【読書記録 -108】正解が見えない課題を圧倒的に解決する「超仮説思考」
要約からの超仮説
問いを立てて、それを構造化する=「要約」することができるようになったら、次は「仮説を立てる」フェーズに入ろう。その「仮説」が「意思決定」のためのガイドラインになるのだ。
昨日の記事でも書いたが、現代のビジネスシーンは「時間の奪い合い」で成り立っている。それは、他社(他者)を出し抜くにはスピードが重要だということを示唆しているのだ。
通常、仮説を立てるときは、インターネットやAIを駆使して情報収集をするところからスタートするだろう。しかし、それでは意思決定のスピードは競合と同等にしかならない。
何が「超仮説」なのか
本書『正解が見えない課題を圧倒的に解決する「超仮説思考」』で提唱されているのは、情報収集に大きなリソースを割かずに「仮説」→「意思決定」のスピードを上げる、もしくはネットに転がっていない情報をベースにして、他社に思いつかないような「仮説」を立て、独自性の高い「意思決定」をしようということだ。

ただし、この『超仮説』にはリスクも伴う。
仮説を立てるスピードを速くすれば、当然その仮説が当たる確度も下がる。そうなると、間違った意思決定をしてしまう可能性も高くなるので、場合によっては重篤なダメージを負うことになるかもしれない。
だから、さらに重要になるのは修正のスピードだ。
爆速で仮説を立て、爆速で意思決定をし、爆速でPDCAを回して、爆速で修正(場合によっては撤退)をするのだ。
じっくり構えて高打率を狙うのではなく、打席数を増やして三振もヒットも増やそうという戦略だ。
中小企業だからこそできること
本書の著者 高野研一は、世界最大級の組織・人事コンサルティングファーム「コーン・フェリー」の日本法人社長などを歴任した人物だ。数多くの企業変革や次世代リーダー育成に携わってきた実績によって、中小企業の運営や意思決定の迅速化に直結する生きた組織論を教えている。
これが大企業なら、じっくり構えてデータが完璧に揃うのを待ってから意思決定するべきだ。なぜなら、大企業にはステークホルダーが多く、経営者は彼らへの説明責任を負っているからだ。
それに比べて中小企業は、小回りが利いてスピード感のある意思決定ができるところが長所であり持ち味だ。走りながら考え、走りながら修正できるところが中小企業の強みなのだ。
著者が説いているように、中小企業が「情報が足りない」「データが不十分だ」という理由で意思決定を先送りにしているのは致命的だ。そもそも中小企業は大企業のように潤沢なリソースを持っていないではないか。
いや、これはなかなかハードルが高いぞ。
この「超仮説」の仕組みは、経営者と(優秀な→)現場とが上手く連携していないと、逆に地獄を見ることになりかねない。
もし、あなたが『超仮説』が実装された会社を目指すのであれば、まずはこの3つを実装するところからだ。
1. 経営者は「Why」を提示し、現場に「How」を委ねる
経営者が「答え」も「やり方」もすべて指示してしまうと、現場がただの作業員になり下がり、スピードが落ちる。
経営者の役割: 自分の主観や違和感から導き出した「なぜこれを行うのか」「おそらく市場はこう変わるだろう→ なぜならば…」という大方針(Why)を、現場に強いメッセージとして提示する。
現場の役割: その説を検証するための具体的な実験方法(How)を自分たちで考え、PDCAを爆速で回す。
2. 「失敗の定義」をあらかじめ共有し、現場の恐怖心をなくす
超仮説は外れる確率が高いため、現場が「社長の思いつきに付き合って失敗したら、自分の評価が下がるのではないか」と恐怖を抱くリスクが高い。
行動の仕組み化: 経営者が現場に対して「早く失敗して、生きた一次情報を持ち帰ってくることが『成果』なのだ」という評価基準(ルール)を明示する。
連携のルール: 例えば「1週間試して、顧客の反応がゼロならその仮説は即座に捨てる(撤退する)」などの引き際(失敗)の定義を現場に示しておく。そうすることによって、現場はリスクを恐れずに、経営者の超仮説を爆速で市場にぶつけに行くことができる。
3. 一次情報の共有パイプラインを構築する
現場が市場や顧客から回収してきた「活きた一次情報(顧客のナマの反応や違和感)」が経営者に届かなければ、超仮説思考を回すことができない。
フラットな連携体制: 現場の気づきや顧客のリアルな反応を、経営層へダイレクトかつノイズなしで共有できる仕組み(チャットツールの専用チャンネルや、定期的なショートミーティングなど)を構築する。
重要なのは「好循環(ループ)が回ることだ。
現場が活きた一次情報をキャッチし、それをスムーズに経営者に上げることで、さらに解像度の高い「次の超仮説」を立てることができる。
それを爆速で回していく仕組みを構築することが『超仮説思考』の本質なんだろう。
参考リンク
Amazon『正解が見えない課題を圧倒的に解決する「超仮説思考」』書籍紹介ページ
