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【読書記録 -129】ゲーム理論トレーニング

2023年の年末、ボクは「ボクが宝くじを買わない理由」という記事を書いた。

それは、当選確率が約2,000万分の1だからだ。…とは書いたものの、本当は「そのゲーム」に参加する気になれなかっただけなのかもしれない。

そんなことを思い出させてくれたのが、逢沢明著『ゲーム理論トレーニング』だ。

ゲーム理論というと「ナッシュ均衡」や「ミニマックス戦略」「囚人のジレンマ」といった、いわゆる「理論」をベースにした、相手を出し抜くための必勝法のような印象がある。

2年前の記事で、ボクは確率の話を書いたつもりだったけれど、本当に考えていたのは確率ではなかったのかもしれない。それはきっと「そのゲームに参加する意味はあるのか」という話だったのだ。


本書には、議席数が減ったにもかかわらず影響力が増した政党の事例が登場する。

普通に考えれば、議席数が減れば弱くなる。しかし主要政党が過半数を失ったことで、その政党は連立の鍵を握る存在になった。数では負けているけれど、ゲームの構造が変わったことで、影響力は増大したのだ。

キューバ危機の事例も同様だ。
ケネディは軍事力を増やしたわけではなく、意思決定の順番を変えることで、ゲームそのものを書き換えたのだ。

靴職人の事例では供給を増やすのではなく、あえて減らすことで市場環境を変えている。

よく読み解いてみると、どれも勝ち方を工夫した話ではない。
そもそも、どんなゲームをするのかを変えた話なのである。


多くの人は、自分にはゲームチェンジする力などないと思っている。
だけど本書の事例を見る限り、ゲームチェンジとは必ずしも巨大な資本や権力を意味しない。

順番を変える。
立場を変える。
競争軸を変える。
顧客を変える。
参加する市場を変える。

そうした小さな選択が、結果として自分目線のゲームの構造を変えていくのだ。実際のビジネスの現場でもそうだ。

価格競争に参加しない会社がある。
採用競争に参加しない会社がある。
大企業と同じ土俵に上がらない会社がある。

彼らは特別に強いわけではない。
ただ、自分たちがどんなゲームに参加しているのかを理解している。そして必要に応じてゲームそのものを選び直しているのだ。

大事なのは「どう勝つか」ではなく「自分がどんなゲームに参加しているのか」という問いだ。

そもそも何のゲームなのか。
このルールは本当に正しいのか。
このゲームに参加することは合理的なのか。

きっと、目の前の勝ち負けにとらわれている限り、本当の「ゲーム理論」が身に付くことはないのだろう。


さて、ボクは今でも宝くじを買わない。

それは当選確率が低いからではない。
たぶん、世の中にもっと面白いゲームがたくさんあると思っているからだ。

参考リンク

Amazon『ゲーム理論トレーニング』書籍紹介ページ

かんき出版:著者紹介ページ

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