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【読書記録 -23】世界標準の経営理論

ー経営に必要なことは、この一冊に全部書いてあるー

そう言ってもいいくらい、この本には緻密に経営理論が網羅されている。ただし、学術用語や論文の引用が多いので、かなりの読解力が求められるが…


入山章栄は、経営学・イノベーション論を専門とする、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授だ。

本書『世界標準の経営理論』は、彼の視点で経営に関する主要な理論を網羅的に整理し、その重要性について微に入り細に入り解説されたものだ。多くの経営理論を書いた本は、どれかひとつだけにフォーカスしているものが多いが、本書ではそういった経営理論が体系的に書かれている。

本書で入山章栄が特に重要だとしている理論は多いが、中でも中核に据えられているものを挙げるとすれば、それは次の3点だ。

1. 競争戦略論(ポジショニング理論)
マイケル・ポーターに代表される理論で、企業の業績は「どれだけ努力したか」ではなく、「どこで・どの土俵で戦ぶか」によって大きく左右されるとする考え方だ。入山は、差別化やコスト優位といった基本戦略を理解せずに経営を進めることは危険だと説いている。

2. リソース・ベースト・ビュー(RBV)
企業の競争力は市場環境だけでなく、社内に蓄積された模倣困難な資源や能力から生まれるという理論である。人材、組織文化、暗黙知といった「見えにくい資源」こそが長期的な強さを決める。

3. イノベーション理論(探索と深化)
新しい価値を探す「探索」と、既存事業を磨き込む「深化」をどう両立させるか。入山は、イノベーションを精神論ではなく、組織設計と意思決定の問題として捉えることが重要だと説いている。

入山章栄は無数に存在する経営理論の中で、この3つを「経営の基本装備」と定義している。だけど、その3つ以上にボクがめちゃめちゃ気になったのは「SECI(セキ)モデル」だ。


SECIモデルは、野中郁次郎(一橋大学名誉教授、カリフォルニア大学バークレー校特別名誉教授などを務めた経営学者:残念ながら2025年に亡くなっている)が提唱した経営の基礎理論だ。

SECIモデルとは、共同化:Socialization、表出化:Externalization、連結化(Combination、内面化(Internalization、の英単語の頭文字を取ったもので、この4つのプロセスを循環させることによって「暗黙知」を「形式知」に変換させ、組織の知識レベルを向上させようという理論だ。

なお、暗黙知とは、個人の経験・勘に基づく言語化困難な技術(ノウハウ)のことを指し、形式知はマニュアルやデータ、動画などによって明文化された共有可能な知識のことを指す。

共同化 (Socialization): 経験の共有などを通じ、暗黙知を他者へ移転させる。(例:職人の仕事を見て覚える)

表出化 (Externalization): 暗黙知を言葉や図解にして形式知化する。(例:マニュアル作成、報告)

連結化 (Combination): 形式知を組み合わせて新たな知識体系を作る。(例:マニュアル同士を組み合わせる)

内面化 (Internalization): 形式知を実践・体験し、個人の暗黙知として習得する。(例:マニュアルを使い実践する)

SECIモデルが目的としているゴールは、ナレッジの組織的活用だ。 経験や勘のブラックボックス化…すなわち「属人化」を解消し、組織の共有財産にすることだ。それによって、知識の連鎖的な新結合…すなわち「イノベーション」によって、新しいアイデアやノウハウが生み出される。

属人化が解消されていけば、同時に人材育成が進み、経験豊富な社員のノウハウが効率的に会社全体へ共有される。それは、社員全体のスキルアップにつながっていく。そして、そういったプロセスを機能させるためには、対話や共有の場が必要となると提唱されている。

この本は、ボクにとってはめちゃめちゃ面白かった。
読み返したい本の一冊だ… っていうか、何度か読みなおさなければ頭に入ってこないと思う。

そう考えると、あまりお勧めできる本ではないのかもしれないなー。

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