オフィスのコピー機はどこへ行った?
下記の記事は2025年4月にアップしたものだが、数カ月が経過した現在も安定してアクセスが続いている。おそらくGoogle検索などでヒットすることが多いのだろう。
その記事の中で下記のように書いた。これはあくまで私個人の主観であって正確な統計を調査したわけではない。
それから30年以上が経過した2025年の記事執筆時点で、企業オフィスでコピー機の存在意義は見る影もなくなっている。「紙の文書」をそのままコピーすることはほとんどなくなり、文書を紙に印刷する場合もPCから直接印刷することが大半だ。
記事をアップして半年以上が経過したある日のこと、上記の記事にコメントをいただいた。tenio39さんという、かつてコピー機のカスタマーエンジニアをされていた方からだった。いただいたコメントはコピー機に関してではなくXerox Star というコンピュータに関してのものだったが、専門家である元カスタマーエンジニアの方の目にとまったことで、私は少し後ろめたさを感じた。自分の主観だけで「コピー機の存在意義は見る影もなくなっている」などと書いてしまったのは、当事者の皆さんに失礼なことだと思ったのだ。
そこで改めてしっかり調査することにした。日本の企業でのコピー機の利用量がどのように推移したのか、信頼できるデータはあるはずだ。もっとも、「しっかり調査」とは言っても、時間も手間も多くはかけられない。こんな時はAIに訊くのが一番だ。そこで Gemini Proに訊いてみた。
Gemini Pro の回答(調査結果)
流石はGemini Pro! 信頼できる調査データを一瞬で見つけ、明確な答えを出してくれた。Gemini Proの回答の全文は末尾に掲載するが、その要点をまとめると下記のようになる。
コピー機自体やコピー用紙の出荷は30年前と比べて半分近くにまで減ったとは言え、実はまだまだ使われている。私が過去記事で『コピー機の存在意義は見る影もない』と書いたのは正確さに欠ける表現だった。
コピー機・複合機の販売台数
1990年代後半〜2000年代半ば(ピーク期):年間70万大規模
2020年代半ば〜(激減・成熟期):年間45万台規模
コピー用紙の消費量
2008年(ピーク期):201万トン
2025年見通し:131万トン
コピー機やコピー用紙が減った要因
1.デバイスやITツールの進化で資料の共有目的で紙が使われることが少なくなった
2.電子帳簿保存法やe-文書法などの法改正によって紙の保存の必要性がなくなった
3.テレワークやフリーアドレスなどの働き方の変化で、紙の書類を保管するスペースが失われた
コピー機やコピー用紙が完全には無くならない要因
下記の業界ではどうしても紙への印刷が必要であり、コピー機(複合機)も紙もなくならない。
・教育関連
・建設業
・不動産業
・医療機関
・物流・製造・小売業の中のいわゆる「現場」
・士業(弁護士・税理士・司法書士など)
調査結果を受けて
確かに学校などの教育関連の業界で「紙」が必要になることは十分に納得できる。ウチのこども達も学校からいわゆる「プリント」をしょっちゅう持ち帰っていた。
医療機関での紙の多さも納得できる。処方箋やらなんやら、病院に行けば必ず紙に印刷されたものを渡してくれる。
学校と病院以外で「紙の利用が多い」といわれる業界にお世話になることは滅多にないが、不動産も建設も紙の書類を無くすことが難しいことはなんとなく想像できる。
ここからは私の推測だが、これらの場合の多くは「パソコンからのプリンター出力」であり、「紙から紙にコピーする」ケースはかなり少なくなっているのではないか。とは言っても、「紙から紙へのコピー」なのか、「パソコンからのプリンタ出力」なのかはマクロ的な情報では判別できない。
私自身の経験で語るなら
私は現在、日本法人の社員数が200人程度の外資系テック企業に勤務しているが、仕事で紙を使うことは滅多に無い。前回プリンタを利用したのは半年以上前の昨年6月に、ある展示会の参加証を印刷した時まで遡る。
20年くらい前から同じような業界(外資系テック企業)に勤務しているが、10年以上前はそこそこ紙を使っていた。客先に訪問して何かの説明をする時は、資料を参加者の人数ぶん印刷して持っていくことが必須事項だったように記憶している。
PCの画面を映すプロジェクタがあれば紙は不要なはずなのだが、プロジェクタが無い場合もありえたし、何よりも客側が「紙の資料を欲しがる」傾向にあったことは間違いない。
明らかに状況が変わったのは、やはりコロナ禍の時からだ。紙の必要性と言うよりは、物理的に顧客に訪問することの必要性が激減した。コロナ禍が過ぎても、リモートで顧客と話すことが至って普通になっている。その場合は「紙の資料」は無用の長物でしかない。
皆さんの業界ではどうだろう?
Gemini Pro の回答全文
以降の記述は全て Gemini Pro の回答をコピーしたものである。
一般的な日本企業のオフィスにおける「コピー機(複合機)」の利用状況についてですね。
近年、オフィスから紙やファイルが減ったと感じる方も多いと思いますが、実際のデータにもその傾向がはっきりと表れています。ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)や日本製紙連合会の統計データをもとに、過去から現在(直近)までの推移を比較して解説します。
1. コピー機(複合機)の国内出荷台数の推移
コピー機・複合機の販売台数は、実は「パソコンが普及し始めた時期にピークを迎え、その後減少していく」という非常に興味深い曲線を描いています。
30年前〜20年前(1990年代後半〜2000年代半ば):ピーク期
年間約70万台規模
この時期は「1人1台のパソコン」が普及し始めた時代です。しかし、当時はまだ画面上で資料を確認する習慣がなく、「とりあえず紙にプリントアウトして読む・配る」文化が根強かったため、IT化が進むにつれて逆にコピー機の需要と印刷枚数が激増しました(IT化のパラドックスとも呼ばれます)。
10年前(2010年代半ば):減少への転換期
年間50万台強
スマートフォンやタブレットが普及し、プロジェクターやモニターを使ったペーパーレス会議が浸透し始めました。これにより、紙への出力需要が徐々に落ち込み始めます。
現在(2020年代半ば〜):激減・成熟期
年間約45万台(2023年実績)
コロナ禍でのテレワークの強制的な普及や、オフィスのフリーアドレス化、電子帳簿保存法などの法改正により、オフィスのコピー機は一気に「あまり使われないもの」へと変化しました。
2. コピー用紙(情報用紙)の消費量の推移
コピー機で使われるPPC用紙を含む「情報用紙」の国内需要(消費量)の推移も、機械の出荷台数と見事に連動しています。
年代・時期情報用紙の国内需要備考約20年前のピーク(2008年)201万トン紙の消費が最も多かった時代。コロナ直前(2019年)約179万トンなだらかに減少を続けていた時期。現在(2025年見通し)131万トンピーク時の約65%水準まで減少。
直近のデータでは、情報用紙の需要は7年連続でマイナスを記録しており、ピーク時と比較すると約3割〜4割のコピー用紙が日本のオフィスから消えた計算になります。
3. 背景にある大きな要因
ここまでコピー機と紙が減った背景には、主に以下の3つの要因があります。
クラウドとデバイスの進化: 資料の共有や回覧が、紙からクラウド上のフォルダや社内チャット(SlackやTeamsなど)に置き換わりました。
法改正によるデジタル化の推進: 電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入、e-文書法などにより、契約書や請求書をわざわざ紙に印刷して保管する必要が(あるいは印刷してはいけない状況に)なりました。
働き方の変化: テレワークやフリーアドレスが普及し、個人の席に大量の紙の書類を保管するスペースが物理的に失われました。
たしかに、私たちの日常生活がこれだけスマートフォンで完結していることを考えると、「ピーク時から3〜4割しか減っていない(まだ半分以上も残っている)」というのは、意外と減っていないと感じられますよね。その感覚は非常に鋭いです。
コピー機や紙の消費がゼロにならない最大の理由は、「画面で見るより、紙のほうが圧倒的に優れている業務」や「相手の環境(顧客など)に合わせる必要がある業務」が依然として多く存在しているからです。
現在、コピー機(複合機)がフル稼働している主な業種と職種をまとめました。
1. コピー機が多く使われている【業種】
主に「物理的な現場がある」「高齢者や一般消費者との接点が多い」「一覧性・証拠性が求められる」業種で、紙の需要が根強く残っています。
教育機関(学校・学習塾)
用途: 授業のプリント、小テスト、保護者へのお便り。
理由: GIGAスクール構想でタブレット学習が進んだものの、「鉛筆で書いて覚える」という学習効果の観点や、テストの実施において、依然として紙が主流です。
建設業・建築業
用途: 設計図面(A3サイズなど)、工程表、現場の安全確認書類。
理由: 建設現場では「大きな図面を机に広げて複数人で書き込みながら打ち合わせる」というプロセスにおいて、紙の一覧性が画面(モニター)を圧倒しています。また、屋外の過酷な環境ではデジタル端末より紙のほうが取り回しが良いという事情もあります。
不動産業
用途: 物件の間取り図(マイソク)、重要事項説明書、契約書、ポスティング用チラシ。
理由: お客様に複数の物件を並べて見比べる際や、店舗の窓に掲示する用途として紙が活躍します。契約書の電子化は法的に解禁されましたが、高額な契約であるため「紙で残したい」という顧客側の心理的要望も強いです。
医療機関・福祉施設
用途: 問診票、手術・治療の同意書、紹介状、お薬手帳用のシール、介護記録。
理由: 高齢の患者さんや利用者さんが多いため、誰でも確実に読み書きできる「紙」がインターフェースとして必須になります。
物流業・製造業・小売(店舗)
用途: 納品書、配送伝票、ピッキングリスト、工場内の作業マニュアル、POP。
理由: 手袋をして作業する工場や、段ボールを抱えて走り回る物流現場では、デジタル端末の操作が難しく、「バインダーに挟んだ紙とペン」が最も素早く確実なツールとなるケースが多いです。
2. コピー機が多く使われている【職種】
業種に関わらず、以下の職種では紙を出力(またはスキャン)する機会が多くなります。
営業職(特にBtoBの訪問営業や、高額商材のBtoC)
自社はペーパーレス化していても、「訪問先の企業が紙の文化」であったり、「対面でパンフレットを手渡ししたほうが熱意が伝わりやすい・記憶に残りやすい」という営業戦略上の理由から、あえて綺麗にカラー印刷した提案書を持参することが多いです。
経理職・総務職(バックオフィス)
自社がデジタル化を進めていても、取引先から「紙の請求書」や「手書きの領収書」が送られてくる限り、それを処理・保管(または電子化するためにスキャン)する作業が発生します。
士業(弁護士・税理士・司法書士など)
裁判所への提出資料や、役所の手続きなどにおいて、厳密な証拠能力や原本性が求められるため、膨大な量の紙資料をコピーして束ねる作業が日常的に発生します。
このように、「デジタル化できないわけではないが、実用性や人間心理、物理的な環境を考慮すると、結果的に紙を使ったほうが効率的で親切である」という領域が、現在のコピー機の稼働を支えています。
こうした「どうしても紙が残る業種」に対して、現在のコピー機メーカーは単に印刷するだけでなく、「手書きの図面をスキャンして自動でデータ化する機能」や「紙の書類を翻訳して出力する機能」など、特殊な機能をつけて生き残りを図っています。
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