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高校生が論理的思考力を養うための本7選【小論文対策】

更新日:2025/04/02

 小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、作文・小論文・志望理由書作成における実践的な技法をレクチャーするのが、このシリーズ【文章作成の実践】。

※記事内に広告があります。

(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)


「小論文作成に備えて論理的思考力を養う」ためのブックガイド

 先日、志望理由書対策として「高校生が「仕事とは何か」について考えて「将来の夢」につなげるための本5選【志望理由書対策】」という記事をアップしたところ、多くの方に読んでいただくことができました。お読みになられた方、ありがとうございます。この記事は、おそらく拙記事の中で、「最も速いスピードで最も多くのスキをいただけた記事」かと思います。そこで評判が良かったため「調子に乗って」、今回もブックガイド記事を挙げます(笑)。

 というのは半分冗談で、実際、普段仕事で高校生のみなさんの小論文の添削などをしていると、「基本的な論理的思考の下地」が出来上がっていないのでは、と思うことが多いです。そのため、いつかは高校生のみなさんが論理的思考力を養える本の紹介をしたいと考えていました。

 簡潔に言えば「論じる」ことができていない小論文答案が多いんですよね。上掲の記事でもNG答案の例をいくつか挙げていますが、そもそも「根拠づけて主張する」、つまり「論じる」ことが事実上できていないことが多いです。「小論文の書き方」として、かたちの上だけで、マニュアル的に「具体例」や「理由」を「配置している」だけで、内容として「論証」が成立していないということが多々あるのです。そしてこれは、「論理的に思考する」ことに対する理解が十分ではないからなのではないか、と考えています。そこで、本記事では、そうした「論理的思考力を養う」ために役立つ本をいくつか紹介していきたいと思います。

 なお、論理的思考(ロジカルシンキング)をテーマにした本は、受験生向け学習参考書だけでなく新書や学術専門書、ビジネス書、自己啓発本を含めると非常に多くあるため、今回は、以下の条件に該当する本を紹介することにしました。

〈紹介の条件〉

・高校生が大学受験小論文の作成に役立てられる本。

・ハウツー型の「小論文の書き方」本ではない、思考力を養う本。

・「論理的思考についての解説をしている」だけの本や「論理的思考技術の紹介をしている」だけの本ではなく、「論理的思考力を養う」ことを目的にした本。

・学術専門性の高い本はなるべく避け、一般的な学習者が読むことができる本。

「論理的思考力養成本」の決定版!『論理トレーニング(哲学教科書シリーズ)』野矢茂樹(著)

 「日本語話者が日本語の文章を論理的に読解したり構築したりする力」を養う決定版の一冊。それが証拠に、初版は2006年で現在26刷。長く愛されている論理的思考力養成本。著者は哲学者・論理学者の野矢茂樹氏。私は昔、旧版を買い塾講師・予備校講師なりたての20代のときに何度も読み倒しましたが、これはその新版。本記事のイチオシです(笑)。「論理トレーニング」という名前ですが、扱っているのは、「接続詞の使い方」や「基本的な論証の仕方」など、もっぱら「論理学以前」の内容です。現代文読解や小論文作成に必要な「論理的思考力の基礎」が身につけられる一冊。もともと、大学生に教えるための一般教養の教科書として書かれたものなので、高校生でも読めるはずです。

前掲「論理トレーニング」用の実践問題集!『論理トレーニング101題』野矢茂樹(著)

 先に挙げた『論理トレーニング』が「参考書」ならば、こちらはさしずめそれに対応した「問題集」といったところ。『論理トレーニング』とセットで購入した方がよいです。前述の『論理トレーニング』にも「論理的思考力を身につける問題」はいくつか出題されていますが、こちらはその問題に特化した本です。101題の問題を解いていくことで論理的思考力をトレーニングできます。前掲の本と併せて、基本的で普遍的な論理的思考力を実践的に養う良書と言えます。

「国語力」養成の実践的教科書!『正しく読み、深く考える 日本語論理トレーニング』中井浩一(著)

 これも「論理トレーニング」とありますが、日本語文章を「正しく読み、深く考える」ための、いわゆる「国語力」を養成する本といった方がよいでしょう。著者は京都大学出身で、国語専門塾も運営される教育ジャーナリストの方です。評論文や論説文でよく扱われる論理展開について実践的に解説しています。「大人向け新書」ということでこうした普遍的なテーマに寄せたタイトルにしているかもしれませんが、高校生が「現代文(論理国語)や小論文の対策の一助」として本書を活用しても全く問題ありません。むしろ、事実上はそのための一冊と言える内容です。

論理的思考力を身につける前の「準備学習」の本!『論理的思考力のコアスキル』波頭亮(著)

 近年、学生のみならず、大人(ビジネスマン)の世界でも「論理的思考力養成本」は多く出版されもてはやされています。著者は東京大学出身で、経営コンサルタント・経済評論家の方です。この本もビジネスマン向け論理力養成本の一つ。論理的思考についての基本的な解説をした上で、そうした思考を展開する上で欠かせない三つの「コアスキル」について説明しています。大人向けですが、「基本に忠実」な内容なので、高校生が読んでも十分参考になる一冊です。

「具体化」・「抽象化」の思考回路を構築せよ!『「具体⇔抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』細谷功(著)

 論理的な思考活動を「『具体化』・『抽象化』の往復運動」としてとらえ、それをテーマにまとめた一冊です。自分の主張を根拠づけるために具体例を挙げるのは「具体化」、反対に具体例から自分の主張を導出することは「抽象化」です。ですから、これは何も筆者独自のテーマではなく広く知られていることなのですが、このテーマに焦点を当てて「実践的な論理的思考とは何か」について解説し、この「『具体化』・『抽象化』の往復運動」を問題を解くことで身につけさせようというのが本書の意図となっています。なお、著者はこのテーマでいくつか本を書いていますが、私はこれが一番わかりやすいと思いました。

「人間の頭の弱点」を知り、「適切な科学的思考」を身につけよう!『思考力改善ドリル 批判的思考から科学的思考へ』植原亮(著)

 基本的な論理的思考(批判的思考:クリティカルシンキング)について解説しながら、論理的誤謬(間違い)を導きがちな「人間の頭の弱点」を理解し、それを踏まえてどのように「適切な科学的思考」を養っていくのかについて解説しています。それを問題を解くことで身につけていこうという意図の一冊です。たとえば認知バイアス(直感や先入観によって誤った判断をしてしまう心理や思考のクセ)などの誤った考えを導きやすい人間の頭の偏りを矯正して、科学的思考において正しく推論を導けるようにするための本と言えます。著者は科学哲学がご専門の大学教授の方。論理的思考と科学的思考を正しく橋渡しするための本とも言えます。探究活動の実績や成果を総合型選抜に活かしたい高校生にもおすすめです。

あのトゥールミン論証モデルの練習帳!『論理的思考 最高の教科書 論証を知り、誤謬に敏感になるための練習』福澤一吉(著)

 私の上掲の拙記事でも紹介した「トゥールミンの議論のモデル」をもとに、それを簡素化して論証の仕方について解説しています。それを踏まえた上で、練習問題を解くことを通じて正確に論証を行えるようにすることを目指す本です。著者は、スティーヴン・トゥールミンの『議論の技法』を訳した福澤一吉氏。

(あくまで参考として……『議論の技法』トゥールミン(著)戸田山和久(訳)福澤一吉(訳))

 ただし、ブックレビューを見ると初心者向きとは言い難いかも(私は面白かったですが)。ある程度、論理的思考法についての本をいろいろと読んだ後に読むとよいのかもしれません。よりステップアップしたい中級・上級学習者向け。

まとめ ~上記で紹介した本などを参考にして、小論文対策として論理的思考力を養うことをおすすめします。~

 今回は本当にこのテーマの本が多く、選んで絞り込むのに非常に苦労しました(笑)。多少なりとも、大学受験生(高校生)の小論文学習の助けになれば幸いです。

 ビジネスマン向けの本にはよく書いてありますが、「論理的思考力」は一生ものと言えます。小論文を書くのに役立つのはもちろんですが面接試験でも活かされますし、また大人になって社会に出て仕事をする上でも、この「正しく論理的に推論する力」は必要になっていきます。ですから、受験対策として、というよりも、大学受験を含むこれからの人生の営みの中で役立つ、普遍的な「論理的思考力」を身につける機会として、これらの本を役立てて欲しいと思っています。


(小論文作成のためのサイトマップはこちら)


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