G.W明けに「学校に行きたくない」 と言う子へ
不登校の前に見るべき“切り替え・予定変更・不確実性”のサイン
長く、障がい児支援、療育の現場にいると
相談されることでよく聞く内容の一つが休み明けの「行き渋り」です。
例えば
ゴールデンワークが明け、子どもが「学校に行きたくない」と言い出す。
朝になるとおなかが痛い。
布団から出られない。
ランドセルまでは背負うのに、玄関で止まる。
校門までは行けるのに、教室に入れない。
この時期、保護者の方はとても迷うと思います。
休ませていいのか。
背中を押した方がいいのか。
甘えなのか。
無理をさせているのか。
このまま不登校になるのではないか。
でも、最初に考えたいのは、
「どうやって学校に行かせるか」ではありません。
まず見るのは、
「この子は、どこで止まっているのか」
言動の背景、言葉にならない声を観察する
です。

この記事は、不登校全体を説明する記事ではありません。
不登校・登校しぶり全体の見方は、親記事で整理しています。
ここでは特に、
連休明け・長期休み明け・週明けに強く出やすい
切り替えの負荷
予定が見えない不安
学校モードへ戻るしんどさ
に絞って考えます。
1. G.W明けは、子どもの“切り替え負荷”が高くなる
4月、子どもは新しいクラス、新しい先生、新しい友だち、新しい時間割に何とか合わせています。
大人から見ると普通の新学期でも、子どもにとってはかなり大きな変化です。
特に、発達特性がある子、感覚が敏感な子、予定変更が苦手な子、集団の空気を読みすぎる子にとっては、学校生活そのものが大きな負荷になることがあります。

そこにG.Wが入ると、一度生活リズムが家庭側へ戻ります。
そして連休明けに、もう一度学校モードへ切り替えなければならない。
オフからオンへの切り替え。
この「戻る」が難しい子がいます。
もちろん
明確な原因がある子もいます。
理由が一つではなく複合的の子もいます。
子ども自身も正体に気付けておらず、うまく言語化できない子もいます。
それぞれに背景や主因が隠れていることがほとんどです。
学校が嫌いだから行かない。
親を困らせたいから行かない。
怠けているから行かない。
そう決めつける前に、
切り替えの負荷が大きすぎないか
を見てみてください。
2. 「行かない」ではなく「どこで止まるか」を見る
登校しぶりを見るとき、親は理由を聞きたくなります。
「何が嫌なの?」
「先生?」
「友だち?」
「勉強?」
「給食?」
もちろん理由を知ることは大切です。
ただ、子ども自身も理由をうまく言葉にできないことがあります。
「分からない」と言っているから、理由がないわけではありません。
まだ言葉になっていないだけかもしれません。
だから、最初は質問より観察です。
前日の夜から不安定になるのか。
朝、起きるところで止まるのか。
着替えで止まるのか。
ランドセルを見て表情が変わるのか。
玄関で固まるのか。
車には乗れるのか。
校門で止まるのか。
教室に入れないのか。
この「止まる場所」は、とても大切な情報です。
全部が無理なのか。
途中まではできるのか。
学校の中のどこから難しいのか。
朝だけなのか。
前日の夜から始まっているのか。
ここが見えると、支援は少し具体的になります。
3. 不確実性が高いと、子どもは動けなくなることがある

予定変更や切り替えが苦手な子は、変更そのものが嫌なのではなく、
「このあと何が起きるか分からない」ことに不安を感じている
場合があります。
たとえば、
今日は何時間授業なのか。
誰が迎えに来るのか。
教室に入ったら何をするのか。
先生、友達にに何と言われるのか。
途中でしんどくなったらどうすればいいのか。
休んだことを友だちに聞かれたらどう答えるのか。
困っていたことは解消されているか
大人から見ると小さなことでも、子どもにとっては大きな不確実性です。
このとき必要なのは、強い説得ではなく、見通しと合意です。
そして、「合意したこと以上のことは求めない」です。
「今日はここまでやってみよう」
「玄関まで行けたら一度確認しよう」
「校門まで行って、無理なら先生に伝えよう」
「教室が難しければ、保健室や別室も選択肢にしよう」
登校を一気に求めるのではなく、
次の一歩を見える形にすること
が大切です。

4. 親が最初にできることは、登校を10個に分けること
4. 親が最初にできることは、「全部行く」以外の段階を作ること
連休明けの登校しぶりでは、
行く
休む
の二択になりやすくなります。
でも、本当はその間にたくさんの段階があります。
朝の準備だけする。
玄関まで行く。
学校に電話する。
校門まで行く。
先生に会う。
保健室や別室を使う。
短時間だけ参加する。
今日は休んで、明日の準備だけする。
大切なのは、登校を成功か失敗で見ないことです。
登校までを細かく分けて見たい方は、こちらの記事で10ステップに整理しています。
▶ 登校までを10ステップに分ける
5. 「休ませるか、行かせるか」の二択にしない
G.W明けの登校しぶりで苦しくなるのは、親の中で選択肢が二つになるからです。
行かせる。
休ませる。
この二択だけになると、どちらを選んでも不安が残ります。
行かせたら無理をさせた気がする。
休ませたら癖になる気がする。
どちらを選んでも、自分を責めやすくなります。
でも本当は、選択肢はもっとあります。
朝の準備だけする。
玄関まで行く。
学校に電話する。
校門まで行く。
先生に会う。
保健室に行く。
別室に行く。
1時間だけ参加する。
給食前に帰る。
今日は休んで、明日の準備だけする。
大切なのは、
登校を成功か失敗で見ないこと
です。

子どもがどこまで動ける状態なのか。
どの条件があれば少し進めるのか。
何があると止まるのか。
そこを見ていくことが、次の一歩になります。
6. 情報を集めるほど、迷うこともある
不登校や登校しぶりについて調べると、たくさんの情報が出てきます。
無理に行かせない方がいい。
生活リズムを整えた方がいい。
学校と連携した方がいい。
発達特性を理解した方がいい。
親が安心することが大事。
どれも大切です。
でも、情報が増えるほど、逆に迷うことがあります。
うちの子にはどれが合うのか。
今は休ませる時期なのか。
少し背中を押す時期なのか。
学校には何を伝えればいいのか。
専門家に相談するほどなのか。
ここで必要なのは、情報を増やすことではなく、
順番を整理すること
です。
まず、どこで止まっているか。
次に、何が不確実なのか。
そして、どの一歩なら試せるのか。
この順番で見るだけでも、親の不安は少し整理されます。
まとめ
G.W明けの「学校に行きたくない」は、甘えやわがままと決めつける前に、
切り替え・予定変更・不確実性の負荷
として見てみることが大切です。
最初にすることは、説得ではなく観察です。
どこで止まるのか。
何が分からないのか。
どこまでなら動けるのか。
どんな選択肢があると安心できるのか。
登校は、行けたか行けなかったかだけで見るものではありません。
小さく分けると、次の一歩が見えてきます。
次に読む記事
関連記事|不登校・登校しぶりを、少しずつ整理したい方へ
不登校・登校しぶりは、1本の記事だけで答えを出すより、場面ごとに少しずつ分けて見た方が整理しやすくなります。
まず全体像を見たい方はこちら。
▶ 不登校・登校しぶり・行き渋りをどう見るか
「行く/休む」の前に、どこで止まっているかを5つの層で整理しています。
https://note.com/sodachiaile/n/ncbf4108838ee?sub_rt=share_sb
最初に何を見ればよいかを短く整理したい方はこちら。
▶ 「学校に行きたくない」と言われた時 最初に整理したいこと
理由を聞き出す前に、家庭でメモしておきたい4つの視点をまとめています。
https://note.com/sodachiaile/n/ncbf4108838ee?sub_rt=share_sb
登校までの流れを具体的に分けたい方はこちら。
▶ 登校までを10ステップに分ける
「学校に行く」を小さな行動に分け、どこまでできているかを見る記事です。
https://note.com/sodachiaile/n/n981756978372
AIに聞いても結果が伴わないと悩んでいる方はこちら。
▶AIに不登校を相談しても迷いが消えない理由
https://note.com/sodachiaile/n/n89d5888d096b?sub_rt=share_sb
有料版のご案内
不登校・登校しぶりを家庭で整理するワークについて
この記事では、不登校・登校しぶりをどう見るかという「考え方」をお伝えしました。
ただ、実際の家庭では、
「うちの子の場合、どこで止まっているのか」
「学校に何を伝えればいいのか」
「休ませるのか、少し促すのか、何を基準に考えればいいのか」
で迷いやすいと思います。
そのため、今後は無料記事でお伝えしている視点を、家庭で書き込んで整理できる形にした
不登校・登校しぶり 5層整理ワーク
としてまとめていく予定です。
これは、子どもを無理に登校させるためのワークではありません。
親が一人で抱え込まず、
子どもの状態を見える形にし、
学校や支援者と共有しやすくするための整理道具です。
公開後、この部分にリンクを追加します。
この記事を書いた人

障害福祉の現場で、子ども・家族・学校・療育機関・医療機関との関わりを20年続けてきています。
放課後等デイサービス、相談支援、保育所等訪問、個別療育、ペアレントトレーニング、認知行動療法(CBT)をもとにした相談支援などを通して、たくさんのご家庭の「どうしたらいいか分からない」に向き合ってきました。
私は、診断名をつける人ではありません。
でも、日常の困りごとを整理し、
「明日から何を見ればいいか」
「どう声をかければいいか」
「どこに相談すればいいか」
を一緒に考えることはできます。
今後このnoteでは、
発達障害グレーゾーンの子育て、日常の困り感、療育場面でよくある行動、家庭でできる声かけについて、具体的に書いていきます。
読み終えた方へ
記事を読んで「考え方は分かった」と思っても、実際の家庭や現場では、
「うちの場合は、どこから見ればいいのか」
「今の対応を続けていいのか」
「学校や放課後デイにどう伝えればいいのか」
で止まることがあります。
それは、理解が足りないからではありません。
「知ること」と「自分の場面に当てはめること」は、別の作業だからです。
もし、お子さんの実際の場面に合わせて一緒に整理したい方は、こちらをご利用ください。
【ストアカ体験講座】
記事の内容をもとに、お子さんの実際の場面を一緒に整理する講座です。
癇癪、指示が入らない、切り替え、不登校などを、家庭で使える見立てに変えていきます。
ストアカ:
https://www.street-academy.com/myclass/211084?trigger=browse_top
継続的に個別で相談したい方はこちら。
