部下成長#3 任せても部下は育たない。原因は“場の設計”だった — なぜ“自分で動く部下”が生まれるのか —
部下に仕事を任せているのに、なぜか育たない。
そう感じていた時期が、私にもありました。
ただ、あるとき気づいたんです。
問題は「任せ方」ではなかった、ということに。
結論から言うと、ポイントは
「権限委譲」ではなく「場の提供」です。
この考え方に変えてから、
メンバーは自分で考え、方針をつくり、動くようになりました。
私のチームでは、例えばこんな会話がありました。
「A君、今日の仕事はどうだった?」
「B君、あのお客様にどうアプローチする?」
こうした声かけは、リーダーである私ではなく、
No.2のメンバーが自然に行っていたものです。
私はNo.2に対して、
2〜3人の若手、中堅の育成を任せていました。
ただしそれは、「特別に任せた仕事」ではありません。
最初から“その人の役割”として渡していました。
また、こんな場面もありました。
「A分野の売上が前年より落ちている。
今年はA分野のB製品に注力していきましょう」
こうした方針を出すのは、通常であればリーダーの役割です。
しかし、私の組織では違いました。
この言葉を発していたのは、
リーダーではなく、現場のメンバーです。
どう売上を伸ばすか
どんな施策を打つか
チームをどう動かすか
こうしたことを、
自分たちで考え、言葉にし、動いていました。
つまり彼らは、
「指示を受けて動く人」ではなく、
“方針を自らつくる側”に立っていたのです。
私は、この状態こそが
「場が機能している状態」だと考えています。
ここで重要なのは、
「任せ方」ではなく「捉え方」です。
一般的に言われる「権限委譲」は、
本来は自分がやる仕事を、部下に任せる
というニュアンスが含まれます。
だからこそ、
気になってしまう
口を出してしまう
任せきれない
という状態が起きやすくなります。
一方で、私が考える「場の提供」は違います。
最初からその人の仕事として定義すること
です。
すると、
リーダーは「委譲した」という感覚がなくなる
部下は「任された仕事」ではなく「自分の仕事」になる
という変化が起きます。
そして結果として、
少し難易度の高い仕事であっても、
それが“特別な挑戦”ではなく、
**「当たり前の仕事の中の挑戦」**になります。
私は、この状態をつくることが、
部下の成長につながる「場の提供」だと考えています。
ここまでをまとめると、
「場の提供」とは
・任せることではなく、役割として渡すこと
・考える余白ごと渡すこと
・当たり前の仕事の中に挑戦を組み込むこと
だと考えています
層ごとにどう「場」を提供するか
ここからは、
私が実際にどのように「場」を提供してきたのかを、
もう少し具体的に書いていきます。
私は、部下を大きく4つの層に分けて
関わり方を変えていました。
層と役割のイメージ
若手:小さな責任を持ち、主体性を育てる
中堅 :チームを動かし、自走力を高める
ベテラン(No.2) :組織を預かり、意思決定する
ベテラン(スペシャリスト): 専門性で組織に価値を出す
① 若手:小さな「責任の場」を持たせる
若手はまだ経験も浅く、
いきなり大きな仕事を任せることはできません。
そこで私が提供していたのは、
**「小さくても、自分が責任を持つ場」**です。
例えば、
特定製品の推進を任せる
会議でその製品について発言してもらう
進捗や課題を自分の言葉で報告してもらう
といった形です。
もちろん、完全に任せきるわけではありません。
先輩社員が伴走しながら、
必要に応じて私も関わります。
ただし重要なのは、
**「責任の主語を本人に置くこと」**です。
そうすることで、
任されたという実感
自分ごととして捉える意識
やりきろうとする責任感
が少しずつ育っていきます。
この“小さな場”の積み重ねが、
挑戦する土台になります。
② 中堅:チームを動かす「自走の場」
中堅には、
一段レベルを上げた「場」を提供します。
例えば、
新人の教育係を任せる
特定分野の責任者としてグループを牽引する
課題設定や施策立案を任せる
といったものです。
ここではすでに、
「自分で考えて動く」だけでなく、
「周囲を動かす」ことが求められます。
もちろん、リーダーの方針とのすり合わせは行いますが、
細かいやり方までは指示しません。
また、
他グループとの連携
組織をまたいだ取り組み
も経験させていきます。
こうした経験を通じて、
「自分は組織を動かす側なんだ」という意識が生まれ、
リーダーへの視座が育っていきます。
③ ベテラン(No.2):組織を預ける「意思決定の場」
No.2には、
**「リーダーの代わりができる場」**を提供します。
具体的には、
中堅・若手を数人束ねる
一つのチームとして任せる
メンバーの成長や成果に責任を持たせる
といった形です。
また、
分野単位での責任
グループを超えた単位での役割
も担ってもらいます。
ここで重要なのは、
**「判断を任せること」**です。
責任ある立場で判断を繰り返すことで、
視座が上がる
全体を見る力がつく
リーダーとしての思考が身につく
ようになります。
結果として、
リーダーが不在でも組織が回る、
自走するチームができていきます。
④ ベテラン(スペシャリスト):価値を最大化する「専門の場」
ベテランの中には、
マネジメントではなく専門性で力を発揮するタイプもいます。
そうしたメンバーには、
**「専門性を極める場」**を提供します。
例えば、
特定分野の業務を深く担ってもらう
成果に直結する領域で力を発揮してもらう
といった形です。
同時に、
若手の指導
他メンバーのサポート
といった形で、
組織への貢献も広げてもらいます。
無理にマネジメントに寄せるのではなく、
その人の強みを活かすことが、
結果的に組織全体の成果につながると考えています。
挑戦が「当たり前になる状態」をつくる
以上のような「場」を提供することで、
部下は、
任されている感覚を持ちながらも、
それを特別なものではなく、
“自分の仕事”として捉えるようになります。
その結果、
挑戦することが当たり前になり、
日々の業務の中で自然と成長していきます。
ここで大切なのは、
リーダーの関わり方です。
必要以上に口を出さず、
考えさせる
行動させる
振り返らせる
このサイクルを回していくこと。
もちろん、
方向が大きくずれそうなときには軌道修正をする。
必要なときには支える。
ただ、それ以上に重要なのは、
「実際に動く経験」を積ませることです。
考えるだけでは、人は成長しません。
行動してはじめて、学びになります。
この「考える → 行動する → 振り返る」というサイクルが、
次第に部下の中に積み重なっていきます。
そしてそれが、
「自分ならできるかもしれない」
という感覚につながっていきます。
この“自信の循環”こそが、
部下の成長を加速させる要素だと、私は考えています。
この点については、
次の章で詳しく書いていきます。
おわりに
ここまで、「挑戦の場の提供」について書いてきました。
少しでも、日々のマネジメントの中で
何かヒントになる部分があれば嬉しいです。
部下の成長は、
一朝一夕で実現するものではありません。
私自身も、試行錯誤を繰り返しながら、
少しずつこの形にたどり着きました。
だからこそ、
「任せているつもりなのに、うまくいかない」
「どう関わればいいのか分からない」
そんな悩みを持つ方にとって、
今回の内容が少しでも参考になればと思っています。
もしこの記事が
「役に立った」
「自分の現場でも試してみたい」
そう感じていただけたら、
スキやフォローで応援していただけると嬉しいです。
また、内容に価値を感じていただけた方は、コーヒー1杯分のサポートで応援いただけると嬉しいです☕
次回は、
成長の燃料「自己効力感」について、
もう少し具体的に書いていきます。
引き続き、読んでいただけたら嬉しいです。
この内容は「部下成長シリーズ」として
マガジンにまとめています。
▶ 部下成長シリーズ一覧はこちら(マガジンリンク)
他の記事もあわせて読むことで、より立体的に理解できると思います。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートありがとうございます!
いただいた応援は、より良いコンテンツ作りにしっかり使わせてもらいます。
これからも価値ある情報を届けていくので、
また応援していただけたらとても嬉しいです。