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すべての子どもは消耗品じゃない(2)

🎈リキとユキトの場合


■3.ユキト

あの日のこと、僕は忘れない。

お母さんがいつもみたいに笑って、
「ユキトはそのまんまでいいんだよ。ほんとよく頑張ったね。
 今日から人が少ない教室にお引越だよ!」
って言ってくれた。

新しい教室は子どもが少なくて、
ふたりの先生は怖くなくて、
教室の音も声も小さくて、
5年3組よりずっと安心できる場所だった。

だから苦手な事がいっぱいの僕でも安心できた。
「毎日、ここに居ていいんだ」って思えたんだ。


たくさんの人が苦手で、
大きな声を出す人も苦手で、
ルールを守らない奴も苦手で、
冷たくて多すぎる給食が嫌いで、
大きな声の先生が怖くて怖くて逃げたかった。

学校のプールの濡れた床は気持ち悪いし、
運動会の大きなピストルの音は怖いし、
叱られてる子と一緒に怒鳴られるのも苦手だ。
大声が怖くて、言いなりになる自分も嫌いだ。

学校に行かないといけないのは分かってるけど
学校には苦手なものばかりだった。
もし行かなくても怒られないなら、家に居たかった。

でも今は違う。

この教室の先生たちは怖くない。
同じ教室の子どもも嫌じゃない。
ここが安心できる場所のひとつになったよ。


お母さんがヘルプマークをくれた(タダらしい)。
「ヘルプマークはユキトの味方だから大切にね」って言ってた。
いつものリュックに付けた。
次の日、電車に乗って久しぶりにお母さんと心の病院に行った。

知らない人ばかりの電車は怖いし、
ラッシュの時間帯の混み具合も怖い。
ずっと震えて立ってたから疲れた。

お母さんが何回も話しかけてきたけど、
ガタンゴトンで聞こえなくて「うん」しか言えなかった。

早くお家に帰りたい。
そう思ってずっと遠くを見てた。

帰りはヘルプマークを見た人が席を譲ってくれた。
怖い気持ちは変わらないけど、座ったら気分がマシになった。

大人になってもヘルプマークが助けてくれるのかな。
お母さんとお父さんが居なくなっても、僕を助けてくれる人は居るのかな?

分からない。
分からないから怖い。
お母さんとお父さんが居なくなった後、ひとりで生きるのは無理そう。
長生きなんてしたくない。
お母さんとお父さんが居なくなったら、僕も居なくなりたい。
でもきっと無理なんだろうな。


「ずっと家族と一緒がいい。
 ひとりぼっちじゃないからなんとか頑張れる。」
そういうとお母さんは泣いちゃった。

「うんうん、家族と一緒がいいね。
 ずっとずっと頑張ってるの知ってるよ。じゅうぶんだよ。」
って笑ってくれたからヨカッタ。


『いつもと同じ』で『家族と一緒』が安心なんだ。

何かを決めるのが苦手で、大きい声も苦手。
苦手がいっぱいあり過ぎる。
「苦手で困った時は助けて下さいって言うんだよ」
って心のお医者さんが言った。

お母さんが言ってた。
「困った時はお互い様で助け合えると嬉しいね」だって。
お互い様ってよく分からない。

この先も僕は自閉症だから。

いま苦手なものは明日も苦手だし、
怖いと感じる気持ちも無くならないから、
「困ってるから助けて下さい」ってお願いしよう。

「助けて下さい」が恥ずかしいことじゃないって、
5年生の僕はもう知ってる。




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これでも母🐿️みんみん 優しいお気持はありがたく、ちゃっかり頂きます(*- -)(*_ _)ペコリ💖