【第二回】犯人は誰だ? 〜研修で目星がつく!?離職フロアに潜む黒幕を探せ〜
研修という名の公開捜査
さて、俺は研修をすることにした。
ただし注意点がひとつある。
いきなり6名だけを集めるのは完全にアウト。
ミステリーで例えるなら、
「探偵がいきなり6人を別室に集める」
レベルの怪しさである。
犯人どころか、全員黙秘するやつだ。
なので作戦を変えた。
部署ごと巻き込む“公開捜査研修”方式。
人数は数十名。
ターゲット6名はその中に溶け込む。
いかにも日常の延長戦…に見せかけた非日常。
幸い俺の研修はこの会社の人気コンテンツとなり
予約は当日で埋まり、怪しさは全くない。
何の話だ?と思った方はまずは前回の話を読んで欲しい。
まずはプロレスの準備運動
研修で辞職案件を扱うとき、俺は必ずやる儀式がある。
それは──
“会社のネガティブをネタにする”
これは超危険な技なので説明しておく。
諸刃の剣なので間違えると自爆する(笑)
ただしリアルに会社の雰囲気がわかる
なので必ず“限られた人だけに事前相談”をする。
ここポイントだぞ。
研修の途中でいきなり依頼主の悪口を言い始めたら
俺かなりヤベーやつだろ。
ネガティブな話をするときだけ
事前にネタを仕込み必ず確認しておく。
いわゆるプロレスってやつだ。
今回でいえば依頼主である取締役には
「○○って会社のネガティブ点をネタにして話してもいいですか?」
「プロレスなので怒らないで受け止めてね?」
社員の反応が見たいんです。
と言っておけばだいたい許される。
許されなければ…
それはそれで情報になる(笑)
会社は笑うか、怒るか、凍るか
ネガティブを投げるとこうした研修の時
聴講者である社員の雰囲気は3パターンに分かれる。
① 笑う
→ 健全。民度高い。やり直せる。伸びる。
② 怒る
→ めんどい。タブー多め。議論不能。ただし帰属意識があるケースも稀に。
③ 凍る(冷めた笑)
→ 終わってる。地獄。退職理由は議論ではなく沈黙。
特に②と③は危険。
これは“触れちゃいけないもの”が会社に存在している証拠だ。
俺はこれまでコンサルで50社以上で見てきた。
HSP的には1分で皮膚がチクチクするタイプの会社だ。
そしてプロレス開幕
俺はネガティブを投げた。
もちろん面白おかしくがポイントだぞ。
真剣にネガティブを語ることはしない。
笑えるように、会社のネガティブを語る。
でも割と本質寄りのやつを。
この感覚は文章で伝えるのはすっごい難しい。
もちろん、雰囲気が暗くならないように
面白おかしく、あくまでネタになるように。
例えば、
「皆さん取締役のギターの音がうるさくて集中力切れませんか?」
とかからスタートして
一歩踏み込んだラインを攻める。
結果──
大爆笑。
しかも“気遣い笑い”ではなかった。
腹式のやつ。
息吸うやつ。
肩揺れるやつ。
※気遣いで笑ってくれるのはそれはそれで、民度の高い会社でもある。
これは優良企業の反応だ。
民度と雰囲気は嘘をつかない。
そして、6名を観察する
ネガティブなネタで笑いをとるふりをして
社員に感想なんて求めていたりした。
その間もずっと俺のHSPレーダーはその6名をずっと捕捉していた。
・笑う
・目配せする
・小声で相槌
・肩を揺らす
・表情が緩む
この反応は辞める候補者の“死んだ目”ではない。
むしろ
まだ未来を信じてる目だった。
これは大きな矛盾。
俺の脳内ホワイトボードに記載された
うーん、この雰囲気でどうして辞めるのだろう。
ならば──
“辞めたい理由”は外側ではなく“内側”にある。
環境でも構造でも制度でもない。
感情。
影響。
関係。
そして噂。
ミステリーは一気に人間ドラマになる。
その瞬間、ひとつの真相が浮かんだ
この会社は辞める空気じゃない。
これは決定的な事実だ。
やっぱり俺の結論はこれなんだよね。
だから最初からこの案件はなんか違和感がある。
推理はこう繋がる。
“辞めたくなる理由”ではなく
“辞める気にさせる人”がいる
つまり犯人は 感情の入り口と出口 にいる。
俺は気づいた。違和感はノイズではなかった
伯爵(取締役)は本気で離職防止を考えている。
会社も悪くない。
空気も悪くない。
むしろ良い。
では──
なぜ辞める?
“誰が背中を押している?”
そして最も怪しい人物が
ひとり浮き上がってきた。
研修の時の反応。
明らかに違和感を感じた。
明らかに不満のオーラを出している。
ふっふっふ、HSPを舐めたらいけない。
その空気、オーラ、明らかに一人だけ違った。
ただ、単純に俺の研修が超絶つまらない可能性もある(笑)
だから、この時点では断定しない。
ミステリーは急いだら負けだ。
無事に研修も終わったから
研修の感想を聞きたいって体裁で個別インタビューができる。
次のフェーズは個別聴取(インタビュー)
6名。
一人ずつ。
さて、いよいよそれぞれの物語と感情を聞くとしよう。
辞めたい理由は“言葉”に出るが
本当の理由は“言い淀み”に出る。
息
間
目線
沈黙
ため息
語尾
比喩
矛盾
責任転嫁
笑いのタイミング
なぜ辞めたいのか?
なぜ会社のネガティブを風潮しているのか?
伯爵は言った。
「気をつけてください、あいつら仲いいので」
仲がいい退職やネガティブは感染する。
会社にとって最も恐ろしい現象のひとつだ。
ネガティブの影響力はポジティブの7倍と言われているらしい。
こうして
プロギタリスト兼コンサル兼探偵の俺は
次のステージへ向かう。
もはや俺の仕事は何かわからなくなってきたw
俺の旅は終わらない。
そして犯人は、まだ表に出てこない。
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