『禅、シンプル生活のすすめ』 読書共有【第24弾】
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はじめに
今回は枡野俊明 『禅、シンプル生活のすすめ』(三笠書房、 2009年)からの共有です。
本書は、禅の教えを日常に取り入れることで、心を整えシンプルな生活を送りながら「今、この瞬間」を大切にして生きるためのヒントを与えてくれる一冊です。
一日一項目、計100の短い教えで構成されており、禅の言葉や思想を元にしつつも宗教色は控えめで、誰にでも理解でき実践しやすい内容に落とし込まれているのが特徴です。
本書は近年話題の「断捨離」や「ミニマリズム」とも通じるものがあり、シンプルな生活において心身ともに豊かに、穏やかに生きるための具体的な方法が満載で、特に忙しい現代人にオススメできる一冊となっています。
本書の主なポイント
◇執着を手放す
必要以上の物を持たず、身の回りを整理することで心も整う。
◇小さな習慣
早寝早起き、掃除、感謝、呼吸など、日常の些細な習慣が心の平安を生む。
◇今に集中する
過去や未来に囚われず、「今、この瞬間」を丁寧に生きる。
◇自然とともに生きる
四季や自然を大切にし、自然と調和して暮らす。
◇感謝の心
日々の些細なことにも感謝することで自分も周囲も豊かになる。
人を喜ばせる
今回は、本書の中でも特に個人的に響いたテーマ「人を喜ばせる」について共有してまいります。
著者によると、「人を喜ばせる」日本人のもてなしは、食卓を例に挙げれば「時間の流れ」を演出すると言います。
西洋ではごちそう(例えば豪華食材、高級食材、希少食材など)でのもてなしが思い浮かびますが、和のもてなしは「旬を意識した料理」であり、この料理の主となるのはその時期のまさに旬のものとなり、さらにそのメインにつけ加えるものが二つあるとされています。
ひとつは、旬を少し過ぎたもので、旬の名残を感じさせる料理。
もうひとつは、まだ旬ではないが、そろそろ出はじめてきたもので、旬の走りの食材を使った料理。
つまり名残のあるものと、今まさに旬のものと、旬の走りのものの三品があり、こうすることで過去、現在、未来という時間の流れを演出し、お客様を楽しませるというわけです。
著者の言うように、「最高のもてなしといっても、必ずしも高級なものである必要はない」のであり、「料理をつくるのでも、プレゼントを贈るのでも、相手を喜ばせる「ひと工夫」を」考え実践することがおもてなしには必要であろうと考えられます。
「今、この瞬間」を丁寧に生きるという禅の思想がここでも輝いており、そういった「現在」を日々大切にしていれば、同じように他者に対しても素晴らしい「現在」を提供することができるでしょう。
読書共有【第9弾】でも書きましたが、過去でもなく未来でもなく「現在」をあるがままに生きることこそ、いつまでも幸福でいられる「かけがえのないプレゼント」です。この「現在」に集中し、大切に生きることで、また感謝することで、人生の充実感や幸福感が得られ、それらを他者に提供することも可能となるように思われます。
日常生活で「最高のもてなし」を考える
私の場合、上述の禅的なもてなしの思想を日々の手紙に応用しています。つまり、手紙に過去、現在、未来の時間性を意識的に盛り込んだ内容にしており、お客様の心身の変化を時系列の中でダイナミックに捉える視点を意識しているということです。
そうすると、褒めポイントはじめメッセージ内容にも具体性が出て、お客様とのより深いコミュニケーションも可能になります。手紙と言ってもカードサイズのものであることがほとんどなのですが、携帯性や保存性にも優れている分、後で見返したりストックしたりと今後の縁を大切にするためのツールになり得ているように感じます。
もちろん、禅的なおもてなしの方法は手紙のみならず現実の会話、メールにも応用できると言えます。ただ、手書きかつ現物で残る分、手紙のほうが一撃の重みは出るように思います。あとはデジタルデトックスの意味合いもあるということも見逃せないでしょう。
ちなみにデジタルデトックスとは、スマホやパソコン、タブレットなどのデジタル機器の利用を意識的に控えること、または一時的に断つことを指し、現代人の心身の健康を維持するための対策として有効です。
具体的には睡眠の質の向上、ストレスや不安の軽減、人間関係の改善、自分と向き合う時間の確保などが期待できます。こうしたデジタルデトックスの試みは、シンプルな生活を送りながら「今、この瞬間」を大切にする禅的な生き方に通じるところもあると言えるでしょう。
「最高のもてなしといっても、必ずしも高級なものである必要はない」という点で、またデジタルデトックスの点でも、手紙はささやかながら「最高のもてなし」になり得ると私は考えています。
日頃から上記のようなコミュケーションを心がけていると、著者が別の箇所で述べているような、「言葉でなく、心を伝える」ことも可能のなのではないかと思います。「文字を通して文字を超える」と言い換えることもできそうですが、手紙においても「文字を通して文字を超える」という現象が起こり、「言葉でなく、心を伝える」ことも可能なのではないかと感じています。
シンプルな生活から生まれる集中力
近年、禅は宗教色を脱した形でも瞑想やマインドフルネスといった方面から見直され、かの有名なスティーブ・ジョブズも強く影響を受けたと言われています。
特にシンプルで洗練されたジョブズのモノづくりには禅が背景にあるとも指摘されており、またジーンズに黒のタートルネックというお馴染みの服装にも、そうした背景があるのかも知れません。
ちなみに、人は1日に約3万5000回の選択をしているという研究結果もあるようですが、その中でジョブズのように服装を毎日同じにして選択を減らすことで、意志力を温存しつつ創造的な仕事に専念するという戦略は十分にあり得るように思われます。
このように見れば、シンプルな仕方で極力選択を減らすことで、「今、この瞬間」を大切にして生きるという禅的な生き方に立ち返ることができるでしょう。表現を変えれば、本当に大切なものを見極めてそれに集中することが可能になるということです。
おそらく「人を喜ばせること」や「最高のもてなし」といったことも、究極的にはこのようなシンプルな考え方や生き方から生まれてくるのかもしれません。自らのうちにあるエゴや生活環境の不要物を取り払い、シンプルな生活の中で本当に大切なものを見極めてそれに集中すること。
それができたなら、「人を喜ばせること」や「最高のもてなし」の精神を通して、目の前の大切な人間関係に集中することができるでしょう。そしてまた、「言葉でなく、心を伝える」こともできるでしょう。
シンプルな生活からは、自分も他者をも幸せにする集中力が生まれてくるように思われます。そして不思議なことに、このシンプルな生活を通してこそ複雑なものも理解できる冷静さが生まれ、さらに自分とは違う立場や意見にも傾聴し共感できる心の余裕が出てくるように思われるのです。
おわりに
今回も最後までお読みいただきまして誠にありがとうございます。
日々少しずつ閲覧数やリアクション数、フォロワー数も増えてきて嬉しい限りです。今後も最低週1回の更新を目指して頑張ってまいります。
あえて本の要約といったことはメインとせず、私なりの観点から面白いと思った箇所の共有という限定的な内容にしております。それが少しでも皆様の記憶に残り、日々の読書体験の深まりや具体的な行動・実践に繋がるのであれば幸いでございます。
それでは今後とも宜しくお願い申し上げます。
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