Vol.5 巡回健診と施設健診、どちらを選ぶべきか
会社の人数・勤務形態・受診管理で考える健診の選び方
会社の健康診断を行う方法には、大きく分けて巡回健診と施設健診があります。
巡回健診は、健診車や健診スタッフが事業所や指定会場へ出向いて行う健診です。従業員が健診機関まで移動しなくてよいため、人数が多い会社や、勤務時間中にまとめて受診させたい会社に向いています。
一方、施設健診は、従業員が健診機関へ出向いて受ける方法です。少人数の事業所や、従業員ごとに日程を分散して受診させたい場合に使いやすい方法です。
どちらがよいかは、会社の人数、勤務形態、拠点数、健診項目、協会けんぽ補助の利用、健診後のフォロー体制によって変わります。

巡回健診は、受診率を上げやすい
巡回健診の大きな利点は、受診率を上げやすいことです。
会社内や職場近くの会場で受けられるため、忙しい従業員でも受診しやすくなります。特に中小企業では、従業員がそれぞれ医療機関を予約する方式にすると、どうしても未受診者が残りやすくなります。
巡回健診では、会社側が日程と会場を調整し、対象者をまとめて案内できます。そのため、誰が受けたか、誰がまだ受けていないかを把握しやすく、受診管理もしやすくなります。
勤務時間中に順番に受診できるようにすれば、従業員にとっても負担が少なくなります。会社にとっては、健診を「受けてもらう」だけでなく、「受けやすい仕組みを作る」ことが大切です。
巡回健診には準備も必要
一方で、巡回健診には事前準備が必要です。
会場の確保、健診車の駐車場所、電源、受付動線、待機場所、採尿場所、男女別対応、着替えの場所、個人情報が見えない配置などを考える必要があります。
健診当日の動線は、受診者の印象を大きく左右します。受付で他の人の情報が見えてしまわないこと、採尿や着替えの場所が分かりやすいこと、待ち時間が長くなりすぎないことなど、医療面以外の配慮も重要です。
また、受診人数が少なすぎる場合は、巡回健診として組みにくいこともあります。その場合は、健診機関で受ける施設健診や、複数の事業所が同じ会場で受ける合同健診・集合健診の方が現実的なこともあります。
巡回健診は便利ですが、単に健診車を呼べばよいというものではありません。会社と健診機関が事前に打ち合わせを行い、当日の流れを整理しておくことが大切です。
施設健診は、日程を分散しやすい
施設健診は、従業員が健診機関へ出向いて受ける方法です。
少人数の会社や、勤務シフトがばらばらで一斉に健診を行いにくい会社では、施設健診の方が利用しやすい場合があります。従業員ごとに日程を選べるため、業務への影響を分散しやすいことも利点です。
また、施設健診では、胃カメラ、腹部超音波、婦人科検診、詳細な検査などを組み合わせやすい場合があります。健診機関の設備を使えるため、検査内容を充実させたい場合には施設健診が向いていることもあります。
一方で、従業員が個別に予約・受診する形になるため、会社側の受診確認が重要になります。予約したか、受診したか、結果は届いたか、未受診者が残っていないかを管理しなければなりません。
施設健診を選ぶ場合は、予約期限、受診期限、結果提出の方法を明確にし、誰が受診済みかを一覧で管理することが大切です。
会社の実情に合わせて選ぶ
巡回健診と施設健診は、どちらが一方的に優れているというものではありません。
人数が多く、同じ日にまとめて実施したい会社では、巡回健診が向いています。従業員の移動時間を減らし、受診率を上げやすいからです。
一方、人数が少ない会社、勤務時間がばらばらの会社、詳細な検査を組み合わせたい会社では、施設健診が向いている場合があります。
また、会社によっては、巡回健診と施設健診を組み合わせる方法もあります。多くの従業員は巡回健診で受け、日程が合わない人や追加検査を希望する人は施設健診で受ける、という形です。
大切なのは、会社の規模や勤務形態に合わない方法を無理に選ばないことです。健診は、実施することだけでなく、受診率を確保し、結果を会社の健康管理につなげることが重要です。
協会けんぽの補助を使う場合も確認が必要
協会けんぽの生活習慣病予防健診を利用する場合は、巡回健診でも施設健診でも、対象者や健診項目、自己負担額、実施できる健診機関を確認する必要があります。
協会けんぽの補助を使える対象年齢や検査内容は、年度によって変わることがあります。会社としては、従業員の年齢や加入している健康保険を確認し、どの健診を案内するかを整理しておくとよいでしょう。
また、生活習慣病予防健診を会社の定期健康診断として利用する場合は、労働安全衛生法上の必要項目が満たされているかも確認が必要です。
「協会けんぽの健診を使うか」「法定健診として必要な項目を満たしているか」「会社として追加したい検査があるか」を分けて考えると、健診の設計がしやすくなります。
健診方法は、健診後のフォローまで考えて選ぶ
健診方法を選ぶときは、当日の受けやすさだけでなく、健診後の流れまで考えることが大切です。
巡回健診では、会社が受診状況を把握しやすく、未受診者の確認もしやすい利点があります。施設健診では、従業員ごとに日程を選びやすい一方で、会社側が受診状況を丁寧に追う必要があります。
いずれの場合も、健診結果が返ってきた後に、要再検査や要精密検査の人への受診勧奨、産業医や医師の意見聴取、就業上の配慮の確認につなげることが重要です。
健診は、受けて終わりではありません。会社としては、受診しやすい方法を選び、結果をきちんと確認し、必要な対応につなげるところまでを健康管理の流れとして考える必要があります。
清水橋クリニックでは、巡回健診と施設健診を、会社の実情に合わせて組み合わせる考え方が大切だと考えています。また、複数の小人数の事業者様で近隣の会場を確保して行う出張会場健診や集合健診のコーディネートにも力を入れております。お気軽にご相談ください。
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