【海外研修アドベンチャー7】世界一つまらない仕事と世界一の仕事人 社会人3年目、ひとりオーストリア記 第7話
パン研修のお話です。

こんにちは、情報翻訳家の須川元介です。
10数年前、
オーストリアへ研修に行った話を
記事にしています。
シリーズものですが
単体でも楽しめるように工夫しています。
気になったら、ぜひ読んでみてください。
前回の記事はこちら
はじめから読みたい方はこちら
あらすじ
10数年前、社会人3年目だった私は
ラッキーなことにオーストリアへ3か月間
研修にいけることになりました。パンの修行です。
今日は、修行の中身について、
お仕事のお話です。
今回は珍しく、仕事のお話です。
いつも旅行ばっかり
行ってるかと思いきや、
平日はちゃんと働いていました。
パン研修は三か月で、
3つの工場を回ります。
毎日、色んな仕事を
させてもらいましたが、
その中で明確に、
「これ、世界一つまらない仕事だな」
と思ったものがあります。
そのお話をさせていただきます。
世界一の定義について
私はこのオーストリア研修の後、
アメリカ、フランスにも研修に行っています。
もちろん、それ以外の期間は
日本で働いていました。
4カ国で働いた中で、
圧倒的に、この仕事がつまらなくて、
記憶に深く刻まれました。
なので、
(私の)世界で一番つまらない仕事の
称号を授与します。
3つの工場がどんな場所だったかも
あわせてご紹介します。
1社目「ビルツ社」

町の小さなパン工場みたいなイメージです。
手作業が多く、
自分で作っている感があり、
一番パン職人を体験できました。
やっていて楽しかったですね。
出勤時間は午前2時、
休憩は軽い水分補給とつまみ食い程度で
8時前には仕事が終わります。
ガーっと働いて、
早く帰って家族との時間。
もしくはダブルワークを
している方もいました。
出勤時間こそ早いものの、
まったく苦ではなかったです。
働いている人もレベルが高く、
パン職人の最高資格であるマイスターが2人いました。
2社目「ハウス社」

斬新な見た目の本社ビル
実際の写真をイラスト化しています
今回の研修先で、最も機械化されていて、
従業員、生産数も段違いでした。
私は人が足りていないところを手伝いに行く。
というポジションで研修していました。
機械化が進んでいるので、
手がかかる作業は、
パンの形を作る成形や
トッピングなどですね。
ある日、
今日はここを手伝ってと言われたところは、
すでに社員が多く、
人が溢れている状況でした。
「じゃあ、違うとこ行こうかな」
と、思っていたら、
「ちょっとここに入ってくれ」
と、現場の責任者に言われました。
そこで任された仕事は、
コンベアの真ん中に流れてくる製品を
5センチだけ、上に押し上げるというものでした。

ラインの上側(奥側)に寄せるイメージです。
寄せないと次の機械の入り口に
引っかかる(かも)しれない。
という説明でした。
説明を受けた瞬間、
いやーこれ絶対、私、必要ない。
と確信できる内容でした。
ガイドのような器具をとりつければ、
一撃です。
それでもやってほしいと言われたので、
渋々やりました。
言われた通りにやってましたが、
30分ぐらいして、
私はコンベア上に手を斜めに置き、
製品が半自動で上がるようにしました。
必要なのは私の手だけ。
斜めの棒を
持ってきて取り付ければ
私は必要ありません。
この作業を人がする意味とは
何なんでしょう。
人が余っているなら、
他にいかせてくれ。
結局、1時間ほどでさらに人員が増え、
私の代わりの方が
その作業に入りました。
責任者にガイド使いなよと
抗議しようかと思いましたが、
すでにその場にはいませんでした。
これが、
私が体験した世界一つまらない仕事です。
日本でも、
生産現場でライン作業を経験していますが、
単純作業でもやる意味、
人がいる意味はありました。
人間って、
自分がやる仕事の意味がないと分かると、
全くやる気がでないんだなと気づけました。
刑務所の懲罰で
穴を掘らせて、
終わったら今度はその穴を埋めさせる。
みたいな話を聞いたことがあります。
それをひたすら続けていると
精神的に追いつめられる。
世界一つまらない仕事でしたが、
自分が働くことの意味について
考えさせられたエピソードでした。
あなたがつまらない、
しんどいって思っている仕事も、
代えがきかなかったり、
意味はあるかもしれません。
考えてみても、
意味が見いだせなかったら、
代案を出したり、
意義を唱えてみてもいいと思います。
三社目、マール社
マール社も、機械化は進んでいます。
規模は中程度。
ウィーン市内にあるパン工場で都会的です。

工場というスタイルが多い
すでに世界一つまらない仕事は
登場してしまったのですが、
ここで私は、
世界一の仕事人に出会います。
彼は遠目からみても、
すごいスピードで動いていて、
動きに無駄がない。
表情はポーカーフェイス。
淡々と仕事をしている様子もプロフェッショナルでかっこいい。
自分は常に3人分くらいの仕事をして、
動き回りながらも
他の従業員に的確な指示を出している。
「この人、えげつないな」
そう感じた、彼の名はボーヤン。
ボーヤンは、世界に誇るシゴデキでした。

彼と一緒に仕事をしたんですが、
ひと作業終えて、
次は何をしようか。
と、迷っていた時、
ほんの数秒で飛んできて、
次はこれをお願いしたい。
と、丁寧に教えてくれました。
視野の広さが半端ないって。
きっと彼は、サッカーでも活躍できます。
これだけ仕事ができる人と一緒にいると
場もスムーズに回っていき、
まるで、自分も優秀かのように勘違いします。
ボーヤンは最強でした。
ある日、
仕事を終えた帰り際に挨拶すると、
「ところで、スカワは何歳なんだ?」
と聞かれました。
アジア人は比較的若く見られるし、
私は童顔な方なので、
年齢を聞かれることは多いです。
「25だよ」
と答えると、
「……T w e n t y f i v e ……O h M y G o d 」
普段はめちゃくちゃ動きの早い、
ボーヤンが口を開けて
フリーズしていました。
ボーヤンは22歳で、
それにもけっこう驚きましたが、
私が年上だとは思ってなかったようです。
めちゃくちゃ仕事ができる人間の、
処理能力をバグらせるほどの
驚きを与えることができました。
スーパーな彼の
人間らしい部分も見れて
なんだか嬉しくなりました。
おまけのパン画像
次回、
「電車で逮捕されかける話」
ドタバタの移動編です。
3か所の拠点移動、
何もなかったようで、
やっぱり色々ありました。
こちらです
今後の予定はこんな感じです。
・感動のお別れのお話
・一生レポートが終わらない話
創作大賞に、全部は間に合わなそうですが、
書いておきたいエピソードが
もう少しあるので、
良かったら楽しんでみてください。
マガジンはこちら。
更新は2週間後の予定です。
ぜひ、また読んでくださいね。
この物語はノンフィクションですが、一部、人物名・地名・団体名などを改変しています。
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