【家電恋愛小説】ハンディファンの風で届けたいのは、涼しさと、少しだけ熱い想い【ショートショート】
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第1章: 「この風、あなただけに向けてもいい?」

「尚人くん、ねぇ。今なにが足りてないと思う?」
「え、えっと……水分ですか?それとも……糖分……?」
「ぶっぶー。正解は“風”でした」
にこっと笑って、私はリズムのハンディファン
シルキーウインドモバイル(新色グリーン)をスイッチON。

風量 “3” で、彼の首もとにそっと風を送る。
「……あっ」
「ほら、気持ちいいでしょ?ちょっとだけ“好意入りの風”」
「……えっ、えっ……」
「そんなに焦らなくていいの。“ちょっとだけ”だから」
第2章: 「好き未満、気になる以上の“風量3”」

外は青空。くじゅう連山から阿蘇へ向かう草原はどこまでも続いていてる。
湯布院から始まったやまなみハイウェイを走るこのドライブが、
いつまでも終わらなきゃいいのになって――私はちょっとだけ思ってる。

「このファンね、ただの可愛いだけじゃないのよ。静音で大風量。
二重反転ファンとDCモーターで、“本気の風”が出るの」
「“本気の風”……?」
「そう、私が送る“好き未満”くらいの気持ち、ってところかな?」
「そ、その例えって……あの……」
「ふふ。言いたいことあるなら、風が止まる前にどうぞ?」
第3章: 「あなたのリアクション、風より効くのよ?」

「ちなみに、風量は5段階ね。いま“3”だから、まあ“観察中”って感じ?」
「観察されてるんですか、僕……」
「うん。こういう人、何回風を当てたら好きって言ってくれるのかな〜って。研究中」
「……先輩、ちょっと意地悪ですよ……」
「でも、あなたの反応が可愛いからやめられないのよ?」

私は風量をそっと“4”に上げた。
それは、“好き未満”じゃないかもしれない。
けれど、まだ“好き”とは言わない。そのギリギリが楽しい。
第4章: 「“まだ好きじゃない”って、ずるい距離」

休憩のあいだ、彼がファンのストラップを首にかけようとしてもたついているのを見て、私はそっと近づいた。

「ん、貸して。こうするの。
首にかけたら、両手が空くでしょ?
急に手、握られても大丈夫。ね?」
「……そ、そういう前提で考えてるんですか……?」
「可能性のハ・ナ・シ。でも、ゼロじゃないでしょ?」
彼の耳がまた赤くなっていくのを見ながら、私は満足そうに微笑んだ。
第五章: 「風が止まる前に、好きって言わせたい」

帰りの車内。夕陽が差し込んできて、ファンのLEDランプはあと1つ。

スイッチを切ると、空気が少しだけ静かになった。
私は助手席からぽつりとつぶやく。
「……次のドライブでも、風、送ってあげるよ」
「……また、お願いします」
「でも、その時はさ――
そろそろあなたの“好き”、聞いてもいいかな?」
言ったあとで、少しだけ頬が熱くなったのは、
たぶん今日ずっと風を当ててた自分のせい。
エピローグ: 「風は止まった。でも、わたしの気持ちは止めない」

帰り道、車内にただようのは沈黙じゃなくて、心の余白。
風の音が消えても、
彼の耳の赤さと、私の鼓動だけは、まだしっかりそこにあった。
この恋、たぶんもう始まってる。
でも“好き”って言うのは、もう少し風が吹いてから――
読んでいただき、ありがとうございました。また次回もお会いしましょう!
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