待っていたのは、返信じゃない
返信はまだ来ていない。
わかっているのに、何度もLINEを開いてしまう。
これは、そういう夜の話。
*
返信が欲しかったんじゃなくて、
たぶん私は、まだ大丈夫だと思える理由が欲しかった。
そう気づいたのは、夜中の1時を過ぎたころだった。
*
布団の中でスマホを持ったまま、画面をつける。
通知は来ていない。
わかってる。
でもまた、LINEを開く。
最後に自分が送ったメッセージを確認して、また閉じる。
それを、もう何度繰り返しただろう。
「ねえ、明日って暇?」
何回読んでも、普通の文章に見える。
でも何回でも読んでしまう。
句読点の位置とか、絵文字をつけるべきだったかとか、もっと気軽なトーンにすればよかったかとか。
そういうことを、静かな部屋でひとり考えている。
変なこと言ったかな、って。
返信が来ない時間が苦しいんじゃなくて、返信を待ちながら、こんなに不安になっている自分がつらかった。
相手のことが好き、というより、
どう思われているんだろう、という気持ちの方が大きくなっていた。
嫌われてないよな。
雑に扱われてないよな。
私のこと、ちゃんと気にかけてくれてるよな。
返信が欲しいというより、それを確かめたくて、スマホを手放せなかった。
ちょっと自分に引く。
「こんなに気にするほどのことじゃないのに」って、冷めたところで思ってる。
でも、手は動く。
もう一回、画面をつける。
*
返信が来たとして、それで安心するかというと、する。
でも、長くは続かない。
「よかった」と思うのは一瞬で、
また次のメッセージを送って、
また待つ。
その繰り返しの中で、なんとなく気づく。
私が待っていたのは、返信じゃなかったのかもしれない。
返信の向こうにある何か。
「まだ嫌われていない」という証拠。
「この関係はまだ続いている」という感覚。
「私は雑に扱われていない」という確認。
そういうものを、LINEに求めていた。
相手は、ただ眠かっただけかもしれない。
返信を後回しにするタイプなのかもしれない。
スマホを見ていないだけかもしれない。
でも私の中では、静かに、何かまずいことが起きているような感覚が育っていく。
別に泣いているわけじゃない。
怒っているわけでもない。
ただ布団の中で、不安だけが積み上がっていく。
*
もしかして私、相手のことが好きというより、自分がどう扱われているかを、ずっと確かめているんじゃないかな。
そう思ったら、少し違う気持ちになった。
大切にされているかどうか。
雑に扱われていないかどうか。
私という人間がちゃんとそこにいると思われているかどうか。
それを、返信の速さで測ろうとしていた。
返信が来たとしても、根本的には何も解決しない。
安心は来る。でもまた次の夜には、また待っている。
本当に欲しいのは、
返信があっても、なくても、揺らがなくていい何か。
あの人からの言葉でなくても、私が私を安心させられる何か。
でもそれは、相手に送ってもらえるものじゃない。
*
これが書けたのは、翌朝、普通に返信が来た後のことだった。
それでも、待っていたのは、相手の返信じゃなくて、安心できる私だったのかもしれない。
あなたにも、返信を待ちながら、本当は別のものを待っていた夜はありますか。
返信が来ない夜のことは、こちらにも書いています。
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読んでくださってありがとうございます。
静かに続ける力になります。