『鳳雛竜胆の花が咲く時』拾遺:【虚実詩筵記 ―時空を越える唱和―】3,ある晴れた日に
晴海遥望煙一条
帰舟入港影徐揺
登丘啓戸君来近
信念深情夢亦昭
読み下し
晴れた海に遥か煙一条を望み、 帰る舟は港に入りて影おもむろに揺らぐ。 丘を登り戸を開けば君は近づき、 信じる念いと深く、情けは夢のごとく明らかなり。
大意
晴れた海に白い煙が立ちのぼり、 帰ってくる船が静かに港へ入ってくる。 彼は丘を登り、家の戸を開けて現れる。 蝶々さんの揺るぎない信じる心が、 夢のように明るく胸に満ちている。
唱和
晴光不尽望帰舟
世路多岐信念憂
寄夢一縷情深処
願君自立歩前途
読み下し
晴れた光は尽きずとも、帰る舟ばかりを望むにあらず。 世の道は多く分かれ、信じる心にも憂いはある。 夢に寄せる情が深いほど、 どうか君よ、自ら立ちて前途を歩まれよ。
大意
「帰りを待つだけが人生ではない。 あなた自身の道を歩む力を、どうか忘れないでほしい。」
「これは津田梅子なら唱和するかも知れないね。」
「たしかにそうだね。」
