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【煉獄のパールライト】01.プロローグ

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 自分が置かれた状況に、ただ混乱していた。

 冷静にならなければと思いつつも、鼓動が高鳴り、心をうまく落ち着かせることができない。平衡感覚に狂いが生じ、地面がぐらぐらと揺れているように感じた。

 なぜ、どうして、自分が選ばれたのか。それは必然ではなく、単なる気まぐれだった。

 どうする? どうすればいい?

 誰も答えてくれないし、深く考える時間もない。無茶ぶりもいいところだ。どうなろうと知ったことではないし、責任を負う筋合いもない。

 ただ、それでも……。

 自分の内から、湧き上がる衝動がある。こうあるべきではなく、こうであってほしいという身勝手な願望。あるいは、かすかな希望?

 できるだろうか……自分に。

 自信などないが、やらないという選択肢もなかった。

 やってみる。いや、やるしかない。

 鼓動が少しずつ収まるにつれ、ほどよい緊張感が体を支配した。頭が、急速に冴えていくのがわかる。

 時に覚悟や決意が、自分の能力以上の力を発揮させることがあるという。求める結果にたどり着くための道筋を、脳が冷静に模索し始めていた。

 それがどんなに困難で、単なる自己満足であったとしても……。

 彼は静かに目を閉じ、そのときを待った。




 平凡な1日。当たり前の日常。

 人々は当然のように、次の日が訪れると思っている。ニュースで報じられる悲惨な出来事も、かわいそうだと思いつつ、確実に他人事だ。

 そんな鈍感さも、平和であることの証と考えれば、悪いことではないのかもしれない。そんな日々がどんなに貴重かは、失われたときに初めて気づく。そこまで含めて、ごく当たり前のサイクル。

 その日も、悲惨なニュースが世間を駆け巡った。

 朝の通勤時間帯、大勢の人を乗せたバスの側面に、トラックが猛スピードで突っ込んだという。ドライバーの居眠り運転が疑われているが、結末はいずれにせよ最悪だった。

 死傷者、多数――。

 数日はこのニュースが大きく取り上げられ、人々の悲哀を誘うだろう。

 そして、誰もがいつか、そんな死の当事者になるときがやってくる。大きな事件や事故ではないのかもしれない。

 しかし、望むと望まざるとにかかわらず、誰にでも必ず来る、そのときが。

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