【簡易アニメ感想文】アニメ『逃げ上手の若君』第2期第1話の足利尊氏が良い意味で「気持ち悪い」「不気味」「怖い」という話~原作漫画の「旨味」をアニメでどう「調理」するかという話。アニメと実写を反復横跳びしてみよう~
2026年夏アニメは個人的に豊作だと思っている。シリーズ物で言えば『ぐらんぶる』や『幼女戦記』『黄泉のツガイ』といった作品の続編から『攻殻機動隊』といった注目作、『ヤニねこ』といったダークホース的な作品と目白押しである。個人的には王道青春ものの物語として『これ描いて死ね』も注目に値すると思っている。そして、今回紹介したいのは『逃げ上手の若君』第2期第1話についてである。
まず、そもそも『逃げ上手の若君』という作品について知らない人に向けて簡単にこの作品について紹介したいと思う。原作者は週刊少年ジャンプで『魔人探偵脳噛ネウロ』や『暗殺教室』をヒットさせた人気作家松井優征先生の3作目の週刊少年ジャンプ連載作品(完結済み)であり、同時に3作目のアニメ化達成作品でもある(つまり、過去の2作品もアニメ化を果たしたということである。え?ネウロのアニメは存在しない?そんなこと言わないで。それはそれとして原作準拠のリメイク版アニメを観たくないかと言えば是非観たいね!令和の世にアニメで「電人HAL編」とか超観てぇ。全人類「電人HAL編」だけでも『ネウロ』を読んで欲しいマジで)。既に日本の主観少年誌の最高峰とも言える「ジャンプ」本誌で過去2作品のヒット作を携えた松井先生が満を持してお持ちした第三作品目は「歴史物」である。それも主人公に選ばれたのは鎌倉時代末期~室町時代に活躍したとされる「北条時行」である。逆に、日本史でも知名度は上の方とされる「足利尊氏」はラズボスポジションに置かれている。日本史をきちんと義務教育レベルでも勉強していれば、誰もが「足利尊氏が生き残る」ということを知っているのでそこまでの過程をどのように松井先生は描くのかが注目された。原作漫画の終盤の展開について多少ネットでは荒れたようだが、最終的には見事に完結させてやっぱり松井優征先生は天才だと思ったものである。
『逃げ上手の若君』において足利尊氏は時々人間離れした異形の化物のような姿で描かれることがある。史実の足利尊氏も「どうしてそんな行動を取ったのか」合理的な説明が付かないことがしばしばあるのだが(忠誠を誓った相手を裏切ってみたり、自分が殺した相手に対して「どうして死んじゃったんだよぉ~」みたいに悲しんだり等々)、そうした現象が起こった理由を『逃げ上手の若君』という作品の中では足利尊氏の中にいる「ナニカ」が原因だとした。『魔人探偵脳噛ネウロ』で培われたおどろおどろしいクリーチャーの造形センスが遺憾なく発揮されているのである。
そんな原作がアニメでどのように再現されるかと『逃げ上手の若君』第2期第1話を視聴したのだが、まさかの突然の実写表現が飛び出してきて原作を一度は読んでいたはずなのにビックリしてしまった。アニメで唐突に実写パートが差し込まれたのはつい最近まで放送されていた『NEEDY GIRL OVERDOSE』が記憶に新しいが、他にも『SSSS.GRIDMAN』の最終話でも実写パートが差し込まれることで劇中の電脳世界と現実世界とが明確に分かれる演出がテレビアニメとしてとても良いなと思っている。漫画作品で突然の実写表現を取り入れた作品としては『炎炎ノ消防隊』も印象深い。通常の漫画だったのが突然実写の写真が写り込み、敵の幹部(と思われる)である「杉田スミレ」が突然実写のオバサンとして登場したのは『炎炎ノ消防隊』読者の度肝を抜いたことだろう。おまけに昨今でいうところの「思想の強い」台詞を吐くのだからなおインパクトが強い。『逃げ上手の若君』第2期第1話の実写演出に話を戻すと、上質な人形劇を鑑賞しているような気分にもなった。
原作漫画を忠実に再現されることが喜ばれるテレビアニメ業界だが、時にはテレビアニメ特有の演出で勝負するアニメ作品も好きである。そういうわけで『逃げ上手の若君』第2期も楽しみにしたいと思っている。惜しむらくは、テレビアニメとしてテレビで視聴すると、裏番組が『これ描いて死ね』というこれまた別ベクトルで面白い番組と重なってしまうので、片方は録画・もう片方はリアルタイム視聴を余儀なくされるのが地味に辛いところである。
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