も強いメッセージ。私自身に投げかけらてるようでグッとくる一節です。

これは最後まで悩みました。「未来」というワードのスケールが大きく、ここまで綴ってきた言葉とのバランスの差が大きいと感じたからです。(本当に生意気ですみません)これに代わるワードが見つからなかったため、制作最終段階まで仮に「自分」としていました。

最終段階は必ず何度も声に出して歌ってみます。歌いにくくないか?歌として成立しているか?違和感はないか?などを確かめるのですが、ボーカリストがこの言葉を発する時、気持ちが乗せられるか?という点を最終チェックポイントにしています。何度も歌ってみるのは、少なくとも私自身は気持ちを乗せられることを最低条件としOKを出せるからです。

何度も繰り返し歌っていると、当初の思いとは逆に「自分」ではスケールが小さ過ぎると感じ始めました。というのも主人公がなんとも表し難い感情を抱えている原因には、自分ではどうにも出来ない社会やシステムといった外的要因もあるからです。
その比喩が「誰かが決めた規格」や「舌の上の甘い世界」です。
社会やシステムといったものは必ず移り変わっていくもの。今良い評価が得られないとしても5年後主人公が正しかったと評価されるかもしれない。
そう考えた時、主人公に超えて欲しいのは「時代」でした。

このこの言葉を、主人公自身が発したのか?cofumiさんが主人公に投げかけたのか?という点はわかりませんが、主人公に希望を捨て切らないで欲しいという願望を込めて私は前者としました。これが次の変更箇所に繋がります。

【元詞】終わらない この夜を 抱きしめて いたいだけ

【変更】終わらない この夜を 抱きしめてる

ここもすごーく悩みました。読み方ひとつで主人公の気持ちがまったく違ってくるからです。
元詞は「抱きしめていたい」とあるので「終わらないこの夜」は肯定的なものです。

私の心を占めている名前のない感情達を、この雨が流してくれているかのよう。すべて流れ切ってしまうまで、この夜が続けばいい。

soundws意訳

流れに身を任せている受動的な印象をうけます。この場合「どこまでも飛べ未来を超えろ」はcofumiさんが主人公に投げかけた言葉となり、一本の線で繋がります。cofumiさんのイメージはおそらくこちらだったのだろうと思います。

一方「どこまでも飛べ未来を超えろ」を主人公自身の言葉とした時、ここで受動的だと繋がらなくなります。そこで感情的表現を外し、抱きしめていると、情景だけにしました。ここを心情で表すとこうなります。

私の心を占めている名前のない感情が拭えないのならば、抱えたまま進んでやる!

soundws意訳

これがまた次の変更に繋がります。

【元詞】DA DA DA

【変更】うー あああ

DA DA DAで思い浮かんだ映像は、ずぶ濡れになりながら雨の中を踊っているシーン。これはやり場のない気持ちをぶつけていると取れますし、「どこまでも飛べ」を受けて進みだした気持ちとも取れます。すごいダブルミーニングですね。

ここは、前の変更をうけて、言葉にならない感情に抗う叫びとしました。
今は言葉にならない感情が心を占め行動に移せるほどの気力はないが、光を失ったわけではない!こんな気持を込めた叫びです。


曲の公開後、cofumiさんがこちらの記事を書いてくださいました。

同じ歌から始まっているのに、soundwsさんの感性や表現によって違う物語が立ち上がっていました。
それが本当に嬉しくて、感動でした。

実は初め、言うほど違った物語になってるかな?と思っていたのです!が、こうして文字に起こしてみて、主人公に向けた私の願望が入ったことで、違う物語になっていたのだとようやく気づきました。(今更ながらすみません)

そのうえで楽しんで下さっていることがとても嬉しかったです。

好きなところ ***

この歌でココが一番肝になる!と感じ、私自身も一番好きな歌詞がこちらです。

バーコードをなぞる指先
読み取れない僕らの明日
誰かが決めた規格の中で息を止めてる

テーブルの上のビールの空き缶。
何気なしにバーコードをなぞってみる。もちろん何か読み取れるはずも、僕らの未来が見えるはずもない。
不自由なルールに縛られた社会で、私は死んでいるも同然だ。

soundws意訳

読み取れないことくらい初めからわかっていてもこんな行動を取ってしまう主人公。疲れ切っていることが読み取れます。
そしてもう一人の登場人物。「僕ら」ということは同等の立場の人間。おそらくパートナーなのでしょう。広い意味で。そのパートナーとの関係が良くない、もしくは破綻した、その原因に不自由なルールがあると読めます。
この「規格」は、ローカルな縛りであったり、社会風潮などを指しているのだと思います。その生きづらい社会で、息を潜めている!でも良さそうなところを、生きを止めてる!です。これほど強烈な言葉は無いでしょう。

誰でも一度や二度はこのような気持ちになったことがあると思います。私もありますのでこの部分は自分のことように感じました。
誰でも経験のある普遍的なテーマですが、これほど刺さるのは、cofumiさんの力だと感じました。凄い方です(羨望の眼差し2)

歌詞について感じたことは以上です。

この後私は、絶対にココを活かすのだ!と自分に喝を入れ曲作りに掛かりました。聴き終えた後この部分だけは印象に残るよう、先ずはこの部分のメロディとアレンジを固め、それに合うように前後を整えていく形で進めました。

曲づくりの指針も定まった!歌の芯も見つけた。ココまで来るとですね、もう自分の歌のような気持ちになっています(笑)

普段はもっと感覚的に進むのですが、今回は本当に熱くなりました!
熱くなったあまり、話を変えていたというオチまでついて(笑)とても楽しい作曲でした。
cofumiさんとmohanmollerさん、お二人にあらためてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

* * *

これらを踏まえて聴いて頂くとまた違った世界が見えるかもしれません。
ぜひ聴いてください。

noteでもYoutubeでも、ご感想ご意見頂けると嬉しいです。
スキや高評価ボタンだけでも押してってください。

さて問題です!

最後に、私からクイズを出題させて頂きます。

伴奏で雨を演出するにあたって、ある曲をリファレンス(参考にさせてもらうこと)に決めました。さてこの曲は何でしょう?
ヒントは、雨を題材にした有名な日本のフォークソングです。歌詞は幸せそのものですし曲調も雰囲気も明るく、PinkuRainとは真逆です。

思い浮かぶ曲があった方は是非コメントを残していってください。
正解は執筆中の#2でお答えします。お楽しみに!

では、また。

2026-07-01 追記

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