#434 なぜブラジルはサッカーが強いのか?
ワールドカップで毎回のように優勝候補として名前が挙がるのがブラジルです。
ブラジル代表は、ワールドカップ史上最多となる5回の優勝を誇ります。
さらに、これまで一度もワールドカップの出場を逃したことがありません。
まさに「サッカー王国」と呼ぶにふさわしい国です。
なぜブラジルはこれほどまでに強いのでしょうか。
人口が多い国は他にもあります。
経済規模で見れば、ブラジルより豊かな国も少なくありません。
それにもかかわらず、なぜブラジルは長年にわたって世界トップクラスの強さを維持できているのでしょうか。
その理由をたどると、植民地時代の歴史や移民文化、社会構造まで見えてきます。
サッカーはブラジル発祥ではない
意外に思う人もいるかもしれませんが、サッカーはブラジルで生まれたスポーツではありません。
現在のサッカーの原型が作られたのは19世紀のイングランドです。
1863年には世界初のサッカー協会が設立され、ルールが統一されました。
ブラジルへサッカーを持ち込んだ人物として知られているのが、イギリス系移民の家庭に生まれたチャールズ・ミラーです。
イングランド留学中にサッカーを学んだミラーは、1894年にブラジルへ帰国し、ボールやルールブックを持ち帰りました。
つまり、ブラジルサッカーのルーツにはイギリスの影響があるのです。
多様な文化がブラジル独自のサッカーを生んだ
ブラジルは、先住民、ヨーロッパ系移民、アフリカ系住民など、多様な人々によって作られた国です。
特に大きな影響を与えたのが、アフリカ系文化だと言われています。
ブラジルには、奴隷貿易によって多くのアフリカ系住民が連れて来られました。
彼らが持ち込んだ音楽やダンス、リズム感は、ブラジル文化の重要な要素となります。
その代表例が「カポエイラ」です。
カポエイラは、格闘技とダンスが融合した伝統文化で、独特のリズムや身体の使い方が特徴です。
こうした文化的背景が、柔軟な発想や華麗な足技を重視するブラジル独自のサッカースタイルにつながったとも考えられています。
ブラジルではサッカーが生活の一部
ブラジルの強さを語るうえで欠かせないのが、ストリートサッカー文化です。
都市部の路地や空き地、海岸、公園など、子どもたちは日常的にボールを蹴っています。
地域によっては、裸足でサッカーをする子どもたちも珍しくありません。
外遊びが盛んな環境の中で、子どもたちは自然と身体能力やボールコントロールを身に付けていきます。
ブラジルでは、木登りや鬼ごっこなどの遊びを通じて、幼い頃から身体を自由に動かす機会が多いとも言われています。
こうした環境が、ブラジル選手特有の柔軟な身体の使い方につながっているという指摘もあります。
日本ではサッカーを「習う」ことが一般的ですが、ブラジルではまず「遊ぶ」ことから始まるのです。
サッカー以外に競合するスポーツが少ない
もう一つ重要なのが、サッカーの圧倒的な人気です。
日本では、
・野球
・バスケットボール
・バレーボール
など、多くのスポーツに人気が分散しています。
一方、ブラジルではサッカーが圧倒的な国民的スポーツです。
もちろん、バレーボールや総合格闘技なども人気があります。
しかし、子どもたちの憧れや社会的な注目度はサッカーが圧倒しています。
優秀な運動能力を持つ子どもたちがサッカーへ集中しやすい環境があるのです。
国もサッカーを重要な文化として支えてきた
ブラジルでは、サッカーは単なるスポーツではありません。
国のアイデンティティの一部でもあります。
1958年にスウェーデン大会で初優勝して以降、サッカーはブラジルの国民的象徴となりました。
ブラジルは、先住民、ヨーロッパ系移民、アフリカ系住民など、多様な人々によって形成された国です。
また、国土が広く、地域格差や貧富の差も大きいという特徴があります。
そのような中で、サッカーは人種や階級、地域の違いを超えて人々を結び付ける存在となりました。
ワールドカップでブラジル代表が活躍すると、普段は対立することもある人々が同じユニフォームを着て熱狂します。
つまり、ブラジルにとってサッカーは単なるスポーツではありません。
国民を一つにする共通言語であり、国家のアイデンティティそのものなのです。
そのため政府も、スタジアム整備や育成環境の充実を進め、サッカーを重要な文化資産として支えてきました。
ブラジルリーグは日本よりはるかに大きい
ブラジルの強さを支えているのは、競技人口の多さだけではありません。
国内リーグの規模も非常に大きいのです。
ブラジルには全国選手権だけでなく、各州ごとのリーグ戦も存在します。
プロクラブの数は数百にのぼり、選手が活躍できる場が数多く用意されています。
一方、日本のJリーグは60クラブ程度です。
ブラジルは人口が約2億人と日本より多いだけでなく、サッカーに関わる人材の裾野も圧倒的に広いのです。
さらに、有望な選手は若いうちにヨーロッパへ移籍します。
世界最高レベルの環境で経験を積み、ブラジル代表へ還元される仕組みができています。
つまり、
・豊富な競技人口
・巨大な国内リーグ
・海外リーグとの連携
という好循環が生まれているのです。
ブラジルの強さは偶然ではなかった
なぜブラジルはサッカーが強いのでしょうか。
その理由は、単純な身体能力の違いではありません。
背景には、
・イギリスから伝わったサッカーの歴史
・多様な移民文化
・ストリートサッカー文化
・競合スポーツの少なさ
・国を挙げたサッカー振興
・巨大なリーグと育成システム
といった要素があります。
ブラジルの強さは、100年以上かけて積み重ねられてきた歴史と文化の結果なのです。
サッカー王国は、一朝一夕で作られたものではありません。
ブラジル代表の華麗なプレーの裏側には、その国が歩んできた歴史そのものが詰まっているのです。
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