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爆走!7人家族、神奈川~香川への700Kmドライブ旅①

「やった! よっしゃあ~~~!!!」



大きな大きなその夫の声が、予選試合会場に響き渡る。

長年、全国大会のその舞台に上がることを夢見ていた。
その夢が、現実になろうとしていた瞬間だった。

「すごい!やったね!」

私と高校時代からずっとダブルスを組んでいるパートナーの彼女も、うれしそうに隣で私に声をかけた。
私は、夫の姿を目に焼きつけつつも。自分自身はそのわずか数時間前に、自らの全国の夢をまたも逃していた。ちなみに私の隣で喜んでくれるパートナーは、シングルスでしっかり全国大会の切符を手にしているのだ。
だから、正直、その瞬間に素直に大喜びできなかった部分があった。ああ、みみっちい嫁でごめんね。

だけど。ずっとずっと出場することを拒否していたシングルスで、こんなにも悔しい気持ちを持つ自分がいることを認識できた、大事な瞬間でもあったかもしれない。

「全国の会場ってどこなんだっけ」

予選には毎年出るものの、すっかりその先を考えていない私。
慌ててパートナーに確認すると、「香川だって」と声が返ってくる。

「か……香川?!」

ここは神奈川県。香川県まで、実におよそ700キロほどある。なんてこったい。どうしたもんか。だけど夫は、家族みんなで行きたいという。

「まあ……せっかくなら、私も行きたいけど」

私は、香川のその名前を聞いた瞬間、ああ、あの人がいる土地だ。と、ふと頭をよぎった。その瞬間の悔しさもほどくような、そんな温かさが心に戻ってくるのを感じていた。


会え……るかな?



まあ、さすがに飛行機だよね~なんて話していたものの。
「に……20、万円……飛行機だけで……」
「ま、待って……会場にはレンタカーないとムリだし……でも、7人乗れる車でチャイルドシートにキッズシートつけたら……でっかい車じゃないとムリ……って、た、高~~~~!!!」


香川への道のり、険し。しかも長女は飛行機は怖いという。
母も怖いですよ。家計的な話でね。

「こうなったら……」
「やりますか……」

夫婦は覚悟を決めた。


700キロ、家族7人爆走ドライブ旅、決行である。


夜中2時。
事前に荷物を詰め込んだ車内に、子どもたちを起こして誘導する。

非日常感にドキドキの子どもたち。でもさすがに夜中すぎて、けっこう大人しい。チャンスである。
最終的な荷物や戸締りチェック。3時、出発。

夜中の高速はスムーズ。

最初の運転は夫の担当だったので、次の出番まで私もウトウトしながら、体力を温存する。

そのうち、雨がめっちゃ強くなっていく。
「前が見えない! 前が見えない!」
夫の声で目が覚めれば、豪雨の中を突き進むフリードの車内だ。
そう、その日は台風が接近していたんである。

ああ、不憫人フビニスト

とはいいながら、道はすいていたことが幸いし。
子どもたちもぐっすり寝ていたおかげで、8時前には三重県に到着。この時点ですでに250キロほど進んだことになる。

湾岸長嶋SAにて休憩。母、運転交代。
子どもたちが起きてしまうと、もはや運転していた方が楽ともいえる。まあ眠いけど。

そこから大阪を通り、兵庫県西宮あたりまで、突き進む。
やはり豪雨。一寸先も雨である。
生きててよかった。
スマホには、登下校に十分に注意し、可能であれば保護者が付きそうようにとの学校からの通達が入っていた。保育園も早めにお迎えにきてほしいとの連絡。
休みでよかったね。こっちの方が危なそうですけども。

たこ焼き。
大阪の……って書いてあったけど、ここ、兵庫県じゃん。
ママもどうぞ💛と、双子兄。やさしい。
アイスおいしそうに食べるグランプリの三男くん。

大阪らしからぬ、ぬるめでそれなりのたこ焼き(失礼)を食して、子どもたちはアイス。うん、ウマい! 
よーし、じゃあ頑張ってね! 夫! フォンッ(夫、召喚音)


淡路島にたどり着くころ、台風とすれ違ったような感覚があった。
すっかり機嫌を取り戻し始めた空が、我々7人の凱旋を歓迎してくれているかのようだ。そうだろうそうだろう、うれしかろう。(自意識高め)(自己肯定感上げていくスタイル)

これ、あれかな……
渦潮かな……(調査不足)
鳴門大橋!たぶん!(調査不足)

「すごいね! すごいね!」
親が景色に興奮しているころ、子どもたちは
「いっけえ~~~~!」
と、アニメポケモンのデカヌチャンを応援していた。
あの……その熱意、両親に分けてもろて。

でも、荷物も多すぎてみんなの足元も埋まってるし、誰かにくっついているしかないし、7人ではどう考えても手狭になってきたフリードなのに、
みんないつまでもニコニコ、楽しそうだ。
それがなにより嬉しかった。笑い声が後ろから響いてくる。
平和な車内だ。



そしてついに辿りついたその地。

「ああ。ついた~!!!」


我々は生きた。
生きて、この地にたどり着いたのである。


高松。その名を見たかったんだぜ……


実に、10時間の旅。
夜中出発ならば、道路もすいていて、意外といけたな~という印象だ。
ただし、もう一度できるかと言われると、自信がない。
運がよかったんだなあとも思う。
あと、子どもたちが我慢強かったんだろうな。


その後、夫の試合前日の練習のために、体育館へと直行。
観光もそこそこに、そのあと宿に帰って部屋でご飯を食べ、いい子の時間に熟睡したんである。


そしてしいもは、泥のように眠った……

と言いたかったんだが、夫と子どもが力尽きたその横で、ビールとチューハイをそっと飲む私なのであった。

結局、買い込んだご飯を宿で食うのが一番たのしい
こういう宿がいちばんええのよ


──第一夜・完──


第2話・次回予告

夫、初めての全国大会の舞台!
え、あの有名人まで出場してるですってエ~~~!?
だけど、そこは不憫人フビニスト(37)。
待って待って、試合が始まったはずなのに、彼の姿がないよ!
夫、あなたはいったい、ドコなの~~~?!

そ・し・て

夫の試合もそこそこに、あわよくばあの人に会いたい……と夢見る主婦、しいも(36)。目の前には自由に走り回る5人。なんかあ、ゲームを宿に忘れたとかって、文句言ってるしイ~~~! 
うるさいうるさーーーい!
もう、ほんと、いい加減にしてよね~~~~!!!
この旅……どうなっちゃうのよ~~~!!!


次回!
夫、全国の舞台でぼっち?! しいも、憧れの人に会う!

ぜったい、読んでくれよな!!!


#なんのはなしですか




(待ちきれないって慌てんぼチャンは……こっちを見てくれよな💛)


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