サイバーエージェント 藤田晋氏に学ぶ「勝負勘」の正体 〜麻雀と経営に共通する「先手」の思考法〜
こんにちは。
株式会社スプリングボード代表の足立晋平です。
突然ですが、昨日の私の「敗北」を聞いてください。
昨日は、朝から「新しい研修プログラムの企画」という、自分にとって一番重要で、クリエイティブな仕事に時間を割くつもりでした。
お気に入りのコーヒーを淹れて、さあやるぞとPCに向かったその瞬間です。
💬「足立さん、この件どうなってますか?」というチャット通知。
📩「日程調整のお願い」というメール。
🗯️さらには、予期せぬ小さなトラブル対応……。
次から次へと飛んでくる
「緊急だけど重要ではないボール」を打ち返しているうちに、気づけば窓の外は真っ暗。
肝心の企画書は、なんと1行も進んでいませんでした。
「ああ、今日も主導権を握れなかった……」
この徒労感、皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
今日は、そんな
「後手に回ってしまった日」の反省も込めて、サイバーエージェント藤田晋氏の著書『勝負眼』から、「余裕(スラック)」がいかに強力な戦略兵器であるかについて考えてみたいと思います。
📚 今日はこちらの書籍からの学びシェアです
この本の中で、著者が「締切」や「麻雀」について語っている箇所が、昨日の私にグサリと刺さります。
この連載は毎号2400文字もあるんだけど、これを締切ギリギリになって焦って書きたくない。
(中略)
後手に回ると、このように「選択肢がなくなる」というのが嫌なのだ。
麻雀において、例えば東南戦で、東場に先行して点棒を稼いでおけばそれは値千金だ。
(中略)
点棒に余裕があるので、自分の手をじっくり高く育てる、鳴いて安く流す、オリて失点を避けるなど、状況に応じて柔軟に方針を変えられる。つまり、選択肢が増えるのだ。
これ、仕事の進め方そのものですよね。
「先手(余裕がある状態)」=「選択肢を選べる」「後手(余裕がない状態)」=「一か八かのギャンブルしか選べない」
なぜ、私たちは「余裕」を失うと、判断力まで鈍ってしまうのでしょうか。
これには、明確な理論的裏付けがあります。
😨追い詰められるとIQが下がる?
💡ちょこっと理論紹介💡
🧠トンネリング(視野狭窄)
センディル・ムッライナタンらが提唱した概念です。人間は「時間」や「お金」が欠乏(希少)すると、脳の処理能力(帯域幅)が、その心配事で埋め尽くされてしまいます。
その結果、あたかもIQが下がったかのような状態になり、目の前の火消ししか見えなくなってしまいます。
昨日の私が、まさにこれでした。
チャットやメールの対応に追われることで、
「企画」という長期的な価値を生む仕事に使う脳のメモリが残っていなかったのです。
トンネルの中に入ってしまったように、目の前のタスクしか見えなくなる。
余裕がない人がミスをするのは、能力の問題ではなく、脳のスペックを「焦り」に奪われているだけなんですね。
⌛「待つ」ことができるという最強の価値
💡ちょこっと理論紹介💡
📈リアル・オプション理論
不確実な未来において、「今は決めずに、状況を見てから決める権利(オプション)」を持っておくこと自体に価値がある、という考え方です。
資金やリソースに余裕があれば、「攻める」「撤退する」「様子を見る」という複数のカードを保留したまま、一番勝てるタイミングで切ることができます。
著者の藤田さんは、この理論をカジノでの振る舞いにも当てはめています。
カジノに行く際、あえて「かなり多めのチップ」を手元に置いてプレイするそうです。
チップが残り少なくなると、人はどうしても「一か八かの大勝負」に出てしまいます。
しかし、手元に潤沢なチップ(余裕)があれば、無理な勝負を避けて「オリる」ことも、「好機を待つ」こともできる。
つまり、余裕がある側だけがゲームの主導権を握れるのです。
これは歴史も証明しています。
徳川家康は、織田信長や豊臣秀吉がリスクをとって天下を統一していく間、じっと力を蓄え、兵力という「余裕」を作り続けました。
そして関ヶ原の戦いでは、一か八かのギャンブルではなく、圧倒的な準備と裏工作を持って「勝つべくして勝つ」状況を作りました。
「待つことができる」というのは、それだけで相手に対する強力な武器になるのです。
関ヶ原の戦いという最大の決戦において、彼は一か八かのギャンブルではなく、圧倒的な準備と裏工作(=豊富な選択肢)を持って臨んだのです。
余裕がない武将は、「奇襲」という一点突破に賭けるしかありません。
しかし、余裕がある家康は、
・正攻法
・寝返り工作
・持久戦
すべてを選べた。

「待つことができる」というのは、
それだけで相手に対する、強力な武器になるのです。
🗓️「空白」を恐れない
私たちはついつい、スケジュール帳が埋まっていることに安心感を覚えたり、空白があると不安になったりします。
でも、藤田さんがカジノで多めのチップを持つのと同様に、あるいは家康が好機を待ち続けたように、「あえて何もしない空白(バッファ)」を持っておくことこそが、いざという時に主導権を握るための鍵になります。
私も毎朝4時に起きて、コーヒーを飲みながら本を読む時間を確保していますが、これは単なる趣味の時間というだけでなく、「誰にも邪魔されず、自分で時間の使い道を選べる」という精神的な余裕(先手)を毎朝確認する儀式のようなものかもしれません。
さて、今日は昨日の反省を活かして、まず最初に自分のスケジュールに「空白」をブロックしてから仕事を始めようと思います。
それでは、また。
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