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行けるところには行く。会える人には会うのが大切な理由

この年代になってくると、行きたい場所に行ける時間もどんどん限られてきますし、「会いたい人には会っておいた方がいい」というのを実感するんですよね。

実際、海外なんかでも国際紛争などの影響で行けなくなる場所もたくさん増えています。日本パスポートは今は最強ですが、これから世界との関係はより複雑になってきて、さらにESTAのようなコストもどんどん各国高くなっていくので、簡単に行ける環境は私が学生時代の円高かつ冷戦集結の牧歌的なグローバル化を謳歌していた時代よりも格段難しくなってきていると思います。コロナの時には国際間移動すらここまで不自由になることがあるのか、国内でも県境をまたぐなとか言われるのかと驚きましたが、アリえないはアリえないのが現実なのです。

また、会える人に関しても、自分が10代の頃に30代・40代だった人たちは、今や60代・70代になっています。いつでも会えるかというと、突然病気で亡くなられてしまうこともあり、人生のステージが変わる中で「行けるうちに行かないと行けなくなる」「会えるうちに会わないと会えなくなる」ということが、本当に頻繁に起こるようになります。そして、会えないで別れた人とは残念ながら二度と会うことはできません。

これは人生の必然ではありますが、年を重ねる中でその時々に感じることは、自分にとっても初めての経験。若い頃の感覚で「いつか会えばいい」「いつか行けばいい」と思っていると、チャンスは失われてしまいます。そのことを十分に認識して、時間の配分や優先順位をつけていった方がいいなと強く思います。


1年が1/50になる感覚と、健康に動ける年数の制約

50歳の人間にとって、1年という時間は人生の50分の1です。6歳の子どもにとっては6分の1。主観的に感じる時間の長さは、年齢に反比例して短くなる。

これは19世紀フランスの哲学者ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者ピエール・ジャネが著書『記憶の進化と時間観念』で紹介した「ジャネーの法則」と呼ばれる現象です。生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例する。1歳のときの1年は全人生の1/1、5歳のときは1/5、50歳のときは1/50。時間の経過の早さは、年齢に比例して加速していきます

さらに、心理学研究では、初めてのことや経験したことがないことをしているときは強く印象に残り時間が長く感じるが、反対にその行動に慣れてしまうと時間の長さが気にならなくなり、あっという間に時が過ぎたように感じるという指摘もあります。中年期以降、新しい経験が減り、日常が定型化すればするほど、時間の加速感は増していきます。

ここに、もう一つの制約が重なります。健康寿命です。

2024年に厚生労働省が発表した簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。しかし、日常生活に制限なく動ける健康寿命は、2022年時点で男性72.57歳、女性75.45歳。平均寿命との差は、男性で8.49年、女性で11.63年もあります。つまり、人生の最後の約10年間は、日常生活に何らかの制限がある状態で過ごすということです。

50歳の人間が、健康に自由に動ける期間は、あと20年ほどしかありません。そしてその20年は、ジャネーの法則によって、体感では子ども時代の数年分にも満たない速さで過ぎていく。主観的に感じる時間の短さと、客観的な健康寿命の制約が、二重に時間を圧縮しているのです。

10代で会った40代が、今は70代になっている

私が10代だった頃、30代・40代だった人たちが、今は60代・70代になっています。その変化を実感する機会が、この数年で急速に増えました。

単純な算術ですが、10代から30年経てば、あの頃40代だった人は70代です。60歳を超えると、突然の病気や死別のリスクは急激に上がります。厚生労働省の人口動態統計によれば、2023年の全死亡者数は157万5,936人で過去最多。日本の3大死因は悪性新生物(がん)、心疾患、老衰で、これらが全死亡者の半分以上を占めています。

年代別に見ると、50代では心疾患による死亡が年間4万1,494人、脳血管疾患が2万4,334人にのぼります。突然死のリスクが20%を超えるという医療データもあります。40歳男性の年間死亡率は0.097%(1,000人あたり0.96人)、40歳女性は0.060%(同0.59人)ですが、年齢が上がるごとにこの数字は加速度的に増えていきます。

「いつでも会える」と思っていた人に、本当にいつでも会えるわけではありません。60代・70代になれば、病気で動けなくなる、入院する、介護が必要になる、そして亡くなる。そのどれもが、予告なしに起こります。

内閣府が2023年・2024年に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」では、前期高齢者(65-74歳)・男性・単身世帯において孤独感のリスクが最も高いという結果が出ています。高齢になるほど、社会的なつながりを維持する難しさも増していきます。会いたい人がいても、相手の健康状態や生活環境の変化で、会えなくなることもあるのです。

中東も東南アジアも、行けない場所が増え続けている

国際紛争の影響で、行けなくなる場所も増え続けています。

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