認知症の「夜眠らない」は、夜に解決しようとするほど悪化する。昼夜逆転の本当の対応
深夜3時。となりの部屋で、ゴソゴソと物音がする。
見に行くと、親が電気をつけて着替えている。
あなた:お母さん、まだ夜中だよ。寝よう?
母:何言ってるの、朝でしょ。ごはん作らなきゃ。
止めても聞かない。あなたは明日も仕事なのに、もう何日もまともに眠れていない。
——「私が先に倒れそう」。そう思ったこと、ありませんか😢
これは「昼夜逆転」と呼ばれる、認知症介護でとても多い困りごとです。
今日は、その原因と対応を、訪問看護師の視点でお伝えします。
この記事を読むと、こんなことがわかります。
✅ なぜ認知症だと昼夜が逆転してしまうのか(その仕組み)
✅ 夜眠ってもらうために、日中からできる具体的な工夫
✅ 「もう限界」の前に頼るべき相談先と、薬の注意点
眠れない夜への向き合い方が、少し見えてくるはずです😌
【まず知ってほしい。これは「わがまま」ではありません】
夜に眠らない、夜中に起き出す。
これは本人の意思や性格の問題ではなく、認知症の症状や加齢に伴う変化が関係していることが多いとされています(出典:丹沢病院)。
「困らせてやろう」と思って起きているわけではありません。
本人の中では、体内時計が狂い、"今が夜だ"という感覚そのものが失われている状態なんです。
まずはこの前提を、心のどこかに置いてください。
【認知症で昼夜逆転が起こる、4つの原因】
☆① 体内時計そのものが乱れる
認知症は脳の機能低下によるもので、体内時計の不調を引き起こしやすくなります(出典:LIFULL介護)。
体内時計と実際の時間のズレを修正できず、昼に眠って夜に目が覚める状態になることがあると言われています(出典:SOMPO笑顔倶楽部)。
☆② 日中の活動量が少ない
昼間だらだら過ごす、居眠りしすぎる——日中の活動量が下がると、夜になっても眠れなくなります。
体が疲れないうえ、日中の活動や午前中の光が体内時計の調整に関わっているためです(出典:LIFULL介護)。
☆③ 時間の感覚がわからなくなる(見当識障害)
未明の4時を夕方の4時と取り違えて、夕食の準備を始めようとする。
このように昼夜を取り違える行動は、見当識障害によって起こることがあると言われています(出典:LIFULL介護)。
☆④ 痛み・不快感をうまく伝えられない
便秘や腰痛などの不快感で眠れないのに、それをうまく言葉にできず、夜中に動き回ることがあります(出典:LIFULL介護)。
「眠れない」の裏に、体の不調が隠れていることもあるんです。
【やってはいけない対応】
❌ 「早く寝なさい!」と抑制的に叱る
→ 強引に寝かしつけようとするのは逆効果になることがあります(出典:ニチイ)。
✅ 代わりに:「眠れないね、お茶でも飲む?」と一度受け止め、気持ちが落ち着くのを待ちましょう。
❌ 自己判断で市販の睡眠薬を使う
→ 根本原因を見ないまま薬に頼るのは危険とされ、副作用のリスクもあります(出典:メディカル・ケア・サービス)。
✅ 代わりに:眠れない日が続くなら、市販薬より先に主治医やケアマネに相談を。
❌ 夜中の行動をすべて力ずくで止める
→ かえって興奮や混乱を強めることがあります。
✅ 代わりに:転倒や外出など"危険なこと"だけ防ぎ、それ以外は少し見守る余裕を持ちましょう。
【夜眠ってもらうために、日中からできること】
ポイントは「夜どうにかする」より「昼をどう過ごすか」です。
☆① 午前中に太陽の光を浴びる
午前中に散歩などで日光を浴びると、体内時計が刺激され、昼夜のリズムが整いやすくなります(出典:ニチイ)。
外出が難しければ、朝カーテンを開けて部屋を明るくするだけでも違います。
☆② 日中の活動量を増やす
着替えて自室からリビングに移動する、簡単な家事を頼む、デイサービスを利用する。
昼に体と気持ちを動かすことが、夜の良い睡眠につながるとされています(出典:LIFULL介護/ニチイ)。
☆③ 昼寝は短めに
昼寝そのものは悪くありませんが、長すぎると夜に響きます。午後の早い時間に短く、が目安です。
☆④ 眠りやすい環境を整える
暗いと不安で眠れない人もいれば、明るいと眠れない人もいます。その人に合わせた明るさに。
手足が冷えるなら靴下や寝間着で暖かく(湯たんぽは低温やけどに注意)(出典:ニチイ)。
☆⑤ 体の不調がないか気を配る
便秘・痛み・かゆみなど、眠りを妨げる原因がないかチェック。
原因がわからない不調が続くときは、受診して医師に相談してください(出典:朝日生命)。
【見逃せないサイン:大声・飛び起きがある場合】
もし夜中に大声をあげたり、突然飛び起きたりする様子があるなら、少し注意してください。
レビー小体型認知症では、浅い眠りの時に大声を出したり飛び起きたりする「レム睡眠時行動障害」が見られることがあると言われています(出典:LIFULL介護)。
「ただの寝ぼけ」と片付けず、こうした様子はメモしておき、受診時に医師へ伝えると診断の助けになります。
【一人で抱え込まないで】
いちばん伝えたいのは、これです。
介護する側が眠れないのは、心身を確実に削ります。
「自分が我慢すれば」と抱え込むと、共倒れになりかねません。
夜間対応のあるサービス(ショートステイ、夜間対応型訪問介護など)を使う、ケアマネジャーに「夜が限界」と正直に伝える。
それは甘えではなく、介護を続けるために必要な選択です。
睡眠薬を含めた治療が必要なケースもあります。まずは主治医やケアマネに相談してください。
【最後に】
夜眠れない介護は、昼間のどんな介護より、静かに人を追い詰めます。
真っ暗な家で一人、起き出した親に付き添う心細さ。私も現場で、何度もそのつらさに触れてきました🍵
でも、覚えておいてください。
親が夜起きるのは、あなたを困らせたいからではなく、病気が時計を狂わせているだけ。
あなたが倒れないことが、親御さんを守ることにつながります。
どうか、あなたの眠りも、あなた自身も、大切にしてくださいね。
――もしよければ、教えてください。
あなたのお家では、夜の困りごとにどう向き合っていますか?
コメントで、あなたの経験も聞かせてもらえたら嬉しいです。
