【読書記録 -103】ミンツバーグの組織論
これもしばらく積読になってた本だ。
購入したきっかけは、入山章栄氏の『世界標準の経営理論』の中に引用されていたことだったように思う。記憶が曖昧だけれども…
― 組織 ―
ミンツバーグの言葉を借りるなら…
人は病院で生まれ、学校で学び、NGOや企業で働き、葬儀場で人生を終える。人生のあらゆる局面が組織に依存しているにもかかわらず、組織を理解していない。

本書の著者 ヘンリー・ミンツバーグは1939年カナダ生まれ、同じカナダのマギル大学デソーテル経営大学院のクレゴーン記念教授。現在もご存命のようだ。彼はマイケル・ポーターに代表されるような「純理論的な経営理論」を批判し、「良きマネージャーは教室では育成されない」と主張。芸術的要素・右脳的要素を重要視する経営学者だ。
以下にミンツバーグの組織論をまとめておく。
組織づくりの三角形
ミンツバーグは、右脳要素を重要視した(組織における)意思決定や戦略形成において、以下の3つの要素が絶妙なバランスで混ざり合うことで成立すると説いた。
アート(Art:洞察・直感): アイデアやビジョンを土台とし、「まず見ること」から出発する。→ インスピレーションや独創性を重視。
クラフト(Craft:経験・実践): 現場での関与や学習を土台とし、「まず行動すること」から出発する。→ 実践的な技と継続的なコミットメントを重視。
サイエンス(Science:分析・エビデンス): データや事実を土台とし、「まず考えること」から出発する。→ 評価やシステマティックな分析を重視。
7つの組織形態と力学(Force)
さらに、組織はその活動の方向性を決める、固有の「力(Force)」によって7つの形態に分類される。ただし、多くは1~4であり、5~7は特殊なケースだ。
パーソナル型(個人が君臨する事業): 創業者が「ハブ」の中心で直接的な監督をおこなう。その中心人物の支配的な「統合」の力の影響が大きい。
プログラム型(工程が定められた機械): 徹底した分業と業務の標準化により、チェーンのように業務を繋ぐ形態。テクノストラクチャー(分析を通じて組織活動をコントロールするアナリスト層)が設計する「効率」の力によって動く。
プロフェッショナル型(専門職の寄せ集め): 高度な教育を受けた専門職の自律性に依存する。スキルの標準化に依存し、個々の専門性を極める「熟達」の力が働く。
プロジェクト型(革新を目指すプロジェクト): 専門家チームが相互の調整を通じて、ウェブ(クモの巣)のように柔軟に革新を生む。「協働」の力が不可欠である。
事業部型組織: 組織の多角化に伴い、事業ごとに自律的な「事業部」を設け、本社が目標や予算などの成果を通じて全体を管理する形態。権限は各事業部に委譲されるが、事業部内はプログラム型の性格を帯びやすくなる。
コミュニティシップ型組織: 共通の信念やミッションに基づき、強力な文化と規範の標準化によってメンバーが結束する形態。権力は均等に分散するが、組織の使命への献身を通じて行動が深く制御される。(NGOなどでよく見られる)
政治アリーナ型組織: 対立が激化し、組織全体が政治的なゲームに飲み込まれた状態の形態。正式な権限や構造が機能しなくなり、一時的な均衡状態になった組織。
6つの調整メカニズム
組織内のバラバラな活動を統合する仕組み(調整)は、以下の6つに集約される。
相互の調整: 非公式な会話によるリアルタイムな調整。
直接的な監督: 責任者が明確な指示を出す調整。
業務の標準化: 作業の内容をプログラムする調整。
成果の標準化: 達成すべき目標や数値を指定する調整。
スキルの標準化: 従事者の知識を事前に揃える調整。
規範の標準化: 共有された信念を通じて方向性を揃える調整。
組織に生命力を吹き込むこと
ミンツバーグは、本書の中で「ミツバチ」と「ハエ」の例えを挙げている。
ガラス瓶に閉じ込められた「ミツバチ」は、光の差す方向に出口があるという論理に固執して、出口を見つけられないまま死んでしまう。一方で「ハエ」はガラス瓶の中を本能のまま、やみくもに飛び回り、偶然(セレンディピティ)出口を見つけ出す。
組織デザインも同様だ。
硬直的な方程式に頼るのではなく、現場の変化に柔軟に適応する考えを持つべきなのだ。
組織は機械や数字などではなく生き物だ。
その考えをベースに置いて「アート」「クラフト」「サイエンス」の三要素のバランスを探り続けること。それこそが、組織に生命力を吹き込む唯一の道なのだ。
参考リンク集
・Amazon『ミンツバーグの組織論』書籍紹介ページ
・Henry Mintzberg 公式サイト (mintzberg.org)
