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【読書記録 -140】モチベーション3.0

人は何によって動くのか

2年ぶりになるかな…
気になることがあって『モチベーション3.0』を読み直した。

この本は、ボクの座右の書と言っても過言ではない。
ボクが本気でマネジメントに向き合うきっかけになった本だ。

この本を手に取ってなかったら、ボクは今でもごく普通のサラリーマンだったろう。今でも手元に置いていて、何かあると開く一冊だ。


著者のダニエル・ピンクは本書の中で、活気ある社会や組織をつくるための現代の「やる気!=ドライブ!」を引き出すには、OSの書き換えが必要だと説く。

人類は、生存本能によって行動する「モチベーション1.0」の時代を経て、報酬や罰によって動機づけられる「モチベーション2.0」の時代へ進んだ。しかし、知識労働が中心となった現代では、それだけでは創造性も主体性も十分に引き出せない。

そこで著者は、内発的動機に基づく新しい働き方として「モチベーション3.0」を提唱している。

タイプXとタイプI

本書では、人の行動特性を二つのタイプに分類している。

  • タイプX:報酬や評価、昇進など外発的な動機によって行動する人

  • タイプI:仕事そのものに喜びや意味を見出し、内発的な動機によって行動する人

もちろん報酬は必要だ。
しかし、創造性や問題解決能力が求められる仕事では、それだけでは十分ではない。これからの時代に重要になるのは「タイプI」の働き方だと著者は説いている。

タイプIを支える三つの要素

「タイプI」を支えるものとして、本書では三つの要素が紹介されている。

  • Autonomy(自律性)
    仕事を「やらされる」のではなく、自ら選び、自ら決めること。著者は「何をするか(Task)」「いつするか(Time)」「誰とするか(Team)」「どのように進めるか(Technique)」を自ら選択できるほど、人は主体的に行動できると説明している。

  • Mastery(熟達)
    能力や技術を磨き続けること。ただし、熟達にはゴールがない。著者は数学の「漸近線」を例に挙げ、どれだけ努力しても完全には到達できないものだからこそ、人は成長し続けられると説明している。また、熟達には適度に難しい課題へ挑戦し続けることが重要であり、その過程そのものがモチベーションになるという。

  • Purpose(目的)
    利益や評価だけではなく、自分よりも大きな目的社会とのつながりを感じながら働くこと。企業であれば存在意義社会的使命、個人であれば「何のために働くのか」という視点である。利益は重要ではあるが、それだけでは長期的なモチベーションは維持できないと著者は述べている。

ボクがずっと引っかかっていたこと

ボクは以前から(「Purpose」という言葉そのものではなく)Purposeを「到達すべきゴール」のように解釈することに違和感を持っていた。

日本語では「目的」と「目標」はかなり近い意味で使われる。だからビジネスの現場でPurposeと言われると、どうしても「到達すべきゴール」のように受け取ってしまう。ボクは昔からそれがしっくりこなかった。

1. Autonomy(自律性)があるから自分で選び、自分の意思で続けられる。
2. 続けるからMastery(熟達)へ近づいていく。
3. だけど、Masteryは漸近線なので、どれだけ努力しても完成形に到達することはない。
4. そして、Purpose(目的)を置く…

そう、Purpose(目的)だけが唐突なんだよな…


マルコム・グラッドウェル著『天才!』のエッセンス

…そんな風に考えていたとき、以前読んだマルコム・グラッドウェルの『天才!』を思い出した。

こちらの本では、一流と呼ばれる人々の背景には約1万時間の積み重ねがあること、そして、その努力だけではなく、時代や環境といった偶然の要素も重なって初めて大きな成果につながることが紹介されている。

考えてみると、この『天才!』も「Mastery(熟達)」について書いた本じゃないか!

Masteryが一定レベルに達するには長い時間が必要だ。
『天才!』ではそれを直接的に「1万時間」と表現している。
しかし『モチベーション3.0』ではそれを婉曲的に「漸近線」と表現しているってことだろう。

天才と呼ばれるには、チャンスが訪れたタイミングで、すでに1万時間の積み重ねが完了していなければならない。そう、チャンスが来るか来ないかは単なる偶然であり、MasteryのためのPurpose(目的)なんてない。あるのはAutonomy(自律性)だけなんだ。

もし、何かPurpose的なものがあるとするならば、それは「未来の自分が、きっと何かをやり遂げてくれるだろうという期待」なんだろう。そう考えると、Autonomy、Mastery、Purposeという三つの概念が、一つの時間軸の上できれいにつながるんじゃないだろうか。


「道」という考え方

日本には昔から「道」という考え方がある。
茶道、書道、剣道、柔道… 数え上げればキリがない。
そう、「道」は、終わりのない熟達を歩み続ける営みだ。

Purposeを「道」と訳すべきだと言うつもりはないけれど、日本人のボクには「道」という考え方を重ねた方が、この三つの概念を理解しやすいと感じたのだった。

参考リンク

・Amazon『モチベーション3.0』

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