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日本のコピー機メーカー3社の生き残り戦略

前回記事では、コピー機の本体もコピー用紙も出荷量がピーク時に比べて半減していることを紹介した。

出荷量が半分になるということは、メーカーにとっては売上が半減するということであり、普通に考えるとコピー機を作っているメーカーは相当な苦境に立たされているはずだ。

「コピー機を作っているメーカー」とは、具体的には富士フイルム(米国ゼロックスと袂を分かったかつての富士ゼロックス)、キヤノン、リコーの3社のことで、いずれも相当に規模の大きな企業だ。もしも経営が苦しいのであれば、社員にとっては勿論のこと、日本の経済に与える影響も大きいと思われる。

気になったので、3社の経営状況についてAIに訊いてみた。前回記事の調査ではGemini 3 Pro を使ったが、今回相談したのはリリースされたばかりのChat GPT 5.4 Thinking だ。ChatGPTは数分間の調査と思考のあと、明快な答えを出してくれた。

私にとっては驚きだったのだが、日本のコピー機メーカー3社の経営状況は悪くない。コピー機以外の事業に軸足を移すことで、コピー機の需要が減る苦境をうまく乗り切っている。いや、「コピー機メーカー」と言う呼び方さえも既に適切ではないくらいに、その姿を変えている。これには日本企業の底力を感じた。

ChatGPT 5.4は、調査結果を説明する文章も素晴らしく分かりやすかった。上記の感想以外は、私が付け加えることも殆どないので、以下ChatGPTの回答をそのまま掲載させていただく。


日本のコピー機メーカーの現在の経営状態に関するChatGPTの回答

結論から言うと、3社とも「ペーパーレス化でコピー機収益が吹き飛び、経営危機」という状態ではありません。むしろ3社とも、すでに「複合機メーカー」から、業務DX・ITサービス・商業/産業印刷・医療・半導体材料・イメージングを含む企業へかなり変質しています。ただし、転身の進み具合はかなり違います。足元の公開資料を見る限り、富士フイルムは最も多角化が進み、キヤノンは依然としてPrintingが大黒柱だが全社収益は強く、リコーは転換途上だが改善基調です。

大きな流れとしては、3社とも「紙を出す機械の販売」だけではなく、①機器の保守・消耗品・運用支援などの継続収益、②商業印刷のデジタル化、③顧客基盤を使ったIT/業務ソリューション、④複写以外の成長事業に軸足を移しています。つまり、主要収益源が“絶たれた”というより、収益モデルをハード売り切り型から、サービス・ソリューション・高付加価値領域へ移し替えている、という理解のほうが実態に近いです。

富士フイルム

富士フイルムは、3社の中でいちばん「旧コピー機会社」から離れています。2025年度第3四半期累計では売上高2兆4,297億円、営業利益2,485億円で増収増益、通期見通しも売上高3.30兆円・営業利益3,350億円へ上方修正し、過去最高を目指すとしています。グループ全体ではHealthcare、Electronics、Imagingが伸びており、統合報告書でもHealthcareの売上比率は32.8%とされています。

一方で、旧富士ゼロックス系を中心とするBusiness Innovationは、足元では楽ではありません。2025年度第3四半期のBusiness Innovationは減収減益で、会社自身もOffice Solutionsは印刷量の緩やかな減少を前提に収益性維持、Business Solutionsは成長、Graphic Communicationsはデジタル印刷シフトで収益改善という方針を明示しています。Business InnovationのFY2024売上は1兆1,985億円で、その内訳はBusiness Solutions 44%、Office Solutions 28%、Graphic Communications 29%。つまり、すでに「複合機一本足」ではなく、SI・クラウド・BPO/ITO・商業印刷まで含めた構造です。さらにBusiness Solutionsの年平均成長率8%目標や、AIブランド「REiLI」を使った新製品・新サービスも成長ドライバーに据えています。

要するに富士フイルムは、複合機の衰退を“多角化でかなり吸収済み”です。 経営的な苦境を脱するというより、すでに脱したうえで、旧事業の利益率を維持しながら成長事業へ資本を移している段階に見えます。

キヤノン

キヤノンは依然としてPrintingが最大事業です。2025年12月期の連結売上高は4兆6,247億円、営業利益は4,554億円、当期純利益は3,321億円で、全社としてはかなり強い数字です。ただし、Printing事業単体では売上2兆4,944億円で全社売上の53.9%を占める一方、前年比では1.1%減、税引前利益も10.0%減でした。つまり、会社全体は好調でも、従来型の印刷領域そのものは伸び悩みという構図です。

キヤノンの強みは、印刷事業がまだ巨大である一方、それを単なる「縮小市場」にしていないことです。統合報告書では、Office MFDは依然として中核的な印刷機器として安定需要があり、カラー機の増加が安定したサービス収益につながっていると説明しています。そのうえで、紙の世界が減る分は、デジタル商業・産業印刷で取りに行っています。具体的には、B2対応の varioPRESS iV7 や varioPRINT iX1700 などを投入し、2024年11月にはHEIDELBERGとの提携も発表。さらに製品プラットフォーム比率を43%から95%へ高めて収益性改善も進めています。

また、キヤノン自身が統合報告書で、IT革命とペーパーレス化によりオフィス複合機売上が約30%落ちた歴史を認めています。そのうえで現在は、Printingの中でも家庭・オフィス・商業/産業印刷まで広い裾野を持つこと、そしてImaging・Medical・Industrialが伸びていることが、会社全体の安定性を支えています。

要するにキヤノンは、コピー機依存を完全には脱していないが、巨大な顧客基盤とサービス収益を土台に、商業/産業印刷と非印刷事業で延命ではなく再編成を進めている会社です。

リコー

リコーは3社の中では、いちばん「変身の途中」にあります。FY2024(2025年3月期)の売上は2兆5,279億円、営業利益は638億円、営業利益率は2.5%で、富士フイルムやキヤノンに比べると収益性は低めです。ですが、2025年度第3四半期累計では売上1兆8,823億円、営業利益700億円と、営業利益は前年同期比で2倍超になっており、改善は進んでいます。

リコーの処方箋はかなり明快で、Office Printingの減少を前提に、Office Servicesという継続収益型のIT・業務支援へ移すことです。FY2024にはOffice Servicesの recurring revenue が3975億円と前年比14%増になり、中計の2025年度目標を1年前倒しで達成しました。2025年度第3四半期でも、会社はOffice Printingの弱さを認めつつ、Office Servicesは日本で二桁成長、IT services +10%、Application Services +12%と説明しています。加えて、AIを組み込んだ業務プロセス自動化パッケージや、DocuWare・natif.ai・Axon Ivy連携なども推進しています。

同時に、リコーはかなり踏み込んだリストラ・構造改革も進めています。Corporate Value Improvement Projectでは、Office Servicesの利益成長、Office Printing構造改革、事業の選択と集中、本社改革、R&D最適化を掲げ、2025年度第3四半期時点で257億円の効果を計上。ETRIAによる開発・生産再編、米国Managed IT Services事業の売却、資産軽量化、ROE10%以上の目標も明示しています。

要するにリコーは、「コピー機メーカー」から「デジタルサービス企業」への転換をもっとも正面からやっている会社です。 まだ利益率は高くありませんが、方向性ははっきりしていて、苦境を“守り”ではなく事業モデル転換で越えようとしている、と言えます。

まとめ

3社をかなり乱暴に一言で分けると、こんな感じです。
富士フイルム:すでに多角化が進み、「コピー機衰退」は全社問題ではない。
キヤノン:印刷はまだ巨大だが、サービス収益と商業/産業印刷、他事業で十分に支えている。
リコー:最も転換途上だが、Office Services中心の再構築が進んでいる。

つまり、3社とも「紙が減ったから終わり」ではなく、“紙を出す装置”の会社から、“顧客の業務を回す仕組み”の会社へ移れるかが勝負になっています。そして現時点では、富士フイルムが最も余裕があり、キヤノンは巨大基盤を活かした持久戦、リコーは最も痛みを伴うが最も明確な転換を進めている、という見方が妥当だと思います。

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