#すべてが既読になっていた。│ #32「呪いの人形を転売してみた」
転売って、本当に楽な仕事だ。
人気のある商品を仕入れて、俺が販売する。
いくら高くても欲しい人は買うのだから、ウィンウィンだ。
それに俺には切り札がある。
片田舎の倉庫で見つけた、無名作家の日本人形。
美術に興味ない俺でも「キレイだな」と思える、何かを感じさせた。
だが、所持していると呪われ祟られるという、呪いの人形らしい。
俺はタダでもらったその人形を転売してみた。
最初は二束三文になればいいと思ったが、不思議なことが起きた。
この人形は売っても売っても、勝手に俺の元に戻ってくる。
俺はラッキーなことに永久機関をゲットしたのだ。
ところが、ある日を境に人形が戻らなくなった。
不思議に思っていると、その人形がフリマアプリに出品されている。
やられた――このままでは儲けダネを失ってしまう。
痛い出費だったが、高額で値付けされていた人形を買い戻した。
届いた箱から開ける。
相変わらずきれいな顔だと思った。
「やっと対価を支払ったな」
今のは空耳だろう。
人形の髪が指に絡みついているのも、たぶん気のせいだろう。
了
この作品は一話完結のショートショート連作『#すべてが既読になっていた。』のひとつです。
また、現代の隙間時間でお会いしましょう。
【▶︎マガジン「#すべてが既読になっていた。」】
第31回 ⇒ 「セルフレジ新法」
第33回 ⇒ 「シン・悪魔との契約」
