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声に出して伝えたいから、やっぱり書いてる。

素直じゃねえなあ。
いつも思う。


自分のことを陽キャだ陰キャだとポジショニングするのは好きではないが、たとえ私がどっちの人間だと思われていようが、なんとも難しい。

想いを声に出すって、難しいのだ。

それが例え祝福の言葉だとしても。想いはあふれ出てくるのに、口から出る言葉はその2割程度に収まってしまいがち。
あなたのこと。本当に祝福したいと思っているよ。だけど私の言葉では、それが伝わっているかどうか、ちょっと不安になる。

だから私は、今日も懲りずに、書いている。

本当はあなたに伝えたかった、あの言葉も、この気持ちも。
自分が書いたものを前にすると、改めてそれを言葉で、あなたの手をにぎって、ぬくもりごと届けたくなる。

不思議。

この不思議を、もう一度体感したくなって。私は何度でも書きたくなる。




雨予報だったことも忘れるほどの快晴。
晴れ空の下で、ついに私の双子の息子が、卒園式を迎えた。

その数日前に駆け込みで購入したスーツに身を包んだ彼ら。どこかさみしい気持ちを抱えながらシャッターをきる。

かっこいいね。素敵だね。
大きく、なったね。

ちょっと大きなスーツに身をつつんで

着なれないスーツと革靴にソワソワしている双子を急いで車に乗せて保育園へ向かう。姉たちと末っ子はばあばとお留守番。

双子の晴れ姿。今日はそれだけに集中して、この目におさめたくて。

兄は蝶ネクタイ
弟はネクタイを選んだ

正装に身をつつんだお互いの姿に、思わず笑みがこぼれる子どもたち。
それを見つめながら、いよいよだね、とママ友たちと語り合う。
思想・理念・先生たちにほれこんで、私たちはけっこう遠くからこの保育園に通っている。だから、いっしょの小学校に行く友人が少ない。

「お別れしたくないんだよなあ」

この数日、双子は何度もそう言うようになった。
こればっかりはどうしようもないね。
別れのさみしさは、誰もが経験するもの。これを経たとき、きっとまた、もう少し強くなる。

大人になれ、なんて。言わない。言えない。
もう6歳。だけどまだ、6歳のあなたたち。
でも、いつかは別れが訪れることを知ってるのと知らないのでは、乗りこえていける壁の高さがきっと変わってくるから。



───そしてそれを。
すぐに声に出して伝えるのは、やっぱりまだ難しくて。
こうしてここに書いているママは、ずるいよね。




式典はつつがなく進んだ。
入場では、きっとリハーサルを重ねたんであろう子どもたちの機敏なターンに、思わず笑みがこぼれる。ここで曲がる! という、確固たる思いが伝わってきて、その鋭角な急カーブを順に眺めた。双子も例外ではなく、床にマークされている場所まで歩いてくると、キュ! と床を鳴らしながら華麗なターンを披露した。いい感じだぞ。と、思わずエールを送る。

卒業証書授与。
こちらも、入念なリハーサルを感じさせる流れに沿って、しっかりと証書を受け取る息子たち。
授与した証書をいったん戻して、代わりに彼らが手にしたのは……

額いっぱいの、パパとママの似顔絵。

作:双子兄
作:双子弟

「いつも、たいせつに育ててくれて、ありがとうございます」

双子がそう言って。私のもとに順にやってきて、それを渡してくれた。

「……こちらこそ、ありがとう。おめでとう」

私はそう言って、その頬に手をのばした。彼らはちょっと照れくさそうに、へへへとはにかんだ。


力強いその似顔絵を、私は何度もながめた。涙でにじんでも、その温かでやさしい色味は、視界にくっきりと入ってきた。
いったい、どんな気持ちで。どんなことを考えながら、描いてくれたのかな。

「ヒミツのことがあるから、楽しみにしててね!」と、ずっと聞かされていたし、お姉ちゃんたちからも過去にもらっていたから、実は知っていたけど。やっぱりすごく、うれしい。うれしい。


最後の体操、最後の歌。
先生へのメッセージに、式典のあとのお別れ会。
予定していたスケジュールが終わるころには、すっかり、双子は飽きていて。笑

帰ろうと急かす双子を説得し、急いで先生を捕まえて写真を撮ったり、お友達とあいさつをしたりと、最後までバタバタだった。

あっけないなあ。
これであと2日間通ったら、おわっちゃうんだね。

さみしい気持ちで、あっという間の式典の写真を振り返っていた。




そして今日。
残り2日間のうちの1日を終えた双子をつれて、みんなで帰宅した。

「ママに見せるものがあるよ」
帰宅早々に、慌ててご飯を作り出す私に、彼らが出してきたもの。

上が双子兄
下が双子弟

「いつもだいじにしてくれてるから、あげる」

双子兄

「おしごと毎日、たいへんそうで、がんばってくれてるから、かいたよ」

双子弟

双子は、手紙に添えて当たり前のように、言ってくれた。
目を見て。まっすぐに。


「ありがとう。すごくすごく、うれしい。ママ、ずっとずっと大事にするね」


私はそう言って、また2人の頬を交互になでた。

ああこの、2人の頬。
ママ、感触だけでもわかるよ。どちらが、どんな頬をしているか。
頬だけじゃない。
どんなことを考えてて、どんなことに期待していて、いつも見えないところで、どんなにがんばっているか。

ほんとうはママ、あなたたちのこと、たくさん知ってるんだよ。

ママ。口にしないことも多くってごめんね。
しているつもりでも、きっとあなたたちと比べたら、まだまだなんだよね。
だけどあなたたちに、今日も教えてもらった。
ここにコッソリ、こうしてしたためた気持ちは。
ここで言葉の種になり、心に芽吹きはじめる。そしてこれはいつか大きな花になると、すぐに私は確信する。



だから。
あなたたちにやっぱり、伝えたくなるんだよ。
いっしょに、この花がどんなに美しいかを、見届けたくて、ああはやく伝えなきゃいけないって、思えるんだよ。




まったくもって、素直でない私に。
「書く」ことがあってよかったと、切に思う。
そして、素直ではないからこそ私のように、心の種をまずは植えておくべく「書く」人間が、この世界にはきっと多いんだろうことも、知っている。


不器用に生きる私たちは、書くことに生かされている。


「伝えなきゃ」
「届けなきゃ」
「抱きしめに行かなきゃ」


その気持ちは、「書いた」自分が気づかせてくれる。
だから私は、私たちは、書くことをやめられない。
やめたらいけない。
やめたらきっと、気づけないことがたくさんある。
だからきっと、今日も明日も私はしたためている。



明日の朝。
まっさきにあなたたちを抱きしめて、
「大好きだよ」って。
声にだして、伝えたいから。









「お祝い」ということで、
我が家の双子の卒園の祝福を添えて。
参加させていただきます。





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